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C&R社 Research Memo(5):ゲームや電子書籍・YouTube関連を中心にクリエイティブ分野(日本)が好調

注目トピックス 日本株
■クリーク・アンド・リバー社<4763>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) クリエイティブ分野(日本)
クリエイティブ分野(日本)の売上高は前年同期比14.3%増の10,729百万円、セグメント利益は同20.4%増の649百万円と好調に推移した。通期計画に対する進捗率は売上高で48%、営業利益で56%となっているが、下期は大型受注案件が増える見通しとなっているため、上振れする可能性が高いと弊社では見ている。

当第2四半期累計の売上高を事業別で見ると、エージェント事業が前年同期比15%増となったほか、プロデュース事業も1ケタ増と堅調に推移した。前下期以降、派遣スタッフの採用強化施策に取り組んだことで、ゲーム開発やWeb制作等の旺盛な需要に対応できたことが収益増につながった。また、海外市場向け版権ビジネスや電子書籍・YouTube関連などライツマネジメント事業も2ケタ増と好調に推移した。利益率が前年同期の5.7%から6.1%に上昇したが、これは制作スタジオにて利益率の高い制作受託案件が増加したことに加えて、ライツマネジメント事業の伸張が要因となっている。

分野別で見ると、映像分野は1ケタ増収2ケタ減益となった。売上高についてはテレビ番組制作が堅調だったほか、AbemaTV等のWeb動画制作の受注増が寄与した。利益面では、前期の第2四半期より「働き方改革」の一環として取り組んできた長時間労働の是正による人件費増が減益要因となっている。ただ、第2四半期だけで見ると前年同期比で改善しており、第3四半期以降も改善傾向が続く見通しとなっている。

ゲーム分野については受託開発案件の増加や旺盛な派遣需要により、2ケタ増収増益と好調に推移した。また、2018年7月にシリコンスタジオ<3907>から新設分割によりコンテンツ事業の一部を継承し、株式取得により連結子会社化したクレイテックワークスについては、大手ゲームソフト会社の受託開発パートナーとして選定されるなど、その技術力は業界でも高く評価されている。子会社化して以降は受託開発業務に切り替えており、今後は同社が受注した案件についても振り向ける予定となっている。このため、当第2四半期累計で約30百万円の営業損失を計上したが、下期は黒字化する可能性も出てきている(会社計画に含まず)。

Web・紙媒体分野は2ケタ増収1ケタ増益となった。請負事業については期ずれの影響もあって減収減益となったが、エージェント(派遣)事業の好調でカバーした。エージェント事業に関してはWeb・広告・出版業界に特化した業界最大級の求人情報サイト「Webist(ウェビスト)」によりWebクリエイターの採用とネットワーク強化が進んだことが奏効した。また、請負事業に関しても引き続き官公庁等の大型案件の受注は増加している。

電子書籍・YouTube分野は売上高が2ケタ増収増益となった。電子書籍に関してはAmazon Kindleを始めとした複数の電子書店経由での配信数・ダウンロード数が順調に増加した。また、日本の原作を海外で映像化する権利を仲介する海外版権エージェントも収益増に貢献した。YouTubeに関しては、企業やテレビ番組の公式チャンネルの運用受託が増加したほか、新たな取り組みとして「RECAIUSTM(リカイアス)」の音声合成技術を活用して、YouTuberに代わって外国語チャンネルを運営するサービスを開始し、好評を博している※。同社は外国語チャネルで獲得した広告収入についてYouTuberとレベニューシェアすることになる。今後は、海外人気チャンネルの日本語版制作も展開予定だ。

※戦略的パートナーである東芝デジタルソリューションズ(株)が開発したAIを活用した音声合成技術を、ファン600万人超のYouTuber「キッズライン」の英語版サブチャンネルのナレーションに活用している。


新規エージェンシー分野のうち、建築分野では1,800名を超える一級建築士等のネットワーク拡大が進み、エージェンシー事業が拡大しているほか、プロデュース事業についても付加価値の高いデザイナーズ賃貸物件「CREATIVE RESIDENCE」シリーズの実績が積み上がっており、2020年2月期以降の更なる成長が期待できる状況となっている。特に、同シリーズの第3弾として発表したガレージハウス「STAPLE HOUSE(ステープルハウス)」(屋内ガレージ付DIY戸建賃貸)については、2018年9月の完成と同時に入居者が決定するなど好評で、今後3年間で30プロジェクト(100棟)の建築を首都圏郊外で展開していく計画となっている。

