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マーケットE Research Memo(4):商材、サービスの拡大に伴い、3つの事業で成長シナリオを構築

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

1. 中長期的な成長戦略の概要
マーケットエンタープライズ<3135>はそのビジネスモデルに基づき、重要ポイントである仕入(買取)力や販売力の強化に努めていることは前述のとおりだ。2018年6月期は2つの買取拠点を新設し、10拠点体制を構築した。同社は仕入拠点については当面の需要に対応する体制が整ったとし、2019年6月期以降は販売面での強化に注力する方針だ。

同社の販売ルートはインターネットを活用したeコマースであり、この点では自社サイトを初め、主要なECモールへの出店は済んでいる。したがって、これから同社が取り組む販売力の強化は、取扱商材の強化ということになる。

同社は創業以来、個人向けリユースを前提として、家電やカメラ、時計、楽器、鉄道模型等の商材を幅広く(26品目)取り扱い、業容を拡大してきた。その間、農機具や通信事業子会社であるMEモバイルの設立、レンタル事業の開始など、新商材と新規事業(リユース以外の事業)の成長に取り組んだ。

そんな同社にとって、2018年6月期はターニングポイントだったと言えるだろう。農機具事業と通信事業が大きく伸長し、それがけん引役となって業績のV字回復を果たした。さらに期中には建機や医療機器のリユース事業にも乗り出したほか、メディア収入も特に利益面での貢献が大きくなりつつある。

こうした状況を受けて同社は、幅広い商材やサービスについて、ターゲット顧客や商材の性質などに基づいて「ネット型リユース」、「専門商材」及び「新規」の3つの事業区分に分け、それぞれのミッションを明確化して成長に取り組む新たな戦略を打ち出した。

以下では3つの事業区分について詳述する。


札幌拠点開設で仕入基盤が完成。次は生産性向上による収益性の一段の改善に取り組む
2. 「ネット型リユース」事業
「ネット型リユース」は同社の創業事業であり、個人向けリユース事業がほぼ当てはまる。別な表現をすれば、おおむね2017年6月期までの同社ということになる。すなわち、現在の同社の収益基盤を形成する“基盤領域”であり、それゆえ同社はここを同社グループの根幹と位置付けている。

ネット型リユース事業については、弊社の過去レポートで詳しく説明してきたが、ポイントは“買取(仕入)⇒在庫管理⇒販売”という流れの中で、いかに顧客満足度を高めるかにある。CtoBtoCにおいて、B(同社)の存在価値を顧客(買い手、売り手双方)にいかに認めてもらうか、ということだ。この点について同社は、豊富な取引実績と同業他社も含めた綿密な市場調査に基づいた査定データベースを構築するとともに、国内2ヶ所のコールセンター、10ヶ所の買取拠点を整備し、日本全国の査定・買取依頼に対応できる体制を構築して利用者の期待に応えている。

ネット型リユース事業のミッションについて同社は、1)持続的な売上拡大、と2)生産性の向上の2つを掲げている。このうち弊社が注目するのは生産性の向上だ。ネット型リユース事業の平均的な価格ゾーンは25,000円〜30,000円にあるとみられる。これ自体、まだ上昇していく余地はあると弊社では考えているが、収益拡大をけん引するのは取引量の拡大になるとみている。その際に、コールセンターや買取拠点の人員の増加をどう抑えるかがポイントになるとみている。

同社はこの点について既に対策を始めているもようだ。詳細は明らかにされていないが、AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して電話対応(内容としては電話査定や買取請求者の各種情報などとみられる)の自動化を図っていくものと弊社では推測している。こうした取り組みが順調に進めば、同社の取扱キャパシティの拡大に連動する形でネット型リユース事業の収益も拡大していくと弊社ではみている。

同社のネット型リユース事業についてはフリマアプリを活用したCtoC取引との競合を懸念する向きもあるだろう。弊社はこの点の懸念は不要だと考えている。売り手(C)と買い手(C)の間に同社(B)が介在することによってもたらされる安全・安心・簡便が改めて評価され、同社への買取依頼数及びそれに伴うリユース売上高は、2018年6月期第3四半期をボトムに、第4四半期には前年同期比でプラスに浮上している。CtoCとCtoBtoCとは、価格によってすみわけが成され、両者を合わせたリユース取引全体として成長が続くとみている。札幌リユースセンターの開設によって、同社は物量的にも地域的にも、買取拠点のインフラを一旦完成させた状況にある。次のステップとしての生産性向上に期待したい。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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