アライドアーキ Research Memo(6):市場ニーズの拡大に合わせた新構想の始動や、新モデルのリリースで成果
[18/10/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■主な活動実績
1. 国内SNSマーケティング事業
(1) 新たな「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想の始動
スマートフォンやSNSの普及により生活者の消費スタイル(口コミ重視やこだわり消費など)が変化するなかで、企業のマーケティング戦略も単発型の「マスベース」から蓄積型の「ファンベース」へと大きく変化してきた。また、アライドアーキテクツ<6081>においても市場ニーズに合わせてサービスの拡充(進化)を図ってきたことから、顧客への提供価値を再定義した上で、次世代の「ファン」と企業の最適な関係構築を目指す「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想を発表した。同社は、これまでもSNSやWebサイトを駆使してファン作りやファンとの交流を図ってきたが、今後はさらにサービス領域を「SNSマーケティング支援」、「ファンマーケティング支援」※1、「UGCマーケティング支援」※2の3つの領域に位置付け、「ファンとの最適な関係性を設計(デザイン)し、ファンとともにビジネスの成長を目指す」ことを包括的に支援する方向性を打ち出している。特に、「ファンマーケティング支援」においては、これまでのSNSやWebサイトだけでなく、リアルな場を含めた生活者との接点を通じて、「ファン」との最適な関係構築を支援するところにポイントがあり、提案の幅がさらに広がってきたと捉えることができる。
※1 企業やブランドと、リアルな場やWeb上で何らかの接点を持った生活者の「ファン」化を支援。生活者一人ひとりと最適かつ長期的なつながりを創り出すことで、「ファン」の深化と拡大を実現する。
※2 生活者によってSNSなどに投稿された写真や動画などのコンテンツ(User Generated Contents/UGC)のマーケティング活用を支援。生活者視点で撮影されたUGCを収集し、投稿者の許諾のもとに広告クリエイティブや企業/ブランドのオウンドメディア(自社運営サイト)上で活用することで具体的な成果につなげる。
(2) サービスの拡充(進化)
同社は、前述のとおり、市場ニーズに合わせてラインナップの拡充にも取り組んでいる。2018年3月にリリースした「echoes(エコーズ)」は、Twitterのオートリプライ(自動返信)機能を活用し、すべての参加工程がTwitter上で完結するプロモーションキャンペーンを手軽に実施できるサービスであり、すでに多くの企業に導入されているようだ。また、新構想に基づくサービス第1弾として2018年8月にリリースした「ブランドタッチ」は、商品やサービスに愛着・関心を持つ「ファン」とWeb上でつながり、その中から、企業に代わって商品の魅力を周囲に伝えたり、SNSを通じて発信したりしてくれるブランド・アドボケーター(支持者)を発掘・起用することができるサービスである。さらには、新構想の第2弾として、飲食店や商業施設などの実店舗におけるファン獲得・育成を支援するサービス「リアルタッチ」の提供も開始している。
(3) キーパーソンとの連携
2018年7月には、「ファンベース」を提唱するコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之(さとうなおゆき)氏※を顧問に迎え、顧客企業のファンベース施策を支援するサービス開発に着手した(2018年秋の提供開始を計画)。佐藤尚之氏は、通称「さとなお」として業界に知られる存在であり、これまで広告コミュニュケーションを中心に多くの企業のマーケティング施策に携わってきた豊富な実績と知見を有している。特に、2018年2月に刊行された「ファンベース?支持され、愛され、長く売れ続けるために」(ちくま新書)は、大きな反響を呼んでいる。注目されているキーパーソンとの連携は、同社の実績が認められたことはもちろん、同社の推進する新構想が市場ニーズを先取りしていることの証左としても評価できるだろう。
※1961年東京生まれ。1985年電通入社。コピーライター、CMプランナー、Webディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。現在は広告コミュニケーションの仕事のほかに、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
(4) ベトナム開発会社の子会社化
2018年7月には、開発力強化のため、第3の開発拠点としてベトナム開発会社※の子会社化を発表した。エンジニアの獲得競争が激化するなかで、今後も独自性の高いプロダクト開発を推進し、業容拡大を目指すために、開発スピードや品質の向上を図るところに狙いがある。
※Delivery Vietnam Co., Ltd.(ベトナム・ホーチミン)。日本企業である(株)デリバリーコンサルティングの開発子会社として、長年開発案件の受託開発を行ってきた実績を有する。今回の子会社化により「Allied Tech Camp Co., Ltd.」に商号変更予定。本社のほか、2016年3月に設立した「Allied Tech Base Co., Ltd.」(ベトナム・ハノイ)に次ぐ第3の開発拠点となる。連結業績への影響は軽微のようである。
