ダイキアクシス Research Memo(8):国内はストック型ビジネスの上水事業を強化
[18/09/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ダイキアクシス<4245>の中長期の成長戦略
3. 上水事業:高収益のストック型ビジネス
エスコサービスの契約期間は10年の長期にわたる。既存の顧客との契約が長期間にわたり継続して安定的な収益を生み、新規契約が収益を加算するストック(積み上げ)型のビジネスモデルになる。各現場とも、供給開始初年度から黒字化する。現在、投資金額や生産・施工能力から年間15件の獲得を上限としている。
供給設備の減価償却法は定額法を用いている。契約期間内の年間償却負担は一定だが、2年目より営業費用が不要になるため、営業利益率が大幅に改善する。さらに償却期間が終了した10年目以降も契約が継続されれば、収益性は飛躍的に上がることになる。エスコ事業は2006年12月期から開始されており、償却済みの高収益物件が増えることになるだろう。
最近の展開としては、バイオろ過技術の導入が挙げられる。これは鉄・マンガン・アンモニアを多く含む原水でも薬品注入を行わず、それらを除去できるようにしたことで、従来、飲料化が敬遠されていた地下水でもコストを抑え高度に処理することができるものだ。透析を行う医療機関では純度が高く大量の水を必要とするため、日々の使用以外にも緊急用としての需要拡大が見込まれる。
地方自治体による水道経営の持続性確保が危ぶまれている。水道設備の老朽化により更新が必要となるものの、少子高齢化による利用者数や1人当たりの使用量の減少が予想される。2015年2月に新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局が公表した「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?全国推計並びに報告書」によると、2040年時点において各事業体が赤字経営とならないために水道料金の値上げが必要とされる事業体数は1,221事業体に上り、分析対象全体の98%に及んだ。このうち、604事業体においては30%以上の料金改定が必要と推計している。飲水人口20万人未満の給水人口の少ない自治体ほど、料金改定率が高くなる傾向にある。地域別では北海道及び東北地方が多い。
自治体による水道料金の改定は同社の上水事業の需要を拡大する。水道料金の値上げは下水料金の引き上げを伴うため、使用した上水を再利用して排出量を抑制する中水事業のニーズを高める。PFIなどの形を取る行政の民間委託は、上水事業だけでなく排水処理のコミュニティプラントでも期待される。同社が上水・中水・下水のフルラインアップを持つ強みが生かされる事業環境となることが予想される。
4. 製品開発−高付加価値化
環境機器関連事業は、新製品の投入による高付加価値化に注力している。開発ポリシーは、高付加価値市場の開拓と価格・品質競争力の向上になる。2018年12月期は、中規模浄化槽の新ラインアップとなる「GA型」と同社が得意とするディスポーザーシステムの新製品「DAC-S」を上市する。「GA型」は、小中規模のマンションに対応する。受注生産による従来の円筒型を代替する新製品は、排水を浄化する生物処理能力を向上させ、コンパクトなカプセルタイプとした。在庫生産が可能であるため、納期短縮とコストダウンを実現する。従来製品と比べ容量を28%削減しており、価格はもとより施工性が向上している。
集合住宅用ディスポーザーシステムの「DAC-S」は、処理フローの見直しにより容量を従来製品比25%以上削減した。同製品の応用として、食品工場・給食センターなどの大型厨房向けに、外部で廃棄処理している生ごみをディスポーザーシステムの利用により排出ゼロ型の産業排水処理システムとすることができる。
2018年1月に買収、子会社化したDAインベントは、高温・高圧水熱処理、亜臨界装置などで複数の技術特許を保有する。同子会社の水熱処理装置「スーパースチーム」は、有機廃棄物の分解処理を行う。保有技術は、汚泥の減量化に応用が可能だ。同社が手掛けていなかった領域に事業を拡大することができるため、シナジー効果が期待される。
DCMグループ100店舗の屋根を利用する太陽光発電事業を開始する
5. 再生可能エネルギー関連事業
(1) 太陽光発電に係る売電事業
