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サイオス Research Memo(1):主要製品の一時的な落ち込みで2018年12月期第2四半期累計業績は減益に

注目トピックス 日本株
■要約

サイオス<3744>は、Linuxに代表されるオープンソースソフトウェア(以下、OSS)※の開発と利用を軸に、OS、サーバー、アプリケーション、クラウドコンピューティングに関わるソフトウェア製品とサービスの提供を行っている。OSSの技術サポート体制では国内トップクラス。主力製品はシステム障害時のシステムダウンを回避するソフトウェア「LifeKeeper」や、MFP(複合機)向けソフトウェア製品など。2015年4月に(株)キーポート・ソリューションズ(以下、KPS)、同年10月にProfit Cube(株)(以下、PCI)と、金融業界向けのシステム開発会社を相次いで子会社化し、事業領域を拡大している。

※ソフトウェアの設計図に当たるソースコードを無償で公開し、使用・改良・再配布ができるソフトウェア。


1. 2018年12月期第2四半期累計業績
2018年12月期第2四半期累計(2018年1月-6月)の連結業績は、売上高で前年同期比0.7%増の6,270百万円、営業利益で同26.5%減の127百万円と増収減益決算となった。売上高はRed Hat,Inc.関連商品※1や金融機関向け経営支援システムの販売が伸長して増収を維持したが、主要製品である「LifeKeeper」やMFP向けソフトウェア製品等の販売が落ち込んだこと、研究開発費が前年同期比で22百万円増加したことなどが減益要因となった。なお、新たな取り組みとして2018年3月にバイオサイエンス分野の大学発ベンチャーである(株)Rhelixa(以下、レリクサ)との資本業務提携を発表した。レリクサはエピゲノム※2専門解析企業で、今後、両社で汎用的に利用できるエピゲノム解析のプラットフォームの開発を進めていく。

※1 OSS&サービス・プロバイダーのRed Hat,Inc.が開発するLinux OS及び関連商品。
※2 食事や生活習慣、ストレスなどの後天的な環境要因によって、「人体の設計図」とも言えるゲノムに記載された遺伝子の働き(発現)が変化してしまう現象。


2. 2018年12月期業績見通し
2018年12月期の連結業績は、売上高で前期比4.2%増の13,000百万円、営業利益で同2.8%増の330百万円と期初計画を据え置いている。第2四半期までの営業利益の進捗率が38.5%とやや低調となっているが、「LifeKeeper」やMFP向けソフトウェア製品の営業体制強化や新製品の拡販を進めていくことで計画の達成を目指していく。新製品としては2018年8月に新バージョンを発表した「SIOS Coati」が注目される。パブリッククラウドサービス(AWS)を利用する企業向けの運用自動化サービスで、新バージョンではサーバーレスアーキテクチャー※を採用したことで従前よりも導入が容易となったほか、顧客の運用実態に合わせた細かな設定機能を設けたことで利便性も大幅に向上しているため、今後の収益貢献が期待される。

※サーバーの環境構築を意識せずに、システムの利用を可能とする技術。


3. 中期損益計画
同社は今後3年間を将来の成長への基盤を固める期間と位置付けており、業績目標としては2020年12月期に連結売上高155億円(2017年12月期比24.3%増)、EBITDA(償却前営業利益)で11億円(同121.0%増)を掲げている。引き続き「FinTechを含む新たな領域での新規事業創出」「継続的な研究開発投資」「コアビジネスの競争力強化」を基本戦略として取り組んでいく方針で、2019年以降は既存事業の回復に加えて、新製品・サービス等が収益貢献してくることで成長軌道に入るものと予想される。

■Key Points
・バイオサイエンス分野のベンチャーと資本業務提携を行い、エピゲノム解析のプラットフォームサービスの開発に着手する
・2018年12月期業績見通しは期初計画を据え置く
・2020年12月期に売上高155億円、EBITDA11億円を目指す

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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