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AOITYOHold Research Memo(2):AOI Pro.とTYOの経営統合により設立された共同持株会社

注目トピックス 日本株
■会社概要

1. 事業概要
AOI TYO Holdings<3975>は、AOI Pro.とTYOを傘下に持つ共同持株会社であり、テレビCMの企画・制作を始め、広告主直接取引やWeb動画などのデジタルコンテンツを軸とした「ソリューション事業」などを手掛けている。業界大手2社の経営統合により2017年1月に設立され、テレビCM制作においてはトップシェアを誇る※。

※これまで、東北新社<2329> を筆頭に、AOI Pro.とTYOの業界大手3社が業界のシェア3〜4 割を分け合う構造が続いてきたが、今回の経営統合によりトップシェアを握るに至った。


事業セグメントは、広告事業及び映像関連事業であるが、サブセグメントとして、「広告映像制作事業」、「その他制作事業」、「ソリューション事業」、「海外事業」、「映像関連事業」の5つに分類される。従来からの主力である「広告映像制作事業」が売上高全体の7割弱を占める一方、成長領域である「ソリューション事業」が足元で大きく伸びており、今後の成長ドライバーとして注力している(2018年12月期上期実績)。

顧客別売上構成比は、「電通グループ」向けが23.7%、「博報堂グループ」向けが26.9%、「直接取引」が28.2%、「その他」が21.2%とバランスがとれている。「直接取引」は過去からTYOが得意としてきたが、経営統合後も「ソリューション事業」の伸びに連動する形で増加している。また、媒体別売上構成比では、「テレビCM制作」61.2%、「エンタテイメントコンテンツ」4.4%、「デジタルコンテンツ」17.2%、「海外」3.2%、「その他」13.9%となっているが、動画広告需要の拡大とともに「デジタルコンテンツ」が大きく伸びる傾向にある。

各事業の概要は以下のとおりである。

(1) 広告映像制作事業
テレビCMなど広告映像の企画・制作を行っている。AOI Pro.及びTYOともに主力としてきた事業であり、業界大手2社の経営統合によりトップシェアを握るに至った。堅調な受注環境が続くなか、両社ともに数々の優れたテレビCMを手掛けてきた。ただ、インターネットの普及などに伴う媒体価値の変化やプリントレス化による収益性低下の懸念などに直面しており、収益構造の変革や業務効率化が課題となっている。

(2) その他制作事業
広告映像以外の制作事業で、映画やドラマ、イベントの企画制作、Webの制作や販促物の制作などが含まれる。

(3) ソリューション事業
顧客の問題解決のための施策を提供する事業である。現在は、TYOオファリングマネジメント部門※1とAOI Pro.の子会社(株)Quark tokyo※2による業績をほぼ合算したものとなっているが、今後の成長領域として2018年2月1日に新設したSOOTH(株)※3も含まれる。

※1 TYO営業統括本部より改称。広告主直接取引により、複合的なメディア展開などを軸としたワンストップソリューションを提供している。
※2 動画を中心としたマーケティング戦略立案から、デジタル時代のコミュニケーションに必要なすべてのPDCAソリューションを提供している。
※3 バイタルセンシングデータを活用した体験設計ソリューション等のサービスを提供している。


(4) 海外事業
中国及び東南アジア(タイ、ベトナム、シンガポール、インドネシア、マレーシア、インド)に海外拠点を構え、日系企業を始め、現地企業との取引拡大を図っている。AOI Pro.及びTYOともに積極的に取り組んできた地域が多く、今後の成長ドライバーの1つに位置付けられる。M&Aにも積極的であり、2017年10月にベトナム最大手の映像プロダクション会社「VIEWFINDER MEDIA JOINT STOCK COMPANY」をグループ(持分法適用関連会社)化すると、2018年3月にはマレーシアの大手広告制作会社「Directors Think Tank」(DTT)グループを連結子会社化している。

(5) 映像関連事業
広告事業以外の事業であり、一般消費者向けの写真スタジオの運営※やミュージックビデオの制作などを行っている。

※AOI Pro.の子会社(株)ホリーホックが手掛けている。東京都港区六本木の東京ミッドタウンに1号店となる旗艦店を出店すると、その後徐々に店舗数を増やし、現在は4店舗を数える。


2. 沿革
(1) AOI Pro.
同社の歴史は古く、1963年にテレビCM制作を目的とする(株)葵プロモーションとして、東京都港区に設立されたことに溯る。一貫してテレビCMを主力とする映像制作会社として事業基盤を確立。1990年にはさらなる発展と社会的信用を高めるために、業界の中で先陣を切ってJASDAQに上場した。

その後も、話題性に溢れた数々の映像作品を生み出すことで順調に業績を拡大し、1998年に東証2部、2000年には東証1部へ上場。大手テレビCM制作会社の一角として、名実ともに確固たるポジションを確立してきた。

一方、2011年9月には、インドネシアにテレビCM制作関連業務を行うための海外拠点を開設、また、2014年10月には、新たな成長領域である動画コンテンツマーケティング事業の本格展開を目指し、オンライン動画プラットフォームの効果測定及び運用を得意とするナカミノ(株)※を資本提携によりグループ(持分法適用関連会社)化するなど、多様化するメディアへの対応やオンライン動画などのデジタルコンテンツへの需要拡大、成長著しいアジアへの日系企業の進出などを見据え、同業他社に先駆けて体制を構築してきた。

※2015年12月末には追加出資により連結子会社化し、2016年4月に(株)Quark tokyoに商号を変更。


(2) TYO
同社は、1982年4月に東京都港区六本木においてテレビCM制作会社として設立された。大手テレビCM制作会社3社の中では後発となる。現在もAOI TYO Holdingsの代表取締役会長CEOを務めている吉田博昭(よしだひろあき)氏が4名のCMクリエイターとともに、「クリエイターの、クリエイターによる、クリエイターのための理想の会社づくり」という夢を掲げて同社を立ち上げた。

2002年にJASDAQへ上場。その後もJR東海(東海旅客鉄道<9022>)の「そうだ 京都、行こう。」など、消費者の印象に残る数々のテレビCM制作を手掛けてきたクリエイティブ力を武器に業績を拡大し、2013年10月に東証2部へ市場変更すると、2014年1月には東証1部へ指定替えとなった。

テレビCM、オンライン動画、デジタルやイベントなど多様なコンテンツ制作を手掛け、広告主の広告宣伝や販促活動に最適となるワンストップソリューションに強みを持つ。また、業界に先行して※広告主直接取引の営業体制・ノウハウを蓄積しており、広告主との長期的な関係の構築、案件規模の拡大、販売促進費の獲得にも注力し、さらに、海外展開にも積極的に取り組んできた。

※2003年7月より広告主直接取引の営業を開始し、現在はTYOオファリングマネジメント部門がグループ全体の広告主直接取引の営業を担う。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



<MH>

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