スカラ Research Memo(7):2019年6月期もSaaS/ASP事業を中心に2ケタ増収増益が続く見通し
[18/09/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
1. 2019年6月期の業績見通し
スカラ<4845>の2019年6月期の業績は、売上収益が前期比20.4%増の15,450百万円、営業利益が同18.3%増の1,830百万円、税引前利益が同18.5%増の1,820百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同16.0%増の820百万円と2ケタ増収増益となる見通し。引き続きSaaS/ASP事業やフィールドマーケティング事業の拡大が見込まれるほか、SFA事業も2ケタ増収増益と成長軌道に復帰する。売上収益についてはレオコネクトの業績が通期でフル寄与することも寄与する。上期については、開発費用や人材投資費用が先行するため、増益率は1ケタ台に鈍化するものの、下期以降は増収効果やレオコネクトの収益性向上なども見込まれ、増益率も拡大するものと予想される。
SaaS/ASP事業とカスタマーサポート事業のシナジー効果に期待
2.事業セグメント別の見通し
(1) SaaS/ASP事業
SaaS/ASP事業については、前期比で15%程度の増収増益を見込む。引き続き「iシリーズ」のクロスセルや新規顧客の開拓に取り組み、月額課金収益の積み上げを図っていくほか、一時金売上についても新規開発案件の売上げ貢献により増収が見込まれる。
「iシリーズ」では新サービスとなる「i-livechat」(Webチャットシステム)※の導入が、大手化粧品会社や大手損害保険会社で決定したほか、「i-assist」についても新たに大手化粧品会社、大手金融会社で導入が決定している。2018年6月期に新規導入が決まった「i-gift」も含めて、これら新サービスの売上が大きく貢献する見通し。特に、「i-livechat」や「i-assist」については同社の主力サービスである「i-ask」に蓄積されたナレッジデータベースを再利用することが可能なため、同サービスの利用顧客に対してクロスセルを提案し、契約に結び付けていく。また、「i-livechat」についてはLINEカスタマーコネクトとの連携サービスによる販売強化も進めていく方針だ。
※「i-livechat」は、サイト訪問者の疑問や悩みに対して、カスタマーサポートセンター等のオペレーターがリアルタイムでチャット形式により問題解決に導くことができるWebチャットサービス。「i-search」や「i-ask」との連動により、チャット対応画面でユーザーのコンテンツ内容をオペレーターが確認しながら対応することも可能となっており、顧客満足度の向上に寄与するサービスである。主に企業のコールセンターへの導入を想定しており、最低月額利用料金は20万円からとなる。
その他、前期に約6億円の売上収益を計上した損害保険ジャパン日本興亜向けについては、2019年6月期も自動車以外の保険販売システムの開発案件の売上計上が予定されており、増収が続く見込みとなっている。
(2) SFA事業
SFA事業についても前期比で15%程度の増収増益を見込んでいる。ソフトブレーンは12月決算のため、同社の会計期間(2019年6月期)に相当するソフトブレーンの業績は2018年12月期下期及び2019年12月期上期の業績が反映されることになる。ソフトブレーンの2018年12月期下期の計画及び中期経営計画で発表している2019年12月期の業績計画値の5割相当額を合算して伸び率を試算すると、売上収益は前期比23%増、営業利益は同46%増となる。会計基準が両社で異なるため若干の相違はあるものの、ソフトブレーンの業績が計画どおり進んだとすれば、上乗せ要因となる可能性がある。
なお、ソフトブレーンの「eセールスマネージャー」については引き続き成長が見込まれる。現在、顧客層を拡大するため、中小企業向けをターゲットとしたセルフサーブ型の「eセールスマネージャー Remix MS」を投入しているほか、業界特化型製品の開発を進めており2019年12月期以降の収益貢献が見込まれる。
(3) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業については前期比で5%程度の増収増益を見込んでいる。同様にソフトブレーンの業績計画に基づいて試算すると、売上収益で前期比1%増、営業利益で3%増益となる。同社の計画よりも低くなるが、これは2018年12月期上期の業績が計画を上回る増収増益となったため。7月以降も受注は好調に推移していることから、5%程度の増収増益は十分達成が可能な水準と弊社では見ている。
