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ラクオリア創薬 Research Memo(3):ZTEへの制裁の影響を除いて、売上高、費用ともにほぼ計画どおりに着地

注目トピックス 日本株
■業績動向

●2018年12月期第2四半期決算の概要
ラクオリア創薬<4579>の2018年12月期第2四半期決算は、売上高(事業収益)445百万円(前年同期比18百万円の減収)、営業損失558百万円(同206百万円の減益)、経常損失569百万円(同269百万円の減益)、親会社株主に帰属する当期純損失596百万円(同309百万円の減益)で着地した。

同社は通期ベースでの予想のみを開示しており、今第2四半期決算が同社の社内計画と比較してどうだったかを正確に測ることはできない。弊社では、中国のZTE Biotechとの合弁会社設立手続きの遅れにより、収益ともに同社の計画を下回ったものと考えている(合弁企業設立の詳細については2018年4月16日付の前回レポートを参照)。しかしながらこの点を除いては、想定していた収益イベントが計画どおりに発生し、同社の売上高を着実に積み上げた。

前年同期との比較において、売上高がわずかな減収にとどまったのに対して営業利益以下の各利益項目の減益幅が大きくなったのは、臨床試験の費用計上時期が当初予定の2017年12月期から2018年12月期にずれ込んだことが原因だ。この金額は332百万円と計画されていたが、ほぼ予算どおりに今第2四半期に計上されたとみられる。これも含めて、事業費用は非常に高精度でコントロールされ、計画どおりの推移となったもようだ。

今第2四半期の売上高を構成する主な収益イベントは大きく4つだ。ベースを形成しているのは、米国で発売済みの動物薬2剤(『Galliprant®』と『Entyce®』)からのロイヤルティ収入だ。これに旭化成ファーマ(株)との共同研究に伴うマイルストンと、同じく旭化成ファーマに対する新規化合物P2X7受容体拮抗薬のライセンスアウトに伴う契約一時金、及びEAファーマ(株)との共同研究の成果物について、EAファーマが前臨床試験を開始したことに伴うマイルストンが加わり、前述の445百万円の売上高を達成した。

同社は2018年1月に、Aratana Therapeutics Inc.(以下、Aratana)が『Galliprant®』についてEUにおいて新薬承認を獲得したことをリリースしたが、これに伴うマイルストンはなく、次の収益イベントとしては2018年後半にも予想される販売開始に伴うマイルストンとなる見通しだ。

費用面では、今第2四半期の事業費用は前年同期比188百万円増の1,004百万円となった。その内訳を見ると、研究開発費が同210百万円増の603百万円となったことが目を引く。この増加分は前述のように臨床試験費用の増加で、5-HT2B拮抗薬(RQ-941)の下痢型過敏性腸症候群(IBS-D)を目標適応症とする英国でのフェーズ1の費用だ。完了時期が2018年2月にずれ込んだことで、費用の計上も当第2四半期にずれ込んだ。

事業原価の減少は、前年同期はマイルストン収入に伴う支払ロイヤルティが拡大したのに対して、当第2四半期はそれがなかったことが要因だ。販管費の増加はCJヘルスケアに対する特許費用の支払いが主な内容だ。これらの費用の増減はすべて期初の想定どおりで、計画対比の利益変動要因としてはニュートラルと言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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