2. 越境プロモーション事業
中国を中心とする越境プロモーション事業については、まだ本格的な業績貢献には至っていないものの、インフルエンサーとの相性の良い化粧品などで実績が出始めている。具体的には、資生堂「マキアージュ」が中国EC商戦のプロモーションに動画インフルエンサーを活用し、中国の大型越境ECモール「Tmall Global(天猫国際)」で大手ドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」が展開する公式ショッピングサイトにおいてアクセス数首位を獲得。インフルエンサーを活用した成功事例として評価できるとともに、更なる展開に向けても期待が膨らむ。また、Vstar Japan(グループ会社)による日本人クリエイター(人気YouTuber)の中国進出支援にも取り組み、中国における認知度や影響力を高めながら、日本企業の中国向けプロモーション施策における起用を目指している。
3. クリエイティブテック事業(海外)
海外子会社が提供してきた「ReFUEL4®」についても、提供する価値やビジネスモデルの見直しを行うとともに、サービス名称(及び子会社の商号)も「CREADITS®」に変更した。「CREADITS®」は、これまでのような中央集権型モデル(同社が広告クリエイターを個別に紹介)ではなく、同社が付与する購入権チケット「CREADITS」と引き換えに世界中の広告クリエイターからの広告クリエイティブを短時間で提供できる汎用性の高い分散型モデルとなっている。とりわけ旧モデルとの大きな違いは料金体系にある。旧モデルは成功報酬型(広告出稿量に応じて料金が増減)であったため、顧客企業にとっては予算が取りづらかったことや利用できるメディアが限定※されていたところに難点があった。新モデルでは、契約プラン(月額固定料金)に応じて付与される購入権チケット「CREADITS」と引き換えに各種サービスが利用できるシンプルな形に変更。料金体系のわかりやすさやメディアの制約がなくなったこと、使いやすさも改善を図ったことにより顧客企業からの評判は上々であり、順調に滑り出している。同社では、世界規模で圧倒的に大きい市場に対して、まずは米国の約6百万社をターゲットとして獲得を強化していく方針である。
※広告出稿量を把握するために、メディアとのAPI連携が必要であったことから、メディアをGoogleやFacebookなどに限定していた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 国内SNSマーケティング事業
(1) 新たな「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想の始動
スマートフォンやSNSの普及により生活者の消費スタイル(口コミ重視やこだわり消費など)が変化するなかで、企業のマーケティング戦略も単発型の「マスベース」から蓄積型の「ファンベース」へと大きく変化してきた。また、アライドアーキテクツ<6081>においても市場ニーズに合わせてサービスの拡充(進化)を図ってきたことから、顧客への提供価値を再定義した上で、次世代の「ファン」と企業の最適な関係構築を目指す「ファン・リレーションシップ・デザイン」構想を発表した。同社は、これまでもSNSやWebサイトを駆使してファン作りやファンとの交流を図ってきたが、今後はさらにサービス領域を「SNSマーケティング支援」、「ファンマーケティング支援」※1、「UGCマーケティング支援」※2の3つの領域に位置付け、「ファンとの最適な関係性を設計(デザイン)し、ファンとともにビジネスの成長を目指す」ことを包括的に支援する方向性を打ち出している。特に、「ファンマーケティング支援」においては、これまでのSNSやWebサイトだけでなく、リアルな場を含めた生活者との接点を通じて、「ファン」との最適な関係構築を支援するところにポイントがあり、提案の幅がさらに広がってきたと捉えることができる。
※1 企業やブランドと、リアルな場やWeb上で何らかの接点を持った生活者の「ファン」化を支援。生活者一人ひとりと最適かつ長期的なつながりを創り出すことで、「ファン」の深化と拡大を実現する。
※2 生活者によってSNSなどに投稿された写真や動画などのコンテンツ(User Generated Contents/UGC)のマーケティング活用を支援。生活者視点で撮影されたUGCを収集し、投稿者の許諾のもとに広告クリエイティブや企業/ブランドのオウンドメディア(自社運営サイト)上で活用することで具体的な成果につなげる。
(2) サービスの拡充(進化)
同社は、前述のとおり、市場ニーズに合わせてラインナップの拡充にも取り組んでいる。2018年3月にリリースした「echoes(エコーズ)」は、Twitterのオートリプライ(自動返信)機能を活用し、すべての参加工程がTwitter上で完結するプロモーションキャンペーンを手軽に実施できるサービスであり、すでに多くの企業に導入されているようだ。また、新構想に基づくサービス第1弾として2018年8月にリリースした「ブランドタッチ」は、商品やサービスに愛着・関心を持つ「ファン」とWeb上でつながり、その中から、企業に代わって商品の魅力を周囲に伝えたり、SNSを通じて発信したりしてくれるブランド・アドボケーター(支持者)を発掘・起用することができるサービスである。さらには、新構想の第2弾として、飲食店や商業施設などの実店舗におけるファン獲得・育成を支援するサービス「リアルタッチ」の提供も開始している。
