CACHD Research Memo(2):半世紀を超えて挑戦を続ける独立系SIerのパイオニア
[18/10/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
CAC Holdings<4725>は、日本国内のパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社、(株)コンピュータアプリケーションズ(CAC)として1966年8月に発足した。その創業理念は「ハードウェア・メーカーから独立・中立の立場で、ユーザー指向の情報システムを構築する」というものであり、半世紀以上経過した現在にまで受け継がれている。
半世紀を超える同社の歴史を振り返ると、自社のコアコンピタンス(核となる能力)を育み、大切にしながらも、時代の変化を敏感に嗅ぎ取り、新たな価値創造に挑戦し続けてきた姿がみて取れる。
1. 独立系SIerのパイオニアとして優良な顧客基盤を築いたIT事業拡大期
CACは、1966年の発足から時を経ずして、システム構築業務の企画・構築及びサポート等を請け負うシステム・インテグレータ(SIer)へと業容を拡大、1988年には通産省(現経済産業省)による「システム・インテグレータ登録・認定制度」の発足と同時に、その認定企業となっている。
1971年には「顧客のビジネスを支援するには、情報システムの運用・管理を専門企業が引き受けるべき」との考えから、日本システムサービス(株)(SSK)に出資し、日本初のアウトソーシング・サービス専門会社として事業を開始し、1973年には、情報処理とファイリング・サービスを主業務とする(株)システムユティリティ(SUC)を設立するなど、グループとして事業領域の拡大を続けてきた。
1994年に上記3社(CAC、SSK、SUC)が合併し、株式会社シーエーシーとして、システムの企画・構築から運用までを一貫提供できる体制を名実ともに整え、IT事業拡大期を迎えることになる。
IT事業拡大期では、オーガニックな成長に加え、上場(1999年に店頭登録銘柄として株式公開、2000年には東京証券取引所第1部に上場)以降は、M&Aによる事業拡大を一段と積極化している。
具体的には、2000年に(株)アークシステム、2002年に(株)湯浅ナレッジインダストリ(現(株)シーエーシーナレッジ)、2003年には(株)オルビス(現(株)CACオルビス)と(株)マルハシステムズ(現 (株)CACマルハニチロシステムズ)を子会社化したわけだが、これら各社は、顧客である有力企業のIT子会社であり、顧客から見た同社の位置付けを示す好事例とも言えるだろう。
同社はプライムコントラクタ(元請け)の立場で、様々な業種に向けて最適化したサービスを提供することに強くこだわってきた。
元請け契約は成果物責任を負うため、委任型契約や二次受け契約に比べリスクは大きいものの、最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取ることが可能(結果、顧客ニーズを満たせば大きな利益を獲得できる)であり、ユーザー指向の同社創業理念に合致している。
そして、プライムコントラクタとしての顧客との良好な関係が、M&Aを通じたアウトソーシング事業拡大やCRO(医薬BTO)領域への進出につながったわけである。
2. M&A戦略を駆使した2006−2016年のCRO事業展開期
国内IT事業において大手製薬企業を有力顧客としてきたことから、同社のCRO事業の歴史は長い。
1970年代から治験データの入力業務を開始し、まだ「CRO」という業務用語が存在しなかった1990年にCRO業務の1つであるデータマネジメントに参入していることから、同社グループでCRO事業を担う(株)CACクロアは「実質的に日本で最初のCROである」との自負を持っている。
同社はCRO事業の展開に際しても、M&A戦略を駆使して事業拡大を進めている。
2006年以降のCRO関連のM&A実績を見ると、2006年の(株)アームシステックスを皮切りに、2007年には(株)メディカル・エコロジー、2009年には(株)MICメディカルと(株)クリニカルトラスト、2010年には(株)綜合臨床ホールディングスや(株)モスインスティテュートのCRO事業などを次々とグループ内に取り込み、医薬品開発支援のサービスラインナップを拡充してきた。
そして、適宜、組織の集約・再編を行った後、2016年にはCROにITを組み合わせた先駆的企業としてCACクロアを発足し、現在に至っている。
3. インド企業買収で幕を開けた海外IT事業の本格展開期
同社の海外展開は、1)顧客企業の海外展開に対応した1989年の米国進出、1990年の欧州進出、2)開発コスト削減を狙ったアジア圏進出(2000年に中国、2010年にインド)を経て、2014年からはM&A戦略を通じて海外での本格展開に挑む新たなステージを迎えている。
具体的には、海外サポート力の拡充を図るため、2014年にインドIT企業で米国、英国、中東などにも拠点を有するAccel Frontline Limited(以下、AFL)を15億円強投じて子会社化、2015年にはシンガポールIT企業でアジア圏の医療機関向けに事業を展開しているSierra Solutions Pte.Ltd.(以下、Sierra)を子会社化(2017年に売却)した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
