日本再生可能エネ Research Memo(6):中期的に資産規模1,000億円を目指す
[18/10/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■成長戦略
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人<9283>では、中期的に資産規模1,000億円を目指している。それを実現するために、スポンサーの充実したパイプラインの活用、地域に根差した事業展開、東急不動産とスポンサーの資本業務提携、ESG投資対応、太陽光発電事業以外への展開等の成長戦略を掲げている。
1. スポンサーのパイプラインの活用
まず、スポンサーのパイプラインについては、スポンサーは2018年4月末現在、合計40物件、パネル出力合計461.0MWのパイプラインを有しており、うち着工済(運転開始済を含む)は21件/135.2MW、未着工・認定取得済が19物件/325.8MWである。スポンサーのパイプラインのすべての物件が、必ずしも同投資法人に組み入れられるわけではないが、同投資法人は優先的売買交渉権を有している。特に2020年以降にパネル出力が飛躍的に拡大する計画であり、同投資法人の現在の合計パネル出力51.662MWに比べると、パイプラインは8.9倍に相当する。さらに、これに東急不動産からの設備取得が加わる予定であり、同投資法人の成長余力は非常に大きいと言えるだろう。
2. 地域に根差した事業展開
地域に根差した事業展開としては、スポンサーは岩手県一関市、宮城県気仙沼市、静岡県伊豆の国市、三重県松阪市、奈良県吉野郡吉野町、熊本県阿蘇郡南阿蘇村、鹿児島県垂水市、鹿児島県肝属郡肝付町の8自治体と立地協定を結び、10の地方事務所を展開している。立地協定とは、山林等遊休地の利活用による地域振興と地元の雇用拡大、再生可能エネルギーの普及・啓発等を目的として、地方自治体と連携するために締結する協定を指す。立地協定に基づき、地方事務所は発電所の保守・管理を行うだけでなく、地域住民との交流を行うことで新たな物件取得につなげる考えである。
3. 東急不動産とスポンサーの資本業務提携
東急不動産とスポンサーの資本業務提携では、それぞれ両社が有する再生可能エネルギー発電事業に関するノウハウを共同活用することで、再生可能エネルギー発電事業を推進する。両社は再生可能エネルギー発電設備の共同出資ファンドの組成を目指し、共同出資ファンドが保有する再生可能エネルギー発電設備は、今後、同投資法人に対して優先的に供給される計画である。この資本業務提携は、同投資法人の中長期的な成長に寄与する見通しである。
東急不動産とスポンサーの資本業務提携では、進行中のプロジェクトとして、岩手県一関市では国営開発農地を有効活用した大規模なソーラー・シェアリング(営農型発電)を展開している。ソーラー・シェアリングとは、農地に支柱を立てて太陽光発電設備を設置し、営農継続と太陽光発電事業の両立を目指すものである。発電事業収入の一部は営農支援費用として農業振興公社に支払われ、地域創生にも貢献する計画である。
4. ESG投資対応
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉で、これらに関する経営情報を考慮して投資するのがESG投資である。同投資法人は、ESG投資対応として、我が国インフラファンド初のGRESBインフラ版に参加している。同投資法人が保有する一関市金沢太陽光発電所は、グローバルの相対評価によるGRESBレーティングにおいて3スター(最上位は5スター)を取得し(2017年、2018年2年連続)、アジアで3位(8太陽光発電所中)の評価を受けた。同じく伊勢市柏町西ノ野太陽光発電所も2018年から参加し、3スター(同上)を取得し、アジアで2位(同上)の高評価を得た。資産運用会社としても「サステナビリティ方針」を策定し、ESGに配慮した投資を行っている機関投資家に、積極的な組入対象として訴求する考えである。なお、同投資法人が2018年7月末現在保有する17発電所が、1年間に削減する二酸化炭素の量は14,800トンである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<MH>
日本再生可能エネルギーインフラ投資法人<9283>では、中期的に資産規模1,000億円を目指している。それを実現するために、スポンサーの充実したパイプラインの活用、地域に根差した事業展開、東急不動産とスポンサーの資本業務提携、ESG投資対応、太陽光発電事業以外への展開等の成長戦略を掲げている。
1. スポンサーのパイプラインの活用
まず、スポンサーのパイプラインについては、スポンサーは2018年4月末現在、合計40物件、パネル出力合計461.0MWのパイプラインを有しており、うち着工済(運転開始済を含む)は21件/135.2MW、未着工・認定取得済が19物件/325.8MWである。スポンサーのパイプラインのすべての物件が、必ずしも同投資法人に組み入れられるわけではないが、同投資法人は優先的売買交渉権を有している。特に2020年以降にパネル出力が飛躍的に拡大する計画であり、同投資法人の現在の合計パネル出力51.662MWに比べると、パイプラインは8.9倍に相当する。さらに、これに東急不動産からの設備取得が加わる予定であり、同投資法人の成長余力は非常に大きいと言えるだろう。
2. 地域に根差した事業展開
地域に根差した事業展開としては、スポンサーは岩手県一関市、宮城県気仙沼市、静岡県伊豆の国市、三重県松阪市、奈良県吉野郡吉野町、熊本県阿蘇郡南阿蘇村、鹿児島県垂水市、鹿児島県肝属郡肝付町の8自治体と立地協定を結び、10の地方事務所を展開している。立地協定とは、山林等遊休地の利活用による地域振興と地元の雇用拡大、再生可能エネルギーの普及・啓発等を目的として、地方自治体と連携するために締結する協定を指す。立地協定に基づき、地方事務所は発電所の保守・管理を行うだけでなく、地域住民との交流を行うことで新たな物件取得につなげる考えである。
3. 東急不動産とスポンサーの資本業務提携
東急不動産とスポンサーの資本業務提携では、それぞれ両社が有する再生可能エネルギー発電事業に関するノウハウを共同活用することで、再生可能エネルギー発電事業を推進する。両社は再生可能エネルギー発電設備の共同出資ファンドの組成を目指し、共同出資ファンドが保有する再生可能エネルギー発電設備は、今後、同投資法人に対して優先的に供給される計画である。この資本業務提携は、同投資法人の中長期的な成長に寄与する見通しである。
東急不動産とスポンサーの資本業務提携では、進行中のプロジェクトとして、岩手県一関市では国営開発農地を有効活用した大規模なソーラー・シェアリング(営農型発電)を展開している。ソーラー・シェアリングとは、農地に支柱を立てて太陽光発電設備を設置し、営農継続と太陽光発電事業の両立を目指すものである。発電事業収入の一部は営農支援費用として農業振興公社に支払われ、地域創生にも貢献する計画である。
4. ESG投資対応
ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉で、これらに関する経営情報を考慮して投資するのがESG投資である。同投資法人は、ESG投資対応として、我が国インフラファンド初のGRESBインフラ版に参加している。同投資法人が保有する一関市金沢太陽光発電所は、グローバルの相対評価によるGRESBレーティングにおいて3スター(最上位は5スター)を取得し(2017年、2018年2年連続)、アジアで3位(8太陽光発電所中)の評価を受けた。同じく伊勢市柏町西ノ野太陽光発電所も2018年から参加し、3スター(同上)を取得し、アジアで2位(同上)の高評価を得た。資産運用会社としても「サステナビリティ方針」を策定し、ESGに配慮した投資を行っている機関投資家に、積極的な組入対象として訴求する考えである。なお、同投資法人が2018年7月末現在保有する17発電所が、1年間に削減する二酸化炭素の量は14,800トンである。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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