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プロパティAG Research Memo(5):既存事業の成長とIT・クラウドファンディングによる事業領域拡大を目指す

注目トピックス 日本株
■成長戦略

1. 同社のビジョン
プロパティエージェント<3464>は、「不動産と不動産サービスの価値を創造、向上し、社会を進化させ、人の未来を育み、最高の喜びを創出する」との企業理念のもとに、既に「業界リーダー」としての実績を示してきた。現在は、中期ビジョンとして、「業界トップ」及び「事業領域の拡大」を掲げて事業を推進している。さらに、長期的には「ビジョナリーカンパニー」及び「イノベーション創出企業」を目指している。

2. 2020年以降に向けた今後の取り組み
同社が属する不動産業界では、低水準で推移する住宅ローン金利や五輪関連の建設需要が下支え要因として期待されるものの、販売価格の上昇等の影響もあり、先行指標となる新設住宅着工戸数は横ばいでの推移となっていることから、当面は横ばいでの推移が見込まれる。また、不動産需要については、都心部の需要が郊外と比べて強くなるという二極化の動きが続くことが見込まれることから、物件取得に関しては立地や価格に関して、より厳選した上での取得が必要であろう。

同社は、中期ビジョンの実現に向けて、安定的な成長を継続するため、現在の主軸である東京都心エリアにおける不動産開発販売事業を堅実に拡大していく方針である。都心エリアの不動産は、流動性が高く、市況の変化等による損失リスクを最小化し、同社の在庫リスク低減に寄与する。また、同社では顧客に長期間、安心して保有してもらう物件として、資産性の高い物件の確保を重要視している。そのため、「東京23区の中でも賃貸・居住ニーズの強い街」、「駅に近いエリア」といった同社独自の用地選定基準に例外を設けることなく、将来を見据えた厳しい目線での用地仕入を継続する。

少子高齢化により人口減少が進むなかでも、東京23区の人口は22年連続で転入超過が続いており、2020年以降も都区部については、人口の増加とそれに伴う単身世帯や少人数世帯の増加が予測されている。この外部環境を踏まえると、単身世帯の賃貸需要が多いワンルームタイプや、少人数世帯のライフスタイルに合わせた活用ができるコンパクトタイプのマンションを主力商品とする開発販売事業の成長余地は十分に見込めるだろう。不動産業界は国内外の金融動向の影響を受けやすく、リーマンショックによる業界の落ち込みは記憶に新しいが、同社は創業以来の「都心エリアで顧客に支持される資産性の高い物件を開発し、適正な価格で提供する」というスタンスで、当時も増収増益を成し遂げており、今後もこの経営方針のもと、着実に成長をしていくことを今後の主軸として考えている。

また、不動産開発販売事業で培った実績やIT技術活用といった同社の基盤にある強みや新規領域への挑戦により、事業領域の拡大にも取り組み、新規事業の創出活動や研究活動を継続していくことをもう1つの軸として考えている。その1つとして、都心エリアにおいて低コストで入手できる用地情報と過去の大量の物件開発実績に基づく高度な企画力を活用して2018年3月期より開発を開始した都市型鉄骨造アパート「ソルナクレイシア」シリーズは、その販売を2019年3月期より開始し、10棟の販売を見込んでいる。

他方で、IT技術活用の取り組みでは、不動産投資をより広く、より手軽に行うための仕組みの構築を目的に「不動産クラウドファンディング準備室」を設置し、現在不動産特定共同事業の許可取得に向けて準備を進めている。今後は不動産クラウドファンディングにおいて、ブロックチェーンのような分散型ネットワーク技術を活用することにより、グローバルでの不動産投資をスマートフォンで手軽に行うことができる時代が来ることも遠くない将来に実現するものと考え、マーケットの可能性についての言及や積極的な情報発信を行っていく計画である。

また、同社では、ベンチャーへの投資を積極化している。同社保有の特許技術「建物内搬送システム」の活用研究から進展した米国シリコンバレーの宅配ロボットベンチャーRobby Technologies Inc.への出資(2018年1月)については、日本市場で展開する際に優先的地位を獲得するのが狙いである。英国のITベンチャー企業Ohalo Limitedへの投資(2018年3月)では、分散型ネットワーク技術の進展状況を把握することやこの技術を用いた不動産関連ビジネスの発展可能性を追求する。また、海外不動産投資情報プラットフォームの構築や海外不動産のソーシングを手がける Property Access(株)への投資(2018年7月)では、効率的に魅力的な国々へのルート構築が出来ると考えている。

同社では、これらの事業展開の原動力創出のため、人事制度改革を3年前から取り組み、組織力強化を図ってきた。この改革により、社員の帰属意識が高まったことや独自の研修制度などが効果を発揮していることなども評価され、同社は世界最大級の従業員意識調査機関Great Place to Work®による『2018年版日本における「働きがいのある会社」ランキング』に3年連続で選出され、中規模部門として、不動産業1位、総合23位にランクインされた。今後も、社会を進化させる企業となるため、従業員が意欲を高め、互いにシナジーを発揮できる職場環境づくりに取り組む方針である。

以上の取り組みにより、同社は、今後もさらに成長し、業容拡大を続けると期待される。同社では現状、対外的に計数目標を含む中期経営計画を発表していない。同社の事業規模では、業績が振れる可能性が大きいため、計画を発表すると、投資家をミスリードする可能性があるものの、会社としての経営方針を明確化し、同社の投資家や従業員が同社の将来像を共有するためにも、中期経営計画の正式発表は有意義だろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



<NB>

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