エリアリンク Research Memo(3):ストレージを賃料保証で借上げ、募集・運営・管理の収入が基本
[18/08/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
3. ストレージ事業の詳細
「ハローストレージ」ブランドで展開するエリアリンク<8914>のストレージ事業は、3つのタイプがラインナップされている。すなわち、屋外型コンテナタイプ、屋内型トランクタイプ、及び土地付きストレージタイプだ。屋外型コンテナタイプと屋内型トランクタイプは建物の構造に着目した分類及びネーミングだ。一方、土地付きストレージは、不動産商品としての特長に基づくネーミングであり、構造的には屋内型となっている。歴史的な経緯としては、1999年に屋外型コンテナタイプでストレージ事業がスタートし、2001年に空きビル等を活用した屋内型トランクタイプが登場し、2016年から土地付きストレージが開始されて現在に至るという流れだ。
(1) 屋外型コンテナタイプと屋内型トランクタイプの事業モデル
ストレージ事業の事業モデルの基本形は屋外型コンテナタイプだ。その具体的形態は、まず同社の開拓及びマッチングにより、土地所有者(A)と投資家(コンテナ所有者(B))との間で土地利用契約を締結させる。その上で同社はBからコンテナを賃借し、エンドユーザーにストレージとして貸出すというのが基本的な事業モデルだ。お金の流れとして、同社はエンドユーザーから月次料金(賃料)を受け取り、一方でBに対して賃料を支払うことになる。ここでの最大のポイントは、同社とBの契約は、10年間の賃料保証契約であることだ。Bは空室リスクを負うことなく、一定の賃料を10年間保証されるため、コンテナ投資のリターンを計算できることがメリットと言える(BとAとの間もつじつまを合わせて10年間となっており、また、リターンが予測可能である点はAも同様だ)。
一方、同社の収益は、エンドユーザーからの受取賃料(売上高)とBへの支払賃料(売上原価)の差が粗利益となる。粗利益率はおおむね20%とみられる。これに加えて、管理費(2,000円/月)と安心保証パック(カギの紛失等に備えたオプション。500円/月)などの付随収入が売上高となる。こうしたストレージの募集・運営・管理に関する収益は、前述のストレージ運用のサブセグメントに計上される。
この事業モデルの大きな特長は、同社に設備投資負担がないことと、事業資産(コンテナ、土地)を賃借しているためバランスシートが重くならないということで、これらはともに、同社のキャッシュ・フローにとって大きなメリットとなる。かつては同社が土地を購入してハローコンテナ事業を展開していた時期もあったが、現在ではすべて借上げ型にシフトしている。一方で、コンテナの稼働率の稼働率に関わらず一定のBへの支払賃料が発生するため、当初は赤字となる。したがっていかに早期に稼働率を高めるかがカギとなる。
屋内型トランクタイプは、コンテナの代わりに既存のビル(全部または一部のフロア)や倉庫などをトランクルームに改装してストレージ事業を展開するケースで、基本的な仕組みは屋外型コンテナタイプと同様だ。
なお、同社は、コンテナや既存建物をストレージ事業用に改造・改装することも請け負っている。これにかかる収益は、“受注”という項目で、ストレージ流動化のサブセグメントに含まれている。
(2) 土地付きストレージの事業モデル
一方、土地付きストレージの事業モデルは若干異なる。資金効率や設備投資負担抑制の観点から、自社では土地や建物(コンテナ)を保有しないことを基本方針としてきたが、ストレージ需要が最も強い都市部の住宅街においては、土地所有者の開拓が難しいという壁に直面した。そこで同社は、一旦自社で土地を購入し、そこにストレージ用の上物を建設して商品化し、土地・建物を一体で富裕層などの投資家に販売するというモデルを開発した。これが“土地付き”というネーミングにつながっている。
販売と同時に同社が借上げ、募集・運営・管理を行うのは前述の屋外型コンテナタイプ等と同様だ。また賃料保証を行う点も同じだ。ただし収益の計上においては、同社が投資家に販売するプロセスが加わるため、販売にかかる収益をストレージ流動化のサブセグメントに、募集・運営・管理にかかる収益をストレージ運用のサブセグメントに、それぞれ分けて計上している。
土地付きストレージの販売に当たっては、収益還元法で販売価格を決定している。したがって、土地の仕入価格と建物の建築費用を抑えることにより、同社には利幅を拡大するチャンスが生まれる。土地価格は相場もあるため大きく利ざやを稼ぐことは難しいとみられるが、上物については、設計や構造、施工法などの工夫によって低コスト化を追求する余地がある。低コスト化のメリットはすべて同社が享受できることになり、同社はこの点についても研究・開発を進めている。
土地付きストレージの買い手の確保(同社はこれを“出口戦略”と称することもある)については、利回りの設定を買い手(投資家等)にとって魅力的な水準に設定することのほかに、私募ファンドを組成するなどの、出口戦略の多様化に積極的に取り組んでいる(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<NB>
