テクマト Research Memo(2):システムの構築・保守と、業務特化型ソリューションサービスに強みを持つ(1)
[18/10/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社概要
テクマトリックス<3762>は、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として設立されたニチメンデータシステム(株)社が前身である。このため、技術・ビジネスの両面で優れた製品・サービスを発掘する“目利き力”及び“マーケティング力”、レベルの高い“ビジネスオペレーション力”といった商社で培われたノウハウを受け継ぎ、事業展開を進めていることが最大の強みであり、特徴となっている。
連結対象子会社としては、医療分野において遠隔画像診断のインフラサービスを提供する(同)医知悟(いちご)、ネットワークやサーバの運用・監視及びネットワークエンジニアの派遣、IT製品の輸入・販売・サポートを行うクロス・ヘッド(株)、その子会社となる沖縄クロス・ヘッド(株)、システム開発やIT技術者の教育サービス等を手掛ける(株)カサレアルの4社に加えて、新たに2018年1月に設立した株式会社NOBORIが加わった。株式会社NOBORIに関しては三井物産が33.34%を出資している。
2. 沿革
同社の創業は1984年8月で、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として発足した。1990年10月に受託開発事業に本格参入し、某大手都銀より為替ディーリングシステムを受注、金融分野での事業開拓の第一歩を踏み出す。1996年12月には業務パッケージ事業にも参入し、自社開発品となるCRMパッケージ「FastHelp」の販売を開始したほか、1998年10月には、自社開発品のDICOM※対応医用画像サーバ「Secured DICOM Server(現 SDS Image Server)」の販売を開始し、アプリケーション・サービス事業への展開を進めていった。
※Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略で、CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した世界標準規格。
また、2005年2月には事業拡大のための資金調達等を目的にJASDAQ市場に株式を上場し(現在は東証第1部)、M&Aなどによって事業基盤の拡充を図っている。具体的には、2007年8月に医療分野の子会社として医知悟を設立したほか、2008年1月にクロス・ヘッドを連結子会社化、2009年8月にカサレアルを完全子会社化、2014年3月にはクロス・ヘッド、沖縄クロス・ヘッドを完全子会社化している。また、CRM分野におけるASEAN諸国に向けての販売活動強化の為、2018年4月にタイのバンコクに駐在員事務所を設立している。
3. 事業内容
同社の事業は、ネットワーク及びセキュリティシステムの構築、保守、運用・監視サービスを展開する情報基盤事業と、医療分野やCRM分野等の業界及び業務特化型のソリューションサービスを展開するアプリケーション・サービス事業の2つのセグメントで構成される。直近3年間の事業構成比では、情報基盤事業が売上高で66〜67%、営業利益で80%以上を占めている。また、営業利益率では情報基盤事業が8〜9%台であるのに対して、アプリケーション・サービス事業が5%以下と低くなっている。これはアプリケーション事業で展開するクラウドサービス等の投資負担が重いことが主因となっている。償却前営業利益率で見れば両事業とも10%前後とほぼ同水準となっており、2018年3月期に関してはアプリケーション・サービス事業が若干上回る格好となった。今後もクラウドサービス事業の成長によりアプリケーション・サービス事業の収益性は向上し、中期経営計画の最終年度となる2021年3月期には営業利益率で10.0%と情報基盤事業を上回る見通しとなっている。各事業の内容は以下のとおり。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業では、ネットワーク及びセキュリティ分野において独自の目利き力を生かし、北米を中心にニッチながらも高い技術力、競争力、成長力を持つ製品を見極め、単なる製品販売にとどまらずシステムの構築から保守サポート、運用・監視サービスに至るまでワンストップ・ソリューションでサービスを提供している。
