ワールドHD Research Memo(7):2021年度の業績目標に向け順調に進捗
[18/10/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中期経営計画について
1. 中期経営計画の概要
ワールドホールディングス<2429>は2021年までの中期経営計画を2017年2月に発表している。中期経営計画の基本戦略として、中期経営計画の前半では既存の3つのコアビジネスを中心として、経営基盤の強化と既存ビジネスの周辺領域への拡大を図り、後半は新たなビジネス領域への進出によって事業の裾野を拡大する計画となっている。また、事業の拡大に当たってはグループシナジーが見込まれる企業等を中心に、M&Aの活用も引き続き検討していく。
最終年度となる2021年12月期の経営数値目標としては、売上高で2,000億円(2016年12月期比2.1倍増)、営業利益で100億円(同35%増)、ROE20%以上(2016年12月期実績33.5%)、自己資本比率20%以上(同19.4%)を掲げ、成長投資(M&A資金)として100億円を見込んでいる。主力3事業ともに5年間で約2倍の事業規模に拡大する計画で、営業利益率は5.0%とやや保守的に想定しているが、売上規模が計画どおりとなればスケールメリットにより6〜7%の水準は達成可能と見られる。初年度となる2017年12月期は売上高、営業利益ともに計画を上回り、2年目となる2018年12月期も当初の中期経営計画の目標値を上回る順調なペースで推移している。
人材・教育ビジネスは人材育成プロセスの充実を強みとして差別化を図り成長を目指す
2. 事業別戦略
(1) 人材・教育ビジネス
人材・教育ビジネスを取り巻く外部環境は、慢性的な人手不足や「働き方改革」の推進などによって、女性や高齢者、外国人など新たな労働力を活用する場が広がってきており、今後も人材派遣市場は安定的な成長が見込まれている。また、一方で労働者派遣法改正を契機に、業界大手の寡占化が進んでおり、同社においても競合他社と差別化を図ることによって成長の基盤となる人材の確保に取り組んでいく戦略となっている。
同社の差別化戦略としては、特徴である幅広い業種や働き方を選べる入社ルートを更に拡充させることによって、人材採用の要となる「集める力」を高め、誰もが働ける場と学び直しの場(人材育成プロセス)とその環境で育成した人材によって高い技術力を持った人材プラットフォームを構築することで、自らの成長の可能性を追求し挑戦できる環境を提供。成功事例を積み上げることによって幅広い人材に対して魅力ある会社であることが訴求できるブランド力「集まる力」を醸成し、安定した基盤構築と更なる領域の拡大へとつなげ、事業規模を拡大していく戦略となっている。人材育成プロセスでは、個々の社員のスキルアップやキャリアアップにつながる育成プログラムを拡充して、安定した就業環境の場を提供するだけでなく、キャリアアップによって高収入を得られる将来のロードマップを描ける環境も整備することで、ブランディングを確立し、「集まる力」を醸成していく。育成プログラムによりスキルアップした人材が増えれば自ずと高いスキルが求められる高付加価値案件の受注比率が高まるほか、社員の定着率も向上することになる。同社ではここ1〜2年、こうした人材育成投資に関して積極的に投資を行っており、利益率が伸び悩む要因ともなっているが、今後はこうした投資の成果が業績面で顕在化してくるものと予想される。
(2) 不動産ビジネス
不動産ビジネスにおいては、中期経営計画の期間中にポートフォリオの再構築を進め、戦略的に地域・市況に合わせた柔軟な仕入・販売を可能とする運営体系を構築し、経済環境に左右されない安定した収益構造を構築することを目指していく。ストックビジネスであるリノベーション、ユニットハウス、賃貸管理、売買仲介等を安定成長基盤として拡大しながら、フロービジネスであるデベロップメントや戸建住宅については市況変動に応じて最適な仕入販売を行うことで、利益の最大化を実現していく戦略だ。
ストックビジネスは資金の回収期間も短いため、これら事業を拡大することで、不動産ビジネス全体のキャッシュ効率も向上し、財務基盤の強化が進むものと予想される。また、戸建住宅・リノベーション、ユニットハウスについてはエリアを拡大して成長を進めていくことも可能だ。不動産市況の変動に影響を受けるデベロップメント事業は、より慎重な用地仕入を進めている。