<SF>
CAC Holdings<4725>は、日本国内のパイオニア的な独立系ソフトウェア専門会社、(株)コンピュータアプリケーションズ(CAC)として1966年8月に発足した。その創業理念は「ハードウェア・メーカーから独立・中立の立場で、ユーザー指向の情報システムを構築する」というものであり、半世紀以上経過した現在にまで受け継がれている。
半世紀を超える同社の歴史を振り返ると、自社のコアコンピタンス(核となる能力)を育み、大切にしながらも、時代の変化を敏感に嗅ぎ取り、新たな価値創造に挑戦し続けてきた姿がみて取れる。
1. 独立系SIerのパイオニアとして優良な顧客基盤を築いたIT事業拡大期
CACは、1966年の発足から時を経ずして、システム構築業務の企画・構築及びサポート等を請け負うシステム・インテグレータ(SIer)へと業容を拡大、1988年には通産省(現経済産業省)による「システム・インテグレータ登録・認定制度」の発足と同時に、その認定企業となっている。
1971年には「顧客のビジネスを支援するには、情報システムの運用・管理を専門企業が引き受けるべき」との考えから、日本システムサービス(株)(SSK)に出資し、日本初のアウトソーシング・サービス専門会社として事業を開始し、1973年には、情報処理とファイリング・サービスを主業務とする(株)システムユティリティ(SUC)を設立するなど、グループとして事業領域の拡大を続けてきた。
1994年に上記3社(CAC、SSK、SUC)が合併し、株式会社シーエーシーとして、システムの企画・構築から運用までを一貫提供できる体制を名実ともに整え、IT事業拡大期を迎えることになる。
IT事業拡大期では、オーガニックな成長に加え、上場(1999年に店頭登録銘柄として株式公開、2000年には東京証券取引所第1部に上場)以降は、M&Aによる事業拡大を一段と積極化している。
具体的には、2000年に(株)アークシステム、2002年に(株)湯浅ナレッジインダストリ(現(株)シーエーシーナレッジ)、2003年には(株)オルビス(現(株)CACオルビス)と(株)マルハシステムズ(現 (株)CACマルハニチロシステムズ)を子会社化したわけだが、これら各社は、顧客である有力企業のIT子会社であり、顧客から見た同社の位置付けを示す好事例とも言えるだろう。
同社はプライムコントラクタ(元請け)の立場で、様々な業種に向けて最適化したサービスを提供することに強くこだわってきた。
元請け契約は成果物責任を負うため、委任型契約や二次受け契約に比べリスクは大きいものの、最終顧客のニーズを的確かつ直接汲み取ることが可能(結果、顧客ニーズを満たせば大きな利益を獲得できる)であり、ユーザー指向の同社創業理念に合致している。
そして、プライムコントラクタとしての顧客との良好な関係が、M&Aを通じたアウトソーシング事業拡大やCRO(医薬BTO)領域への進出につながったわけである。
2. M&A戦略を駆使した2006−2016年のCRO事業展開期
国内IT事業において大手製薬企業を有力顧客としてきたことから、同社のCRO事業の歴史は長い。
1970年代から治験データの入力業務を開始し、まだ「CRO」という業務用語が存在しなかった1990年にCRO業務の1つであるデータマネジメントに参入していることから、同社グループでCRO事業を担う(株)CACクロアは「実質的に日本で最初のCROである」との自負を持っている。
同社はCRO事業の展開に際しても、M&A戦略を駆使して事業拡大を進めている。
2006年以降のCRO関連のM&A実績を見ると、2006年の(株)アームシステックスを皮切りに、2007年には(株)メディカル・エコロジー、2009年には(株)MICメディカルと(株)クリニカルトラスト、2010年には(株)綜合臨床ホールディングスや(株)モスインスティテュートのCRO事業などを次々とグループ内に取り込み、医薬品開発支援のサービスラインナップを拡充してきた。
そして、適宜、組織の集約・再編を行った後、2016年にはCROにITを組み合わせた先駆的企業としてCACクロアを発足し、現在に至っている。
3. インド企業買収で幕を開けた海外IT事業の本格展開期
同社の海外展開は、1)顧客企業の海外展開に対応した1989年の米国進出、1990年の欧州進出、2)開発コスト削減を狙ったアジア圏進出(2000年に中国、2010年にインド)を経て、2014年からはM&A戦略を通じて海外での本格展開に挑む新たなステージを迎えている。
具体的には、海外サポート力の拡充を図るため、2014年にインドIT企業で米国、英国、中東などにも拠点を有するAccel Frontline Limited(以下、AFL)を15億円強投じて子会社化、2015年にはシンガポールIT企業でアジア圏の医療機関向けに事業を展開しているSierra Solutions Pte.Ltd.(以下、Sierra)を子会社化(2017年に売却)した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 前田吉弘)
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