3. ストレージ事業の詳細
「ハローストレージ」ブランドで展開するエリアリンク<8914>のストレージ事業は、3つのタイプがラインナップされている。すなわち、屋外型コンテナタイプ、屋内型トランクタイプ、及び土地付きストレージタイプだ。屋外型コンテナタイプと屋内型トランクタイプは建物の構造に着目した分類及びネーミングだ。一方、土地付きストレージは、不動産商品としての特長に基づくネーミングであり、構造的には屋内型となっている。歴史的な経緯としては、1999年に屋外型コンテナタイプでストレージ事業がスタートし、2001年に空きビル等を活用した屋内型トランクタイプが登場し、2016年から土地付きストレージが開始されて現在に至るという流れだ。
(1) 屋外型コンテナタイプと屋内型トランクタイプの事業モデル
ストレージ事業の事業モデルの基本形は屋外型コンテナタイプだ。その具体的形態は、まず同社の開拓及びマッチングにより、土地所有者(A)と投資家(コンテナ所有者(B))との間で土地利用契約を締結させる。その上で同社はBからコンテナを賃借し、エンドユーザーにストレージとして貸出すというのが基本的な事業モデルだ。お金の流れとして、同社はエンドユーザーから月次料金(賃料)を受け取り、一方でBに対して賃料を支払うことになる。ここでの最大のポイントは、同社とBの契約は、10年間の賃料保証契約であることだ。Bは空室リスクを負うことなく、一定の賃料を10年間保証されるため、コンテナ投資のリターンを計算できることがメリットと言える(BとAとの間もつじつまを合わせて10年間となっており、また、リターンが予測可能である点はAも同様だ)。
一方、同社の収益は、エンドユーザーからの受取賃料(売上高)とBへの支払賃料(売上原価)の差が粗利益となる。粗利益率はおおむね20%とみられる。これに加えて、管理費(2,000円/月)と安心保証パック(カギの紛失等に備えたオプション。500円/月)などの付随収入が売上高となる。こうしたストレージの募集・運営・管理に関する収益は、前述のストレージ運用のサブセグメントに計上される。
この事業モデルの大きな特長は、同社に設備投資負担がないことと、事業資産(コンテナ、土地)を賃借しているためバランスシートが重くならないということで、これらはともに、同社のキャッシュ・フローにとって大きなメリットとなる。かつては同社が土地を購入してハローコンテナ事業を展開していた時期もあったが、現在ではすべて借上げ型にシフトしている。一方で、コンテナの稼働率の稼働率に関わらず一定のBへの支払賃料が発生するため、当初は赤字となる。したがっていかに早期に稼働率を高めるかがカギとなる。
屋内型トランクタイプは、コンテナの代わりに既存のビル(全部または一部のフロア)や倉庫などをトランクルームに改装してストレージ事業を展開するケースで、基本的な仕組みは屋外型コンテナタイプと同様だ。
なお、同社は、コンテナや既存建物をストレージ事業用に改造・改装することも請け負っている。これにかかる収益は、“受注”という項目で、ストレージ流動化のサブセグメントに含まれている。
(2) 土地付きストレージの事業モデル
一方、土地付きストレージの事業モデルは若干異なる。資金効率や設備投資負担抑制の観点から、自社では土地や建物(コンテナ)を保有しないことを基本方針としてきたが、ストレージ需要が最も強い都市部の住宅街においては、土地所有者の開拓が難しいという壁に直面した。そこで同社は、一旦自社で土地を購入し、そこにストレージ用の上物を建設して商品化し、土地・建物を一体で富裕層などの投資家に販売するというモデルを開発した。これが“土地付き”というネーミングにつながっている。
販売と同時に同社が借上げ、募集・運営・管理を行うのは前述の屋外型コンテナタイプ等と同様だ。また賃料保証を行う点も同じだ。ただし収益の計上においては、同社が投資家に販売するプロセスが加わるため、販売にかかる収益をストレージ流動化のサブセグメントに、募集・運営・管理にかかる収益をストレージ運用のサブセグメントに、それぞれ分けて計上している。
土地付きストレージの販売に当たっては、収益還元法で販売価格を決定している。したがって、土地の仕入価格と建物の建築費用を抑えることにより、同社には利幅を拡大するチャンスが生まれる。土地価格は相場もあるため大きく利ざやを稼ぐことは難しいとみられるが、上物については、設計や構造、施工法などの工夫によって低コスト化を追求する余地がある。低コスト化のメリットはすべて同社が享受できることになり、同社はこの点についても研究・開発を進めている。
土地付きストレージの買い手の確保(同社はこれを“出口戦略”と称することもある)については、利回りの設定を買い手(投資家等)にとって魅力的な水準に設定することのほかに、私募ファンドを組成するなどの、出口戦略の多様化に積極的に取り組んでいる(詳細は後述)。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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