当中期経営計画期間において最も成長を期待しているのはリノベーション事業で、販売戸数で2017年12月期実績の508戸(2018年12月第2四半期累計期間では327戸)から、2021年12月期には1,500戸と3倍増を目指している。営業拠点は現在、福岡、東京、横浜、埼玉、名古屋、大阪、奈良、広島、岡山、北海道にあるが、今後、順次エリアも拡大していく予定で、当面は九州、東北、北海道等の地方エリアでトップシェアを目指す方針だ。ちなみに、現在の業界最大手はカチタス<8919>で2017年度の販売実績は4,773戸となっている。
戸建住宅事業では、北海道内でのエリア拡大を進めていくほか、2018年3月には仙台にも進出し事業展開を進めている。今後はグループ基盤を生かして累計4,000戸以上の販売済み物件に対して、リフォーム・リノベーション等の需要も取り込んでいく方針となっている。当中期経営計画期間内の売上計画は約80億円、年間供給戸数は300〜350戸と横ばい水準で想定しているが、当面はグループシナジーを活用することで事業規模を拡大していく可能性が高いと弊社では見ている。
ユニットハウスでは、既存のユニットハウスに加えて2017年より投入したトイレハウスの販売も拡大していく。同製品は、国土交通省が定める快適トイレの標準仕様に則った仮設トイレを認定する「快適トイレ認定」で最高レベルの2つ星を取得しており、今後もメーカーという立場から独自技術で新製品を開発し、業界での存在感を高めていく戦略となっている。
(3) 情報通信ビジネス
情報通信ビジネスのうち、携帯ショップ事業については前述した通り、2020年頃までスクラップ&ビルドにより収益体質の強化を図り、残存者利益を獲得していく戦略で、九州エリアでのトップシェアを目標としている。一方、法人向け事業については、中小企業に対するコスト削減ソリューションだけでなく、IT関連の新商材の拡充や営業エリアの拡大によって成長を目指して行く戦略だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 中期経営計画の概要
ワールドホールディングス<2429>は2021年までの中期経営計画を2017年2月に発表している。中期経営計画の基本戦略として、中期経営計画の前半では既存の3つのコアビジネスを中心として、経営基盤の強化と既存ビジネスの周辺領域への拡大を図り、後半は新たなビジネス領域への進出によって事業の裾野を拡大する計画となっている。また、事業の拡大に当たってはグループシナジーが見込まれる企業等を中心に、M&Aの活用も引き続き検討していく。
最終年度となる2021年12月期の経営数値目標としては、売上高で2,000億円(2016年12月期比2.1倍増)、営業利益で100億円(同35%増)、ROE20%以上(2016年12月期実績33.5%)、自己資本比率20%以上(同19.4%)を掲げ、成長投資(M&A資金)として100億円を見込んでいる。主力3事業ともに5年間で約2倍の事業規模に拡大する計画で、営業利益率は5.0%とやや保守的に想定しているが、売上規模が計画どおりとなればスケールメリットにより6〜7%の水準は達成可能と見られる。初年度となる2017年12月期は売上高、営業利益ともに計画を上回り、2年目となる2018年12月期も当初の中期経営計画の目標値を上回る順調なペースで推移している。
人材・教育ビジネスは人材育成プロセスの充実を強みとして差別化を図り成長を目指す
2. 事業別戦略
(1) 人材・教育ビジネス
人材・教育ビジネスを取り巻く外部環境は、慢性的な人手不足や「働き方改革」の推進などによって、女性や高齢者、外国人など新たな労働力を活用する場が広がってきており、今後も人材派遣市場は安定的な成長が見込まれている。また、一方で労働者派遣法改正を契機に、業界大手の寡占化が進んでおり、同社においても競合他社と差別化を図ることによって成長の基盤となる人材の確保に取り組んでいく戦略となっている。