具体的には、グリーンIT※1、仮想化ソリューション※2、次世代ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の分野を対象としており、主要取扱製品にはF5 Networksの負荷分散装置※3、McAfee,Inc.のアンチウイルス・ソフト、Palo Alto Networksの次世代ファイアウォール、Dell EMCのクラスターストレージなどがあり、それぞれ販売一次代理店となっている。いずれも世界で高いシェアを持つ製品となっており、単体売上高に占める製品売上構成比では各2割程度、残りの2割がその他の製品群となる。
※1 省電力化など環境保護に配慮したITシステムのこと。または、IT活用による生産活動や流通などを効率化・最適化し環境負荷低減を目指す活動のことを指す。
※2 コンピュータシステムを構成する資源(サーバ、ストレージ、ソフトウェア等)に関する技術。複数から構成されるものを論理的に1つのもののように見せかけて利用したり、逆に1つのものを論理的に複数に見せかけて利用できる技術。
※3 Webサイトへのアクセス集中による反応の低下やシステムダウンを防止するため、多数のアクセス(負荷)が収集した場合に適切に複数のサーバに振り分ける(分散する)装置。
同社では先進的な技術を持つ製品や成長力があると判断した製品は、積極的に取扱商品としてラインアップしている。2017年2月に代理店契約を結んだCylance Inc.の次世代アンチウイルス製品「CylancePROTECT®」もその1つである。同製品はAIを活用することで未知のマルウェア※でも高確率で検出することを可能にした製品で、ここ最近のIT業界では最も急成長した製品の1つとして知られている。
※マルウェア対策ソフトで検出されないよう意図して開発された新種や亜種のマルウェア。マルウェアとは無害を装ってパソコンに感染するコンピュータウイルスの総称。
販売先の売上構成比では、民間企業向けが約7割、官公庁・地方公共団体向けが約3割となっている。民間企業の中には通信事業者やデータセンター事業者等のITサービス企業も含まれている。ネットワーク及びセキュリティ分野は、ネットセキュリティへの関心が高まるなか市場が拡大しており参入企業も多いが、同社では高い技術力に加えて、24時間365日の保守サポート体制、有人による運用・監視サービスなど、ワンストップで高品質なサービスを提供できる総合力を持っていることが強みとなっている。
連結子会社のクロス・ヘッド及び沖縄クロス・ヘッドは、ネットワークやサーバの運用・監視のほか、ネットワークエンジニアの派遣、セキュリティ製品やストレージ製品の販売等を行っているほか、ここ最近ではクラウドサービス市場の拡大を受けて、AWS(アマゾンウェブサービス)の導入支援を行う認定資格の取得も進めており、クラウドサービス導入支援サービスにも注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 会社概要
テクマトリックス<3762>は、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として設立されたニチメンデータシステム(株)社が前身である。このため、技術・ビジネスの両面で優れた製品・サービスを発掘する“目利き力”及び“マーケティング力”、レベルの高い“ビジネスオペレーション力”といった商社で培われたノウハウを受け継ぎ、事業展開を進めていることが最大の強みであり、特徴となっている。
連結対象子会社としては、医療分野において遠隔画像診断のインフラサービスを提供する(同)医知悟(いちご)、ネットワークやサーバの運用・監視及びネットワークエンジニアの派遣、IT製品の輸入・販売・サポートを行うクロス・ヘッド(株)、その子会社となる沖縄クロス・ヘッド(株)、システム開発やIT技術者の教育サービス等を手掛ける(株)カサレアルの4社に加えて、新たに2018年1月に設立した株式会社NOBORIが加わった。株式会社NOBORIに関しては三井物産が33.34%を出資している。
2. 沿革
同社の創業は1984年8月で、ニチメン(現 双日)の営業部門の戦略子会社として発足した。1990年10月に受託開発事業に本格参入し、某大手都銀より為替ディーリングシステムを受注、金融分野での事業開拓の第一歩を踏み出す。1996年12月には業務パッケージ事業にも参入し、自社開発品となるCRMパッケージ「FastHelp」の販売を開始したほか、1998年10月には、自社開発品のDICOM※対応医用画像サーバ「Secured DICOM Server(現 SDS Image Server)」の販売を開始し、アプリケーション・サービス事業への展開を進めていった。
※Digital Imaging and COmmunications in Medicineの略で、CTやMRI、CRなどで撮影した医用画像のフォーマットと、それらを扱う医用画像機器間の通信プロトコルを定義した世界標準規格。
