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ケアネット Research Memo(4):2018年12月期業績は過去最高売上を更新、利益も計画を上回る公算大

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2018年12月期の業績見通し
ケアネット<2150>の2018年12月期の連結業績は、売上高が前期比5.1%増の3,000百万円、営業利益が同10.3%増の450百万円、経常利益が同8.5%増の442百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同36.4%減の295百万円と期初計画を据え置いている。年間で最も繁忙期となる第4四半期の動向がまだ見えないためだが、第2四半期までの進捗率が売上高で47.4%、営業利益で53.2%と直近3年間の平均進捗率(売上高46.8%、営業利益39.4%)に対して上回っていること、また、第3四半期に入ってからもeプロモーションの受注が順調に推移していることなどから、通期業績も会社計画を上回る可能性が高いと弊社では見ている。売上高は2期連続で過去最高を更新し、営業利益に関しては2007年3月期(単独決算で422百万円)以来の最高益を更新する見通しだ。


専門医向けメディア「Doctor’s Picks」をオープン、新分野として「遠隔集中治療」にも進出し、2019年以降の更なる成長を目指す
2. 今後の成長戦略
同社は更なる成長を目指して、医薬営業支援サービス、医療コンテンツサービスでのサービス拡充に加えて、新分野への取り組みも開始している。それぞれの取り組みについては以下のとおり。

(1) 医薬営業支援サービス
医薬営業支援サービス事業では新たに専門医向けの新メディア「Doctor’s Picks」を「CareNet.com」内に2018年10月から正式オープンする予定である。ネット上に散在している医療情報の中から、各領域の専門医が注目する情報(学会発表論文等)をKOL(キー・オピニオンリーダー)やYOL(ヤング・オピニオンリーダー)等の医師自らが選び、解説や意見等のコメントを付けて共有する投稿サイトになる。専門性の高い医療情報に特化することで、医師は効率的に情報収集できるほか、他の医師のコメントに触れることで情報に対する理解を深めることが可能となる。既に2018年6月よりオンコロジー領域からプレオープンしている。「Doctor’s Picks」を立ち上げることで、専門医の会員数を増やし、スペシャリティ医薬品のプロモーションサービスを提供していくうえでの基盤を今まで以上に強固なものとし、製薬企業からの受注拡大を目指していく戦略となる。

また、サービス領域の拡大を図るため、ヘルスケア分野において異なる事業を行う6社でSSIコンソーシアムを2018年5月に設立、臨床開発から承認申請、上市準備、販売、安全性評価までのプロセスをワンストップでサポートする体制を構築した。従来は、上市後の販売プロモーション支援サービスが中心であったが、同コンソーシアムで一括受注した場合は、臨床試験を開始する製薬企業に対して「CareNet.com」の医師会員パネルから、治験に適した患者を持つ医師を紹介し、治験参加者を迅速に集めるサービスを提供することが可能となる。特に、スペシャリティ医薬品については、患者数も少なく治験参加者を集めるのに時間が掛かることから、ニーズは高いと見られる。試験的に2製剤で実施したところ好評だったことから、2019年12月期より本格的にサービス展開していく予定になっている。

(2)医療コンテンツサービス
医療コンテンツサービスでは「CareNetTV」が着実に伸びている一方で、「DVD」の販売減により全体の収益は伸び悩んでいるのが現状となっている。同社では同事業を成長軌道に乗せるための施策として、現在月額サービスで提供している動画コンテンツの販売形態やコンテンツの多様化を図り、より多くのニーズを取り込んでいく方針を打ち出している。

現在、提供している動画コンテンツの多くは20〜30代の若手医師向けの一般的な教育用動画が大半となっているが、より専門的かつ高度な内容をコンテンツ化し、PPV方式で提供していくことを考えている。例えば専門的な手術の術式動画や在宅医になるためのノウハウなどを想定している。サービスの開始は2019年12月期からを予定している。

(3) 新規分野
新規分野として「遠隔集中治療」の分野に進出すべく、T-ICU、ブイキューブとの業務提携を2018年7月に発表した。T-ICUは専門医による遠隔集中治療支援の普及に取り組んでいるベンチャー企業であり、インフラ部分を提供するブイキューブと合わせて3社共同で、全国に遠隔集中治療ソリューションを展開していくことになる。

集中治療とは、救急搬送後の応急処置が行われ容態が一旦安定した患者や、大手術を受けた後の患者など重症患者に対して、呼吸・循環管理、感染症管理等の全身管理を集中治療室で行い、問題が発生した場合に適切な処置を行うことを言う。幅広い医療知識が必要となるため集中治療専門医が必要となるが、現在、国内では圧倒的に専門医の数が不足している状況にある。集中治療室は全国で約1,100室あり、このうち約300室には5〜10人の集中治療専門医が在籍しているが、残りの800室には専門医が在籍しておらず専門医ではない医師でまかなっているのが現状となっている。

こうした需給のアンバランスを解消するためのソリューションとして、「遠隔集中治療」の導入を進めていくというのが今回の取り組みとなる。集中治療中患者の容態が急変した際に、集中治療専門医が不在でも遠隔地からビデオ通信システム等を介して現場の医師などに適切な処置を助言することで、状況の悪化を回避することが可能となる。「遠隔集中治療」の普及で先行している米国では既に全体の20%が「遠隔集中治療」の体制を整備していると言われており、国内でも今後普及する可能性は高い。

医療の地域格差を解消し、また、多くの重症患者の生命を救うことにもつながるソリューションとして、今後の成長期待は大きいと言える。

既に、千葉の病院で導入実績があるが、現在、システムの導入価格やサービス料金など価格体系をどのようにするかを検討しており、正式なサービス開始は2019年4月からを予定している。

(4) 再生細胞薬の適正使用、普及、安定流通に関する研究・開発
2018年9月10日には、サンバイオ<4592>との間で資本業務提携を行うことを発表した。再生細胞薬の研究・開発は、昨今では医薬品として承認され上市されるまでになり、今後のさらなる普及が見込まれている。このような状況下において、同社を含めたサンバイオ、バイタルケーエスケー・ホールディングス<3151>、(株)メディカルインキュベータジャパン、(株)アステムの5社は、再生細胞薬の適正使用・普及、安定流通のあり方を共同研究することを決定した。本プロジェクトにおける強固な協力体制を確保すべく、同社は再生細胞薬の開発を行っているサンバイオとの間で資本業務提携をすることに合意した。

本プロジェクトを通じて、同社とサンバイオは協力しながら、同社が培ってきた医薬品に関する医師・薬剤師向けの情報提供・教育等のノウハウを活用し、サンバイオが開発した再生細胞薬「SB623」の適正使用と普及を確立していく考えだ。

同社はサンバイオの普通株式6万株(発行済み株式に対し0.12%)を1億9020万円で取得する予定。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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