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ソフトブレーン Research Memo(7):「eセールスマネージャー」は新製品の投入により顧客層の拡大を図る

注目トピックス 日本株
■中期経営計画

2. 事業別成長戦略
(1) 営業イノベーション事業
営業イノベーション事業における事業環境については、引き続き追い風が続くとの認識だ。国内の生産年齢人口が減少傾向をたどるなかで、企業にとっては「生産性向上」と「売上拡大」が重要課題となっており、それを解決するソリューションとして、ソフトブレーン<4779>の「eセールスマネージャー」(仕組みづくり)や営業コンサルティング、トレーニングサービス(型づくり)の需要が拡大していくと見ている。SFA(営業支援ソフト)を提供する競合は多いが、同社のようにコンサルティングやトレーニングサービス等の導入前・導入後のサービスまでトータルソリューションとして提案できる企業は少なく、同社の強みの1つとなる。

対象市場のポテンシャルは、日本の全企業(約410万社)、総営業員数で260万人となる。長期的にはアジアを中心としたグローバル展開も見据えている。今回の中期経営計画ではこのうち、IT投資余力のある「大企業」と「黒字の中堅・中小企業」、社数で約22万社、営業人員で160万人をターゲットとする。

同社の推計によれば、SFAの導入比率はターゲットとする約22万社のうち14%程度とまだ低く、また、導入してもアクティブにその機能を使いこなせている企業は全体の3.5%にしか過ぎないと見ている。アクティブ率に関しては、同社が営業活動を行うなかで他社製品を利用している企業の利用状況などから推計している。こうした状況を鑑みると、SFAの成長ポテンシャルは依然大きいと言えるだろう。市場調査会社が発表している国内のCRM/SFA市場予測でも、2016年の335億円から2020年は552億円と年率13%で成長が続く見通しとなっている。

同社ではこうした市場環境下で、「既存モデルの強化」に加えて、従来アプローチしきれていなかった「中堅・中小企業」と規制産業・特殊業務が発生する「特定業種」向けに最適な製品・サービスを開発、提供していくことで、顧客層の拡大を図り収益成長を目指していく戦略となっている。

「中堅・中小企業」向けの製品としては、前述したようにセルフサーブ型の「eセールスマネージャーRemix MS」を2017年12月にリリースしており、現在はユーザーの声を反映させ使い勝手の良い追加機能の拡充を進めている。2018年10月頃に2ndバージョンをリリースする予定となっている。問い合わせから導入、各種設定、契約まですべてをインターネットで完結するようにしたことで、従来品の約6割の月額利用料金(3,500円/ID〜)を実現し、中堅・中小企業でも導入の敷居を低くしている。30日間の無料トライアル期間で同社製品の「使い勝手」の良さを実感してもらい、本契約に結び付けていく考えだ。同社では2ndバージョンの反響が良ければ、販促活動も本格的に実施していく予定にしている。

また、「特定業種」向けの製品については業界大手で既に同社の顧客となっている企業の協力を仰ぎながら、同業界でのベストなSFAツールを開発、標準化し、業界内での顧客開拓を進めていく戦略となっている。従来は、顧客ごとのニーズに合わせて個別に開発していたが、標準化することで開発コストが低減し、価格競争力の向上により顧客開拓が進むと見られる。主に金融、製薬、不動産等の営業人員を多く抱える業界をターゲットとしており、既にいくつかの開発案件がスタートしているもようだ。

中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高65億円、営業利益で12億円、営業利益率18%を掲げ、年平均売上成長率では16%となる。なお、目標値には「中堅・中小企業」「特定業種」向け新製品の収益貢献については予測が困難なことから織り込んでおらず、既存モデルの成長のみを前提とした数値となっている。このため、新製品が順調に成長すれば目標値から上積みされる可能性もある。営業利益率に関しては開発投資を継続的に行っていくため大きな上昇を見込んでいないが、ストック収益の売上比率に関しては現在の約5割から7割程度まで引き上げていきたい考えで、収益の安定性は増していくものと予想される。2021年以降は、SFAの普及が加速化するほか新製品についても本格的に収益貢献し始めることから、年平均売上成長率は20〜30%と加速化し、高成長フェーズに入ると会社側では見ている。

(2) フィールドマーケティング事業
フィールドマーケティング事業を取り巻く市場環境は、少子高齢化の進展や企業の働き方改革への取り組み、アウトソーシングの活用などによって今後も追い風が続くものと予想される。特に、女性活躍推進法など女性労働力の活用を促進する法整備が進んでいることもあり、新たな労働力として主婦層に注目が集まっている。

同社の推計によれば、消費財メーカーの店舗ラウンダーの市場規模は1,000億円程度(潜在需要含む)と見られ、このうち同社の売上げは30億円台で約3%の水準となっている。今後も消費財メーカーのラウンダー業務のアウトソーシング化が続くこともあり、同市場だけでも今後の成長ポテンシャルは大きい。同社ではラウンダー市場に加えて、フィールド(営業)市場のアウトソーシング需要も取り込んでいくことを計画している。特定のスキルが要求されない簡易な業務で、例えばガスメーターのチェックやマンションの電力サービス切り替え時における居住者への同意確認のための訪問活動、在宅業務などが挙げられる。こうしたフィールド市場全体で見れば2兆円の市場規模(アウトソーシング率10%と仮定)になると見られ、潜在的なポテンシャルは大きいと言える。

また、長期的には全国の地域コミュニティに張り巡らされた主婦ネットワークを最大活用することで、地域コミュニティの活性化に繋がるサービスを提供していくことも想定している。高齢者に対する買い物や家事等の生活支援サービスなどが考えられる。そのほか、新サービスとして取り組んでいる「Point of Buy®」(購買理由データ提供サービス)についても今下期から本格的に拡販を進めていく方針となっており、今後の収益貢献が期待される。

中期経営計画での業績目標は、2020年12月期に売上高39億円、営業利益で3.4億円、営業利益率9%を掲げ、年平均売上成長率では7%と安定成長を見込んでいる。また、同事業についても2021年以降は業容の拡大により、年率10〜20%の売上成長を目標としている。


2020年12月期に営業利益で15億円を目指す
3. 経営数値目標
中期経営計画の最終年度となる2020年12月期の経営数値目標としては、売上高113億円、営業利益15億円、営業利益率14%を掲げている。主力の営業イノベーション事業やフィールドマーケティング事業が収益のけん引役となるが、システム開発事業や出版事業も堅調な推移を見込んでいる。4つの事業で、企業の営業・IT・マーケティング活動をワンストップで支援し、中長期的な収益成長を実現していく方針だ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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