また、2005年2月には事業拡大のための資金調達等を目的にJASDAQ市場に株式を上場し(現在は東証第1部)、M&Aなどによって事業基盤の拡充を図っている。具体的には、2007年8月に医療分野の子会社として医知悟を設立したほか、2008年1月にクロス・ヘッドを連結子会社化、2009年8月にカサレアルを完全子会社化、2014年3月にはクロス・ヘッド、沖縄クロス・ヘッドを完全子会社化している。また、CRM分野におけるASEAN諸国に向けての販売活動強化の為、2018年4月にタイのバンコクに駐在員事務所を設立している。
3. 事業内容
同社の事業は、ネットワーク及びセキュリティシステムの構築、保守、運用・監視サービスを展開する情報基盤事業と、医療分野やCRM分野等の業界及び業務特化型のソリューションサービスを展開するアプリケーション・サービス事業の2つのセグメントで構成される。直近3年間の事業構成比では、情報基盤事業が売上高で66〜67%、営業利益で80%以上を占めている。また、営業利益率では情報基盤事業が8〜9%台であるのに対して、アプリケーション・サービス事業が5%以下と低くなっている。これはアプリケーション事業で展開するクラウドサービス等の投資負担が重いことが主因となっている。償却前営業利益率で見れば両事業とも10%前後とほぼ同水準となっており、2018年3月期に関してはアプリケーション・サービス事業が若干上回る格好となった。今後もクラウドサービス事業の成長によりアプリケーション・サービス事業の収益性は向上し、中期経営計画の最終年度となる2021年3月期には営業利益率で10.0%と情報基盤事業を上回る見通しとなっている。各事業の内容は以下のとおり。
(1) 情報基盤事業
情報基盤事業では、ネットワーク及びセキュリティ分野において独自の目利き力を生かし、北米を中心にニッチながらも高い技術力、競争力、成長力を持つ製品を見極め、単なる製品販売にとどまらずシステムの構築から保守サポート、運用・監視サービスに至るまでワンストップ・ソリューションでサービスを提供している。
具体的には、グリーンIT※1、仮想化ソリューション※2、次世代ネットワーク、セキュリティ、ストレージ等の分野を対象としており、主要取扱製品にはF5 Networks
※1 省電力化など環境保護に配慮したITシステムのこと。または、IT活用による生産活動や流通などを効率化・最適化し環境負荷低減を目指す活動のことを指す。
※2 コンピュータシステムを構成する資源(サーバ、ストレージ、ソフトウェア等)に関する技術。複数から構成されるものを論理的に1つのもののように見せかけて利用したり、逆に1つのものを論理的に複数に見せかけて利用できる技術。
※3 Webサイトへのアクセス集中による反応の低下やシステムダウンを防止するため、多数のアクセス(負荷)が収集した場合に適切に複数のサーバに振り分ける(分散する)装置。
同社では先進的な技術を持つ製品や成長力があると判断した製品は、積極的に取扱商品としてラインアップしている。2017年2月に代理店契約を結んだCylance Inc.の次世代アンチウイルス製品「CylancePROTECT®」もその1つである。同製品はAIを活用することで未知のマルウェア※でも高確率で検出することを可能にした製品で、ここ最近のIT業界では最も急成長した製品の1つとして知られている。
※マルウェア対策ソフトで検出されないよう意図して開発された新種や亜種のマルウェア。マルウェアとは無害を装ってパソコンに感染するコンピュータウイルスの総称。
販売先の売上構成比では、民間企業向けが約7割、官公庁・地方公共団体向けが約3割となっている。民間企業の中には通信事業者やデータセンター事業者等のITサービス企業も含まれている。ネットワーク及びセキュリティ分野は、ネットセキュリティへの関心が高まるなか市場が拡大しており参入企業も多いが、同社では高い技術力に加えて、24時間365日の保守サポート体制、有人による運用・監視サービスなど、ワンストップで高品質なサービスを提供できる総合力を持っていることが強みとなっている。
連結子会社のクロス・ヘッド及び沖縄クロス・ヘッドは、ネットワークやサーバの運用・監視のほか、ネットワークエンジニアの派遣、セキュリティ製品やストレージ製品の販売等を行っているほか、ここ最近ではクラウドサービス市場の拡大を受けて、AWS(アマゾンウェブサービス)の導入支援を行う認定資格の取得も進めており、クラウドサービス導入支援サービスにも注力している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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