同社の差別化戦略としては、特徴である幅広い業種や働き方を選べる入社ルートを更に拡充させることによって、人材採用の要となる「集める力」を高め、誰もが働ける場と学び直しの場(人材育成プロセス)とその環境で育成した人材によって高い技術力を持った人材プラットフォームを構築することで、自らの成長の可能性を追求し挑戦できる環境を提供。成功事例を積み上げることによって幅広い人材に対して魅力ある会社であることが訴求できるブランド力「集まる力」を醸成し、安定した基盤構築と更なる領域の拡大へとつなげ、事業規模を拡大していく戦略となっている。人材育成プロセスでは、個々の社員のスキルアップやキャリアアップにつながる育成プログラムを拡充して、安定した就業環境の場を提供するだけでなく、キャリアアップによって高収入を得られる将来のロードマップを描ける環境も整備することで、ブランディングを確立し、「集まる力」を醸成していく。育成プログラムによりスキルアップした人材が増えれば自ずと高いスキルが求められる高付加価値案件の受注比率が高まるほか、社員の定着率も向上することになる。同社ではここ1〜2年、こうした人材育成投資に関して積極的に投資を行っており、利益率が伸び悩む要因ともなっているが、今後はこうした投資の成果が業績面で顕在化してくるものと予想される。
(2) 不動産ビジネス
不動産ビジネスにおいては、中期経営計画の期間中にポートフォリオの再構築を進め、戦略的に地域・市況に合わせた柔軟な仕入・販売を可能とする運営体系を構築し、経済環境に左右されない安定した収益構造を構築することを目指していく。ストックビジネスであるリノベーション、ユニットハウス、賃貸管理、売買仲介等を安定成長基盤として拡大しながら、フロービジネスであるデベロップメントや戸建住宅については市況変動に応じて最適な仕入販売を行うことで、利益の最大化を実現していく戦略だ。
ストックビジネスは資金の回収期間も短いため、これら事業を拡大することで、不動産ビジネス全体のキャッシュ効率も向上し、財務基盤の強化が進むものと予想される。また、戸建住宅・リノベーション、ユニットハウスについてはエリアを拡大して成長を進めていくことも可能だ。不動産市況の変動に影響を受けるデベロップメント事業は、より慎重な用地仕入を進めている。
当中期経営計画期間において最も成長を期待しているのはリノベーション事業で、販売戸数で2017年12月期実績の508戸(2018年12月第2四半期累計期間では327戸)から、2021年12月期には1,500戸と3倍増を目指している。営業拠点は現在、福岡、東京、横浜、埼玉、名古屋、大阪、奈良、広島、岡山、北海道にあるが、今後、順次エリアも拡大していく予定で、当面は九州、東北、北海道等の地方エリアでトップシェアを目指す方針だ。ちなみに、現在の業界最大手はカチタス<8919>で2017年度の販売実績は4,773戸となっている。
戸建住宅事業では、北海道内でのエリア拡大を進めていくほか、2018年3月には仙台にも進出し事業展開を進めている。今後はグループ基盤を生かして累計4,000戸以上の販売済み物件に対して、リフォーム・リノベーション等の需要も取り込んでいく方針となっている。当中期経営計画期間内の売上計画は約80億円、年間供給戸数は300〜350戸と横ばい水準で想定しているが、当面はグループシナジーを活用することで事業規模を拡大していく可能性が高いと弊社では見ている。
ユニットハウスでは、既存のユニットハウスに加えて2017年より投入したトイレハウスの販売も拡大していく。同製品は、国土交通省が定める快適トイレの標準仕様に則った仮設トイレを認定する「快適トイレ認定」で最高レベルの2つ星を取得しており、今後もメーカーという立場から独自技術で新製品を開発し、業界での存在感を高めていく戦略となっている。
(3) 情報通信ビジネス
情報通信ビジネスのうち、携帯ショップ事業については前述した通り、2020年頃までスクラップ&ビルドにより収益体質の強化を図り、残存者利益を獲得していく戦略で、九州エリアでのトップシェアを目標としている。一方、法人向け事業については、中小企業に対するコスト削減ソリューションだけでなく、IT関連の新商材の拡充や営業エリアの拡大によって成長を目指して行く戦略だ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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