サイバリンクス Research Memo(7):中期経営計画目標は2020年12月期に経常利益11億円(2)
[18/10/03]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の展望と成長戦略
6. 注目される展開・提携
サイバーリンクス<3683>はここ1年間ほどで、以下のような重要かつ注目すべき提携等を発表している。これらは即座に収益に影響を与えるものではないが、同社の技術力・開発力を示す点では中長期的に大いに注目すべきものであり、中期経営計画の達成には寄与するものと思われる。
(1) 時刻認証業務認定事業者(TSA)の認定取得
同社は2017年4月に時刻認証業務認定事業者(TSA)の認定資格を取得した。これにより、認定業者としてタイムスタンプを利用したサービスの提供が可能になり、これに併せて、スキャナ保存制度に対応したクラウドタイムスタンプサービス「サイバーリンクス タイムスタンプサービス」並びにタイムスタンプ対応ワークフロー(BPM)サービスである「TsunAG(ツナグ)for Time Stamp」の提供を行ってきたが、今回この「サイバーリンクス タイムスタンプサービス(モジュール開発)」を財務省より受注した。現在はテスト稼動中だが、2019年4月には本格開始される予定。
(2) NTTドコモとの共同開発による画像認識AIを活用した「棚SCAN-AI®」を発売
NTTドコモと画像認識AIを活用した商品棚認識システムの共同実証実験を進めてきた。この技術は、小売店等で陳列されている商品棚をスマートフォン等で撮影するとAI認識エンジンがあらかじめ保存されている商品データベースと照合し個々の商品別に単品解析する。これによって小売店本部においても棚割システムでの商品棚の再現、分析レポートの閲覧が可能になるものだが、2018年4月に製品である「棚SCAN-AI®」を発売した。
(3) 医療情報連携基盤システム「Open LINK for EHR」
災害時・緊急時の医療活動を支援する「Open LINK for EHR※」をオープンソースソフトウェアで提供することを決定した。「Open LINK for EHR」とは、様々な医療機関に蓄積された患者情報等を標準規格のSS-MIX2(データ形式HL7)に変換し、これらのデータをSS-MIX2リポジトリに集約・蓄積する。さらにこれらの患者情報を複数の医療機関で双方向で共有することができる仕組みだ。
※EHR:Electronic Health Record
既に総務省は、このようなEHR高度化支援のために16件の提案を予算交付先候補として決定しているが、同社のシステムは既にこの内の5地域(新潟、岐阜、愛知、高知、和歌山)で採用されている。
(4) 「和歌山県防災ナビ」の提供開始:キラーアプリとなる可能性も
同社が以前から行ってきた避難先検索、防災情報、避難トレーニング等を総合的に統合した和歌山県の公式防災アプリ「和歌山県防災ナビ」を2018年5月29日にリリースした。既に2018年8月14日時点で13,000ダウンロードを突破しており、今後も増加が見込まれている。
この製品は、今後の同社の事業を大きく変える可能性を秘めている。第一に、この製品の評価は非常に高く、既に多くの他府県から調査や見学者が訪れている。したがって今後は、他の都道府県にも導入される可能性がある。
第二に、一度この製品を導入すると、その上に様々なアプリを搭載することが可能であり、自治体向けのキラーアプリとなる可能性が高い。ただし、問題は「販売力」であり、現在の同社の規模・営業力では全国展開は容易ではない。自社で営業力を強化するのか、あるいは他社と提携を行うのか、同製品の営業戦略によって今後の同社の業態は大きく変わってくるだろう。その意味で、今後2〜3年の同製品の販売戦略・動向には大いに注目する必要がある。
7. 数値目標(中期経営計画)
中期経営計画の最終年度である2020年12月期の数値目標は以下のようになっている。
(1) 売上高と定常収入
2017年12月期の実績(売上高9,615百万円、うち定常収入4,240百万円、定常収入比率44.2%)に対して2020年12月期は売上高10,750百万円、定常収入4,950百万円、定常収入比率46.1%を目指す。成長ドライバーとなるのは主にITクラウド事業である。
(2) 経常利益と減価償却費
一方で経常利益は2017年12月期実績609百万円に対して2020年12月期に1,100百万円(2017年12月期比80.6%増)を目指している。ただし、2017年から2019年までは@rms新バージョンのリリースに伴う償却負担によって経常利益は伸び悩む見込みだが、2020年には償却負担が軽減されるため最終年度に利益が大きく伸びる計画だ。
また償却負担を除いた償却前経常利益は2017年12月期(実績)の1,101百万円から2020年12月期には1,460百万円(同32.6%増)と計画されている。また償却前経常利益率は、2017年12月期の11.5%から2010年12月期には13.6%に改善する予定だ。
(3) ROEの改善
同社はもう1つの目標としてROEの改善を掲げている。同社のROEは2017年12月期(実績)で7.2%だが、2020年12月期にはこれを15.0%以上に改善させる計画だ。ROE改善のためには、当然のことだが株主資本の減少か当期純利益の増加が必要になる。通常の企業では、前者(株主資本の減少)は考え難いので、ROE改善のためには当期純利益の増加が必要(必須)である。さらに当期純利益が増加したとしても、内部留保率(配当性向の反対)が高ければ株主資本も増加してしまうので、ROE改善のためには当期純利益の増加に加えて、配当性向の改善も必要となってくるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<NB>