(4) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業については売上収益で20億円強を見込んでいる。2018年6月期が4ヶ月で856百万円だったことから、単純に3倍すると25億円程度になるが、同社ではレオコネクトの収益性を向上するために、光通信グループ以外の顧客開拓を進めていく方針となっている。そのためには、コールセンターでの入電件数の削減を図り、新規顧客を受け入れる体制を整備することが重要と考えている。そのためのソリューションとして、同社の「IVR」を各コールセンターの拠点に導入し、また、顧客である光通信のグループ会社のWebサイトにも「i-ask」の導入提案を進めていく。「IVR」は自動音声応答システムで、レオコネクトのコールセンターにも他社システムが既に入っているものの、性能やコスト面で「IVR」が勝っており、順次リプレースしていく予定となっている。
このため、一時的に入電件数の減少により売上収益も伸び悩むと想定している。ただし、入電件数が減少し余力が生じた部分に関しては、光通信グループ以外の新規顧客で埋めていく計画となっており、スムーズに新規顧客を獲得できれば、収益面ではプラスになるものと思われる。また、「IVR」や「i-ask」の導入件数も増えるため、SaaS/ASP事業にとっても増収増益要因となる。
そのほか、新サービスとして外国人向けの多言語対応コールセンターサービスや、FAQページの翻訳サービスの提供も開始する。多言語コールセンターで国内実績トップクラスのインバウンドテックと業務提携し、リソースを活用することで高品質なサービスを提供していく。訪日外国人は2018年に年間3千万人を超えると言われており、2020年には東京オリンピックに向け更なる訪日外国人数の拡大が見込まれており、企業からのニーズも今後高まってくることが予想される。FAQの翻訳サービスについてはSaaS/ASP事業の領域となるが、市場の変化を先取りしていち早く潜在ニーズを取り込んでいく戦略だ。
なお、カスタマーサポート事業については、業界平均で10%前後の営業利益率があることから、今後は新規顧客の開拓を進めていくことで、同水準まで収益性を向上していくことを当面の目標としている。また、今回、レオコネクトを子会社化したことで、コールセンターの現場のニーズがより詳細かつ迅速に把握することが可能となり、SaaS/ASPサービスの開発面においても今後のシナジー効果が期待される。
(5) その他
その他、システム開発事業や出版事業についてはソフトブレーンの中でも積極的な事業拡大は考えていないため、前期並みの水準で見込んでいる。一方、EC事業については対戦型トレーディングカードの販売が好調なことから、2019年6月期も増収増益となる見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 2019年6月期の業績見通し
スカラ<4845>の2019年6月期の業績は、売上収益が前期比20.4%増の15,450百万円、営業利益が同18.3%増の1,830百万円、税引前利益が同18.5%増の1,820百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益が同16.0%増の820百万円と2ケタ増収増益となる見通し。引き続きSaaS/ASP事業やフィールドマーケティング事業の拡大が見込まれるほか、SFA事業も2ケタ増収増益と成長軌道に復帰する。売上収益についてはレオコネクトの業績が通期でフル寄与することも寄与する。上期については、開発費用や人材投資費用が先行するため、増益率は1ケタ台に鈍化するものの、下期以降は増収効果やレオコネクトの収益性向上なども見込まれ、増益率も拡大するものと予想される。
SaaS/ASP事業とカスタマーサポート事業のシナジー効果に期待
2.事業セグメント別の見通し
(1) SaaS/ASP事業
SaaS/ASP事業については、前期比で15%程度の増収増益を見込む。引き続き「iシリーズ」のクロスセルや新規顧客の開拓に取り組み、月額課金収益の積み上げを図っていくほか、一時金売上についても新規開発案件の売上げ貢献により増収が見込まれる。
「iシリーズ」では新サービスとなる「i-livechat」(Webチャットシステム)※の導入が、大手化粧品会社や大手損害保険会社で決定したほか、「i-assist」についても新たに大手化粧品会社、大手金融会社で導入が決定している。2018年6月期に新規導入が決まった「i-gift」も含めて、これら新サービスの売上が大きく貢献する見通し。特に、「i-livechat」や「i-assist」については同社の主力サービスである「i-ask」に蓄積されたナレッジデータベースを再利用することが可能なため、同サービスの利用顧客に対してクロスセルを提案し、契約に結び付けていく。また、「i-livechat」についてはLINEカスタマーコネクトとの連携サービスによる販売強化も進めていく方針だ。
※「i-livechat」は、サイト訪問者の疑問や悩みに対して、カスタマーサポートセンター等のオペレーターがリアルタイムでチャット形式により問題解決に導くことができるWebチャットサービス。「i-search」や「i-ask」との連動により、チャット対応画面でユーザーのコンテンツ内容をオペレーターが確認しながら対応することも可能となっており、顧客満足度の向上に寄与するサービスである。主に企業のコールセンターへの導入を想定しており、最低月額利用料金は20万円からとなる。