(3) キーパーソンとの連携
2018年7月には、「ファンベース」を提唱するコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之(さとうなおゆき)氏※を顧問に迎え、顧客企業のファンベース施策を支援するサービス開発に着手した(2018年秋の提供開始を計画)。佐藤尚之氏は、通称「さとなお」として業界に知られる存在であり、これまで広告コミュニュケーションを中心に多くの企業のマーケティング施策に携わってきた豊富な実績と知見を有している。特に、2018年2月に刊行された「ファンベース?支持され、愛され、長く売れ続けるために」(ちくま新書)は、大きな反響を呼んでいる。注目されているキーパーソンとの連携は、同社の実績が認められたことはもちろん、同社の推進する新構想が市場ニーズを先取りしていることの証左としても評価できるだろう。
※1961年東京生まれ。1985年電通入社。コピーライター、CMプランナー、Webディレクターを経て、コミュニケーション・デザイナーとしてキャンペーン全体を構築する仕事に従事。2011年に独立し(株)ツナグ設立。現在は広告コミュニケーションの仕事のほかに、「さとなおオープンラボ」や「さとなおリレー塾」「4th(コミュニティ)」などを主宰。講演は年100本ペース。「スラムダンク一億冊感謝キャンペーン」でのJIAAグランプリなど受賞多数。
(4) ベトナム開発会社の子会社化
2018年7月には、開発力強化のため、第3の開発拠点としてベトナム開発会社※の子会社化を発表した。エンジニアの獲得競争が激化するなかで、今後も独自性の高いプロダクト開発を推進し、業容拡大を目指すために、開発スピードや品質の向上を図るところに狙いがある。
※Delivery Vietnam Co., Ltd.(ベトナム・ホーチミン)。日本企業である(株)デリバリーコンサルティングの開発子会社として、長年開発案件の受託開発を行ってきた実績を有する。今回の子会社化により「Allied Tech Camp Co., Ltd.」に商号変更予定。本社のほか、2016年3月に設立した「Allied Tech Base Co., Ltd.」(ベトナム・ハノイ)に次ぐ第3の開発拠点となる。連結業績への影響は軽微のようである。
2. 越境プロモーション事業
中国を中心とする越境プロモーション事業については、まだ本格的な業績貢献には至っていないものの、インフルエンサーとの相性の良い化粧品などで実績が出始めている。具体的には、資生堂「マキアージュ」が中国EC商戦のプロモーションに動画インフルエンサーを活用し、中国の大型越境ECモール「Tmall Global(天猫国際)」で大手ドラッグストアチェーン「マツモトキヨシ」が展開する公式ショッピングサイトにおいてアクセス数首位を獲得。インフルエンサーを活用した成功事例として評価できるとともに、更なる展開に向けても期待が膨らむ。また、Vstar Japan(グループ会社)による日本人クリエイター(人気YouTuber)の中国進出支援にも取り組み、中国における認知度や影響力を高めながら、日本企業の中国向けプロモーション施策における起用を目指している。
3. クリエイティブテック事業(海外)
海外子会社が提供してきた「ReFUEL4®」についても、提供する価値やビジネスモデルの見直しを行うとともに、サービス名称(及び子会社の商号)も「CREADITS®」に変更した。「CREADITS®」は、これまでのような中央集権型モデル(同社が広告クリエイターを個別に紹介)ではなく、同社が付与する購入権チケット「CREADITS」と引き換えに世界中の広告クリエイターからの広告クリエイティブを短時間で提供できる汎用性の高い分散型モデルとなっている。とりわけ旧モデルとの大きな違いは料金体系にある。旧モデルは成功報酬型(広告出稿量に応じて料金が増減)であったため、顧客企業にとっては予算が取りづらかったことや利用できるメディアが限定※されていたところに難点があった。新モデルでは、契約プラン(月額固定料金)に応じて付与される購入権チケット「CREADITS」と引き換えに各種サービスが利用できるシンプルな形に変更。料金体系のわかりやすさやメディアの制約がなくなったこと、使いやすさも改善を図ったことにより顧客企業からの評判は上々であり、順調に滑り出している。同社では、世界規模で圧倒的に大きい市場に対して、まずは米国の約6百万社をターゲットとして獲得を強化していく方針である。
※広告出稿量を把握するために、メディアとのAPI連携が必要であったことから、メディアをGoogleやFacebookなどに限定していた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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