同社は、DCMグループの100店舗の屋根を賃借した太陽光発電に係る売電事業に乗り出した。長期固定買取価格(FIT)は、一部に18円/kWhがあるものの、ほとんどを2017年度の21円/kWhで申請済。2018年4月から着工し、2018年7月末現在で35店舗が系統連系された。すべての店舗の工事は、2019年12月期第2四半期までに完了する予定である。総設備投資額が50億円のプロジェクトになる。一部稼働の2018年12月期は売電収入が2億円程度にとどまるが、フル稼働すると年間売電収入は8億円、営業利益が4億円になると見込んでいる。
(2) 小形風力発電機関連事業
再生可能エネルギーによる電力の買取価格は、20kW未満の小形風力が2017年度に55円/kWhであったが、2018年度から20kWh以上と同区分になるため20円/kWhに改定された。ただし、2017年度までに小形風力で申請済みが約8,000件あるため、ここに営業を集中させる。小形風力発電機の買取価格が相対的に高いため、FITに対応する系統連系製品の需要が大きい。同社は、足元のニーズに応えるため、アジアの地形で実績のある中国製の水平軸方式の10kWの風車と大手国内電機メーカーのパワーコンディショナーを用いた「Sylphid HS-10」を投入する。同ビジネスは、有効期間が残り3年間と認識している。
グループ子会社は、乱気流の多い日本の風況に適した小形風力発電機として垂直軸方式を実用化させた。同製品は、系統連携による売電ではなく、自家向け発電用として公共施設や商業施設の補助電源や独立電源として自治体や企業に売り込んでいる。現在の製品の発電能力は3kWであるが、より実用性の高い10kWの「VAS10.0」やスケールダウンした1kW「VAS1.0」も開発中である。
2018年9月上旬に起きた北海道南西部を震源地とする地震は、マグニチュードが推定6.7だった。1995年の阪神淡路大震災を超える、道内全域295万世帯が停電に陥った。災害時に備え、災害本部となる自治体の施設は、長期化する停電に備えて、独立型電源の確保が望まれる。日本の国土は面積が世界の0.28%でしかないが、活火山の数は7.0%ある。マグニチュードM8〜9になるとみられる南海トラフ地震は、発生確率が30年以内に70%〜80%と予測されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<MH>
3. 上水事業:高収益のストック型ビジネス
エスコサービスの契約期間は10年の長期にわたる。既存の顧客との契約が長期間にわたり継続して安定的な収益を生み、新規契約が収益を加算するストック(積み上げ)型のビジネスモデルになる。各現場とも、供給開始初年度から黒字化する。現在、投資金額や生産・施工能力から年間15件の獲得を上限としている。
供給設備の減価償却法は定額法を用いている。契約期間内の年間償却負担は一定だが、2年目より営業費用が不要になるため、営業利益率が大幅に改善する。さらに償却期間が終了した10年目以降も契約が継続されれば、収益性は飛躍的に上がることになる。エスコ事業は2006年12月期から開始されており、償却済みの高収益物件が増えることになるだろう。
最近の展開としては、バイオろ過技術の導入が挙げられる。これは鉄・マンガン・アンモニアを多く含む原水でも薬品注入を行わず、それらを除去できるようにしたことで、従来、飲料化が敬遠されていた地下水でもコストを抑え高度に処理することができるものだ。透析を行う医療機関では純度が高く大量の水を必要とするため、日々の使用以外にも緊急用としての需要拡大が見込まれる。
地方自治体による水道経営の持続性確保が危ぶまれている。水道設備の老朽化により更新が必要となるものの、少子高齢化による利用者数や1人当たりの使用量の減少が予想される。2015年2月に新日本有限責任監査法人と水の安全保障戦略機構事務局が公表した「人口減少時代の水道料金はどうなるのか?全国推計並びに報告書」によると、2040年時点において各事業体が赤字経営とならないために水道料金の値上げが必要とされる事業体数は1,221事業体に上り、分析対象全体の98%に及んだ。このうち、604事業体においては30%以上の料金改定が必要と推計している。飲水人口20万人未満の給水人口の少ない自治体ほど、料金改定率が高くなる傾向にある。地域別では北海道及び東北地方が多い。