その他、前期に約6億円の売上収益を計上した損害保険ジャパン日本興亜向けについては、2019年6月期も自動車以外の保険販売システムの開発案件の売上計上が予定されており、増収が続く見込みとなっている。
(2) SFA事業
SFA事業についても前期比で15%程度の増収増益を見込んでいる。ソフトブレーンは12月決算のため、同社の会計期間(2019年6月期)に相当するソフトブレーンの業績は2018年12月期下期及び2019年12月期上期の業績が反映されることになる。ソフトブレーンの2018年12月期下期の計画及び中期経営計画で発表している2019年12月期の業績計画値の5割相当額を合算して伸び率を試算すると、売上収益は前期比23%増、営業利益は同46%増となる。会計基準が両社で異なるため若干の相違はあるものの、ソフトブレーンの業績が計画どおり進んだとすれば、上乗せ要因となる可能性がある。
なお、ソフトブレーンの「eセールスマネージャー」については引き続き成長が見込まれる。現在、顧客層を拡大するため、中小企業向けをターゲットとしたセルフサーブ型の「eセールスマネージャー Remix MS」を投入しているほか、業界特化型製品の開発を進めており2019年12月期以降の収益貢献が見込まれる。
(3) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業については前期比で5%程度の増収増益を見込んでいる。同様にソフトブレーンの業績計画に基づいて試算すると、売上収益で前期比1%増、営業利益で3%増益となる。同社の計画よりも低くなるが、これは2018年12月期上期の業績が計画を上回る増収増益となったため。7月以降も受注は好調に推移していることから、5%程度の増収増益は十分達成が可能な水準と弊社では見ている。
(4) カスタマーサポート事業
カスタマーサポート事業については売上収益で20億円強を見込んでいる。2018年6月期が4ヶ月で856百万円だったことから、単純に3倍すると25億円程度になるが、同社ではレオコネクトの収益性を向上するために、光通信グループ以外の顧客開拓を進めていく方針となっている。そのためには、コールセンターでの入電件数の削減を図り、新規顧客を受け入れる体制を整備することが重要と考えている。そのためのソリューションとして、同社の「IVR」を各コールセンターの拠点に導入し、また、顧客である光通信のグループ会社のWebサイトにも「i-ask」の導入提案を進めていく。「IVR」は自動音声応答システムで、レオコネクトのコールセンターにも他社システムが既に入っているものの、性能やコスト面で「IVR」が勝っており、順次リプレースしていく予定となっている。
このため、一時的に入電件数の減少により売上収益も伸び悩むと想定している。ただし、入電件数が減少し余力が生じた部分に関しては、光通信グループ以外の新規顧客で埋めていく計画となっており、スムーズに新規顧客を獲得できれば、収益面ではプラスになるものと思われる。また、「IVR」や「i-ask」の導入件数も増えるため、SaaS/ASP事業にとっても増収増益要因となる。
そのほか、新サービスとして外国人向けの多言語対応コールセンターサービスや、FAQページの翻訳サービスの提供も開始する。多言語コールセンターで国内実績トップクラスのインバウンドテックと業務提携し、リソースを活用することで高品質なサービスを提供していく。訪日外国人は2018年に年間3千万人を超えると言われており、2020年には東京オリンピックに向け更なる訪日外国人数の拡大が見込まれており、企業からのニーズも今後高まってくることが予想される。FAQの翻訳サービスについてはSaaS/ASP事業の領域となるが、市場の変化を先取りしていち早く潜在ニーズを取り込んでいく戦略だ。
なお、カスタマーサポート事業については、業界平均で10%前後の営業利益率があることから、今後は新規顧客の開拓を進めていくことで、同水準まで収益性を向上していくことを当面の目標としている。また、今回、レオコネクトを子会社化したことで、コールセンターの現場のニーズがより詳細かつ迅速に把握することが可能となり、SaaS/ASPサービスの開発面においても今後のシナジー効果が期待される。
(5) その他
その他、システム開発事業や出版事業についてはソフトブレーンの中でも積極的な事業拡大は考えていないため、前期並みの水準で見込んでいる。一方、EC事業については対戦型トレーディングカードの販売が好調なことから、2019年6月期も増収増益となる見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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