ケネディクス Research Memo(6):2018年12月期の通期業績予想を上方修正。増収増益を見込む
[18/09/14]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
2018年12月期の業績予想についてケネディクス<4321>は、上期業績が大きく拡大したことや堅調な外部環境(不動産市場)等を踏まえ、期初予想を上方修正した。修正後の業績予想として、営業収益を前期比136.8%増の62,400百万円(修正幅+5,700百万円)、営業利益を同14.0%増の14,000百万円(修正幅+1,700百万円)、経常利益を同15.2%増の13,200百万円(修正幅+1,500百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益を同9.4%増の11,500百万円(修正幅+900百万円)と増収増益を見込んでいる。
トップライン(営業収益)の伸びが大きいのは上期業績と同様であるが、同社本来の業績の伸びを示す営業総利益も前期比11.5%増の21,400百万円と増益を実現する見通しである。また、総合的な収益力を示す最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)についても、法人税等が増加する(通常水準に戻る)※なかで、増益を確保するところは特筆すべきだろう。
※税務上の繰越損失の解消によるもの。
営業総利益が大きく拡大するのは、上期同様、「不動産投資事業」における不動産投資損益によるものである。一方、「アセットマネジメント事業」が通期でも減益となるのは、前述のとおり、上期における計上区分の振り替えに加えて、前期の特殊要因の反動による影響※によるものである。したがって、その2つの影響を除けば、受託資産残高の伸びに伴って堅調に推移する見通しと言える。また、「不動産関連事業」はプロパティマネジメントフィーの伸びや民泊による上乗せを見込む。
※前期決算において、不動産売却損益として見込んでいたものをフィーとして計上(特殊要因)したことの反動減(約20億円の減益要因)。
また、損益状況全体についても、「ベース利益」は、前述のとおり、計上区分の振り替えや特殊要因の反動により前期比40.3%減の4,000百万円に縮小する一方、「不動産投資損益」は同135.5%増の11,600百万円と大きく拡大する見通しである。ただ、実態としては、重視する「ベース利益」が堅調に推移するとともに、「不動産投資損益」が伸びる想定と言える。
■業界環境
(株)三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、2018年6月末のJ-REIT、私募ファンドを合わせた市場規模(運用資産額ベース)は約32.5兆円(前年末比1.4兆円増)と増加した。過去からの推移を見ると、J-REITはリーマン・ショック以降、伸び悩みが見られたものの、2013年から拡大基調で推移している。J-REITの銘柄数も順調に増えており、2018年6月末では59銘柄となっている。一方、私募ファンドについても保有物件の売却を進めたことなどから縮小傾向をたどってきたが、2016年6月末からは増加基調をたどっている。物件売却の一巡やマイナス金利政策によりエクイティ投資家の不動産への投資意欲が高まったことが要因として挙げられる。もっとも、足元では、都内を中心に物件取得が困難な状況が続いているほか、銀行借入による調達環境も少しずつ変調している可能性にも注意する必要がある。また、東証REIT指数については、2017年11月頃の動きを見ると、長期金利の上昇や一時的な需給バランスの崩れによりやや軟調に推移する局面もあった。ただ、日銀の金利上昇を抑制する動きや海外投資家からの積極的な買いなどにより年後半は持ち直し、その後は堅調に推移。特に、J-REIT市場の安定感が再評価されるなかで、海外投資家からの資金流入等が続いており、足元でも指数の底上げが見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>
2018年12月期の業績予想についてケネディクス<4321>は、上期業績が大きく拡大したことや堅調な外部環境(不動産市場)等を踏まえ、期初予想を上方修正した。修正後の業績予想として、営業収益を前期比136.8%増の62,400百万円(修正幅+5,700百万円)、営業利益を同14.0%増の14,000百万円(修正幅+1,700百万円)、経常利益を同15.2%増の13,200百万円(修正幅+1,500百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益を同9.4%増の11,500百万円(修正幅+900百万円)と増収増益を見込んでいる。
トップライン(営業収益)の伸びが大きいのは上期業績と同様であるが、同社本来の業績の伸びを示す営業総利益も前期比11.5%増の21,400百万円と増益を実現する見通しである。また、総合的な収益力を示す最終利益(親会社株主に帰属する当期純利益)についても、法人税等が増加する(通常水準に戻る)※なかで、増益を確保するところは特筆すべきだろう。
※税務上の繰越損失の解消によるもの。
営業総利益が大きく拡大するのは、上期同様、「不動産投資事業」における不動産投資損益によるものである。一方、「アセットマネジメント事業」が通期でも減益となるのは、前述のとおり、上期における計上区分の振り替えに加えて、前期の特殊要因の反動による影響※によるものである。したがって、その2つの影響を除けば、受託資産残高の伸びに伴って堅調に推移する見通しと言える。また、「不動産関連事業」はプロパティマネジメントフィーの伸びや民泊による上乗せを見込む。
※前期決算において、不動産売却損益として見込んでいたものをフィーとして計上(特殊要因)したことの反動減(約20億円の減益要因)。
また、損益状況全体についても、「ベース利益」は、前述のとおり、計上区分の振り替えや特殊要因の反動により前期比40.3%減の4,000百万円に縮小する一方、「不動産投資損益」は同135.5%増の11,600百万円と大きく拡大する見通しである。ただ、実態としては、重視する「ベース利益」が堅調に推移するとともに、「不動産投資損益」が伸びる想定と言える。
■業界環境
(株)三井住友トラスト基礎研究所の調査によると、2018年6月末のJ-REIT、私募ファンドを合わせた市場規模(運用資産額ベース)は約32.5兆円(前年末比1.4兆円増)と増加した。過去からの推移を見ると、J-REITはリーマン・ショック以降、伸び悩みが見られたものの、2013年から拡大基調で推移している。J-REITの銘柄数も順調に増えており、2018年6月末では59銘柄となっている。一方、私募ファンドについても保有物件の売却を進めたことなどから縮小傾向をたどってきたが、2016年6月末からは増加基調をたどっている。物件売却の一巡やマイナス金利政策によりエクイティ投資家の不動産への投資意欲が高まったことが要因として挙げられる。もっとも、足元では、都内を中心に物件取得が困難な状況が続いているほか、銀行借入による調達環境も少しずつ変調している可能性にも注意する必要がある。また、東証REIT指数については、2017年11月頃の動きを見ると、長期金利の上昇や一時的な需給バランスの崩れによりやや軟調に推移する局面もあった。ただ、日銀の金利上昇を抑制する動きや海外投資家からの積極的な買いなどにより年後半は持ち直し、その後は堅調に推移。特に、J-REIT市場の安定感が再評価されるなかで、海外投資家からの資金流入等が続いており、足元でも指数の底上げが見られる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田 郁夫)
<NB>