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はてな Research Memo(4):「Mackerel」等のテクノロジーソリューションサービスが高成長

注目トピックス 日本株
■業績動向

2. サービス別売上動向
(1) コンテンツプラットフォームサービス
コンテンツプラットフォームサービスの売上高は前期比0.8%減の574百万円となり、計画比でも17.3%下回った。「はてなブックマーク」や「はてなブログ」などのユーザー数は前期末比15.4%増の713万人と順調に拡大し、「はてなブログPro」等の有料課金サービスについては好調に推移したものの、「人力検索はてな」等のレガシーサービスに対する検索エンジン経由での来訪者数減少により、広告収入が減少したことが減収要因となった。はてな<3930>サービス全体の月間UB数についても前期末比0.4%増の225百万UBと高止まりしている。

(2) コンテンツマーケティングサービス
コンテンツマーケティングサービスは前期比16.3%増の733百万円、期初計画比でも1.4%増と好調に推移した。企業のオウンドメディアとなる「はてなブログMedia」の運用件数が前期末比8件増の46件と順調に拡大したことが主因だ。サービス面では、使いやすいUIや高いシステム安定性、検索エンジンから評価されやすいサイト構造実現に向けた機能強化に継続して取り組んだほか、モバイル環境でのWebコンテンツ表示の高速化への対応にもいち早く取り組んできたことが評価されている。また、提供サービスプランとして「レギュラー」「ライト」の2プラン制を導入し、多様な顧客ニーズに対応したことも新規顧客の開拓につながった。当期間中における新規開設件数は17件(前期比4件増)、解約件数は9件(同2件増)となった。解約理由については、クライアント企業によるオウンドメディアの更新停止や統合、他のCMSの利用など従来と同様で、同社のサービス品質、商品力等については問題ないものと考えられる。

(3) テクノロジーソリューションサービス
テクノロジーソリューションサービスは前期比15.3%増の785百万円、期初計画比で0.6%減となった。計画比では受託開発案件の一部の研修時期が2019年7月期にずれ込んだことが要因となっており、これを除けば好調に推移したと言える。各サービスの売上については非開示だが、「GigaViewer」や「Mackerel」の成長が増収要因になったと見られる。

受託サービスのうち、受託開発売上については期ずれの影響もあり前期比減収となったものの、システム保守運用売上は納品済み案件の積み上げによる保守運用数の増加や、マンガビューワ「GigaViewer」の導入件数拡大により好調に推移した。「GigaViewer」は2017年7月期に少年ジャンプ公式アプリの「ジャンプ+」(集英社)に導入されていたが、2018年7月期では2017年10月に少年マガジン公式のマンガアプリ「マガポケ」(講談社)のWeb版に導入されたほか、2018年2月に「コミックDAYS」(講談社)、同年4月に「くらげバンチ」(新潮社)にも相次いで導入され、導入件数は前期末比で3件増の5件となった。これら案件ではWebサイトのデザインも担当したほか(「コミックDAYS」除く)、広告運用・販売による収益化支援も行っている。

また、サーバー監視サービス「Mackerel」については累積顧客指数が前期末比73.4%増と大幅に増加したほか、既存顧客における売上単価の上昇も増収要因となった。既存顧客では、監視対象サーバー数の増加によって月額利用料が上昇傾向にある。また、新規顧客の獲得はインターネット広告やセミナー開催等による直販を中心に拡大したほか、クラウド事業者との連携やスタートアップ企業向けの拡販に取り組んだことも寄与した。

クラウド事業者との連携では2017年11月より「Cloud Provider(クラウド・プロバイダー)インテグレーション」の提供を開始し、ビッグローブが提供する「BIGLOBEクラウドホスティング」のオプションサービスとして初採用され契約件数が増加している。また、スタートアップ企業向けでは、2018年1月よりシリコンバレーのベンチャーキャピタル「500 Startups」の日本向けファンド「500 Startups Japan」を通じて、同ファンドの投資先企業向けに格安プラン※での提供を開始している。スタートアップ企業のため、当初は売上への貢献は軽微だが、今後これら企業が成長すれば売上アップが期待できることになる。

※標準プラン(1,800円/ホスト月)を12ヶ月間半額で提供


(2) 費用分析
2018年7月期の営業費用は、ITインフラ投資(データセンターの移行・拡張)や人材採用など将来の成長を見据えた先行投資を積極的に実施したことで、前期比15.3%増の1,772百万円となった。ただ、期初計画の1,985百万円に対しては10.7%下回る結果となった。

人材採用については予定を1名上回る24名を採用(うち、70%が開発・制作部門)したが、退職者数が14名と想定を上回ったことで期末従業員数は前期末比10名増の127名となった。このため、人件費は前期比6.4%増の863百万円と増加したが、計画比では同14.6%下回った。

一方、ITインフラ投資では今後の業容拡大を見据えて、サーバーの移行・拡張作業を2018年7月期より2年かけて進めている。移行期間中はデータセンター利用料を二重に支払う必要があるため、通常よりも費用が多めに発生することになる。このため、当期のデータセンター利用料は前期比40.4%増の399百万円と大幅増となった。増減要因を見ると、事業拡大(データ処理・保存量の増加)に伴う自然増で15百万円、ITインフラ投資額で149百万円の増加要因となり、通常のコスト削減施策で49百万円の減少要因となった。期初計画の455百万円に対して56百万円下回ったことになるが、これは新たに選定した技術セットによるコスト削減効果が想定以上に寄与し、ITインフラ投資額が当初計画を28百万円下回ったこと(計画比16%減)、また、通常のコスト削減効果も想定以上に寄与したことが要因となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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