自治体による水道料金の改定は同社の上水事業の需要を拡大する。水道料金の値上げは下水料金の引き上げを伴うため、使用した上水を再利用して排出量を抑制する中水事業のニーズを高める。PFIなどの形を取る行政の民間委託は、上水事業だけでなく排水処理のコミュニティプラントでも期待される。同社が上水・中水・下水のフルラインアップを持つ強みが生かされる事業環境となることが予想される。
4. 製品開発−高付加価値化
環境機器関連事業は、新製品の投入による高付加価値化に注力している。開発ポリシーは、高付加価値市場の開拓と価格・品質競争力の向上になる。2018年12月期は、中規模浄化槽の新ラインアップとなる「GA型」と同社が得意とするディスポーザーシステムの新製品「DAC-S」を上市する。「GA型」は、小中規模のマンションに対応する。受注生産による従来の円筒型を代替する新製品は、排水を浄化する生物処理能力を向上させ、コンパクトなカプセルタイプとした。在庫生産が可能であるため、納期短縮とコストダウンを実現する。従来製品と比べ容量を28%削減しており、価格はもとより施工性が向上している。
集合住宅用ディスポーザーシステムの「DAC-S」は、処理フローの見直しにより容量を従来製品比25%以上削減した。同製品の応用として、食品工場・給食センターなどの大型厨房向けに、外部で廃棄処理している生ごみをディスポーザーシステムの利用により排出ゼロ型の産業排水処理システムとすることができる。
2018年1月に買収、子会社化したDAインベントは、高温・高圧水熱処理、亜臨界装置などで複数の技術特許を保有する。同子会社の水熱処理装置「スーパースチーム」は、有機廃棄物の分解処理を行う。保有技術は、汚泥の減量化に応用が可能だ。同社が手掛けていなかった領域に事業を拡大することができるため、シナジー効果が期待される。
DCMグループ100店舗の屋根を利用する太陽光発電事業を開始する
5. 再生可能エネルギー関連事業
(1) 太陽光発電に係る売電事業
同社は、DCMグループの100店舗の屋根を賃借した太陽光発電に係る売電事業に乗り出した。長期固定買取価格(FIT)は、一部に18円/kWhがあるものの、ほとんどを2017年度の21円/kWhで申請済。2018年4月から着工し、2018年7月末現在で35店舗が系統連系された。すべての店舗の工事は、2019年12月期第2四半期までに完了する予定である。総設備投資額が50億円のプロジェクトになる。一部稼働の2018年12月期は売電収入が2億円程度にとどまるが、フル稼働すると年間売電収入は8億円、営業利益が4億円になると見込んでいる。
(2) 小形風力発電機関連事業
再生可能エネルギーによる電力の買取価格は、20kW未満の小形風力が2017年度に55円/kWhであったが、2018年度から20kWh以上と同区分になるため20円/kWhに改定された。ただし、2017年度までに小形風力で申請済みが約8,000件あるため、ここに営業を集中させる。小形風力発電機の買取価格が相対的に高いため、FITに対応する系統連系製品の需要が大きい。同社は、足元のニーズに応えるため、アジアの地形で実績のある中国製の水平軸方式の10kWの風車と大手国内電機メーカーのパワーコンディショナーを用いた「Sylphid HS-10」を投入する。同ビジネスは、有効期間が残り3年間と認識している。
グループ子会社は、乱気流の多い日本の風況に適した小形風力発電機として垂直軸方式を実用化させた。同製品は、系統連携による売電ではなく、自家向け発電用として公共施設や商業施設の補助電源や独立電源として自治体や企業に売り込んでいる。現在の製品の発電能力は3kWであるが、より実用性の高い10kWの「VAS10.0」やスケールダウンした1kW「VAS1.0」も開発中である。
2018年9月上旬に起きた北海道南西部を震源地とする地震は、マグニチュードが推定6.7だった。1995年の阪神淡路大震災を超える、道内全域295万世帯が停電に陥った。災害時に備え、災害本部となる自治体の施設は、長期化する停電に備えて、独立型電源の確保が望まれる。日本の国土は面積が世界の0.28%でしかないが、活火山の数は7.0%ある。マグニチュードM8〜9になるとみられる南海トラフ地震は、発生確率が30年以内に70%〜80%と予測されている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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