6. 注目される展開・提携
サイバーリンクス<3683>はここ1年間ほどで、以下のような重要かつ注目すべき提携等を発表している。これらは即座に収益に影響を与えるものではないが、同社の技術力・開発力を示す点では中長期的に大いに注目すべきものであり、中期経営計画の達成には寄与するものと思われる。
(1) 時刻認証業務認定事業者(TSA)の認定取得
同社は2017年4月に時刻認証業務認定事業者(TSA)の認定資格を取得した。これにより、認定業者としてタイムスタンプを利用したサービスの提供が可能になり、これに併せて、スキャナ保存制度に対応したクラウドタイムスタンプサービス「サイバーリンクス タイムスタンプサービス」並びにタイムスタンプ対応ワークフロー(BPM)サービスである「TsunAG(ツナグ)for Time Stamp」の提供を行ってきたが、今回この「サイバーリンクス タイムスタンプサービス(モジュール開発)」を財務省より受注した。現在はテスト稼動中だが、2019年4月には本格開始される予定。
(2) NTTドコモとの共同開発による画像認識AIを活用した「棚SCAN-AI®」を発売
NTTドコモと画像認識AIを活用した商品棚認識システムの共同実証実験を進めてきた。この技術は、小売店等で陳列されている商品棚をスマートフォン等で撮影するとAI認識エンジンがあらかじめ保存されている商品データベースと照合し個々の商品別に単品解析する。これによって小売店本部においても棚割システムでの商品棚の再現、分析レポートの閲覧が可能になるものだが、2018年4月に製品である「棚SCAN-AI®」を発売した。
(3) 医療情報連携基盤システム「Open LINK for EHR」
災害時・緊急時の医療活動を支援する「Open LINK for EHR※」をオープンソースソフトウェアで提供することを決定した。「Open LINK for EHR」とは、様々な医療機関に蓄積された患者情報等を標準規格のSS-MIX2(データ形式HL7)に変換し、これらのデータをSS-MIX2リポジトリに集約・蓄積する。さらにこれらの患者情報を複数の医療機関で双方向で共有することができる仕組みだ。
※EHR:Electronic Health Record
既に総務省は、このようなEHR高度化支援のために16件の提案を予算交付先候補として決定しているが、同社のシステムは既にこの内の5地域(新潟、岐阜、愛知、高知、和歌山)で採用されている。
(4) 「和歌山県防災ナビ」の提供開始:キラーアプリとなる可能性も
同社が以前から行ってきた避難先検索、防災情報、避難トレーニング等を総合的に統合した和歌山県の公式防災アプリ「和歌山県防災ナビ」を2018年5月29日にリリースした。既に2018年8月14日時点で13,000ダウンロードを突破しており、今後も増加が見込まれている。
この製品は、今後の同社の事業を大きく変える可能性を秘めている。第一に、この製品の評価は非常に高く、既に多くの他府県から調査や見学者が訪れている。したがって今後は、他の都道府県にも導入される可能性がある。
第二に、一度この製品を導入すると、その上に様々なアプリを搭載することが可能であり、自治体向けのキラーアプリとなる可能性が高い。ただし、問題は「販売力」であり、現在の同社の規模・営業力では全国展開は容易ではない。自社で営業力を強化するのか、あるいは他社と提携を行うのか、同製品の営業戦略によって今後の同社の業態は大きく変わってくるだろう。その意味で、今後2〜3年の同製品の販売戦略・動向には大いに注目する必要がある。
7. 数値目標(中期経営計画)
中期経営計画の最終年度である2020年12月期の数値目標は以下のようになっている。
(1) 売上高と定常収入
2017年12月期の実績(売上高9,615百万円、うち定常収入4,240百万円、定常収入比率44.2%)に対して2020年12月期は売上高10,750百万円、定常収入4,950百万円、定常収入比率46.1%を目指す。成長ドライバーとなるのは主にITクラウド事業である。
(2) 経常利益と減価償却費
一方で経常利益は2017年12月期実績609百万円に対して2020年12月期に1,100百万円(2017年12月期比80.6%増)を目指している。ただし、2017年から2019年までは@rms新バージョンのリリースに伴う償却負担によって経常利益は伸び悩む見込みだが、2020年には償却負担が軽減されるため最終年度に利益が大きく伸びる計画だ。
また償却負担を除いた償却前経常利益は2017年12月期(実績)の1,101百万円から2020年12月期には1,460百万円(同32.6%増)と計画されている。また償却前経常利益率は、2017年12月期の11.5%から2010年12月期には13.6%に改善する予定だ。
(3) ROEの改善
同社はもう1つの目標としてROEの改善を掲げている。同社のROEは2017年12月期(実績)で7.2%だが、2020年12月期にはこれを15.0%以上に改善させる計画だ。ROE改善のためには、当然のことだが株主資本の減少か当期純利益の増加が必要になる。通常の企業では、前者(株主資本の減少)は考え難いので、ROE改善のためには当期純利益の増加が必要(必須)である。さらに当期純利益が増加したとしても、内部留保率(配当性向の反対)が高ければ株主資本も増加してしまうので、ROE改善のためには当期純利益の増加に加えて、配当性向の改善も必要となってくるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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