また、VR分野についてもBtoB領域での需要が拡大している。一体型VRゴーグル「IDEALENS K2+(アイデアレンズ K2プラス)」を使って、企業の教育研修や医療教育のほか、アミューズメント施設や観光施設等のエンタテイメント分野でのコンテンツ制作依頼を中心に様々な引き合いがきている。アイデアレンズ製のゴーグルの品不足が続き、成長の足かせ要因となっていることから、現在は他社製ゴーグルの取扱いも開始し、VR分野のシステムインテグレータとして更なる成長を目指す方針となっている。

その他、ドローン事業についてはドローンパイロットやエンジニア、空撮を熟知したカメラマンやディレクター等をネットワーク化し、映像制作分野での受注が拡大している。また、新たな取り組みとしてAI、VRチームと連携して、橋梁やダムなど老朽化した公共設備の検査・分析などのコンサルタント業務の営業活動も展開しており、今後の受注拡大が期待される。

(2) クリエイティブ分野(韓国)
クリエイティブ分野(韓国)の売上高は前年同期比99.3%減の7百万円、セグメント損失は11百万円(前年同期は5百万円の利益)となった。連結子会社CREEK & RIVER KOREA(以下、CRK)が同社と共同で韓国の人気スマートフォンゲームを日本で配信する「日韓ゲーム共同パブリッシング事業」を開始している。2018年8月より3D学園バトルロマンスRPG「フリージング エクステンション」の配信を開始したほか、RPG「ファイブキングダムー偽りの王国ー」を(株)リイカと共同で配信し、いずれも順調にダウンロード件数を伸ばしており、第3四半期より収益に貢献する見込みとなっている。

(3) 医療分野
子会社の(株)メディカル・プリンシプル社で展開する医療分野では、医師の紹介事業を中心に、医学生・研修医を対象とした「レジナビフェア」、臨床研修情報サイト「レジナビ」、医師の転職・求人・募集サイト「MediGate」、医師を対象に提供する教育プログラム「民間医局アカデミー」等のサービスを展開している。また、2018年8月に帝京大学大学院公衆衛生学研究科と協定書を締結し、労働者の健康保持やメンタルヘルス等、労働安全衛生に精通した優秀な人材を企業へ紹介するサービスも開始している。

当第2四半期累計の売上高は前年同期比0.9%増の2,327百万円、セグメント利益は同4.1%減の638百万円となった。全国各地での慢性的な医師不足、地域的偏在を背景に、医師の求人ニーズは引き続き旺盛だったものの、一部のレジナビフェア(医療施設の合同説明会)の開催時期が第3四半期にずれ込んだ影響もあって、売上高は伸び悩んだ。利益面では人件費増や新拠点の開設費用(2018年9月に千葉県船橋市に開設、全国16拠点)を計上したこともあって減益となった。通期計画に対する進捗率は計画をやや下回っているものの、第3四半期に入って紹介案件も増え始めており、通期計画の達成は可能と見られる。

(4) 会計・法曹分野
会計分野は子会社のジャスネットコミュニケーションズ(株)、法曹分野は同様にC&Rリーガル・エージェンシー社が展開しており、売上高は前年同期比3.5%増の941百万円、セグメント利益は同40.9%減の43百万円となった。会計士・弁護士の紹介事業を中心に売上高は堅調に推移した一方、利益面では人員増強による人件費増や広告宣伝費増が減益要因となった。

会計分野では、会計事務所やその顧問先の事業承継ニーズに対応すべく、「事業承継・M&A支援サービス」を本格的に開始し、数件の実績を獲得している。また、法曹分野では企業と世界中の弁護士をつなぐSNSプラットフォーム「JURISTERRA」に「RECAIUSTM」の音声認識技術を活用した「音声書き起こしエディタ」の機能を追加する等、本格稼働に向けた開発を進めている。なお、「JURISTERRA」については2018年内の本格稼働を予定しているが、既に、企業と弁護士をつなぐマッチングサービスはスタートしている。弁護士の登録数は約5,000名の規模となっており、主に米国の弁護士の紹介案件が増えているようだ。このため、プラットフォームの開発を行う米国子会社の損益も単月ベースで黒字となる月も出始めている。

通期計画に対する進捗率は第2四半期がやや低調だったため売上高で47%、セグメント利益で24%と低くなっているが、第3四半期に入って会計・法曹分野ともに紹介案件が増加しており、通期計画の達成は可能と見られる。

(5) その他事業
その他事業の売上高は前年同期比41.2%増の946百万円、セグメント損失は41百万円(前年同期は37百万円の損失)となった。当期より新たにビッグデータ分析サービス事業を行うエコノミックインデックス、AIを用いたシステムの企画・開発・販売・運用・保守事業を行うIdrasysの2社を連結子会社として加えている。

売上高については、IT分野のエージェンシー事業を展開する(株)リーディング・エッジ社が好調に推移したこと、また、新規連結子会社が加わったことが増収要因となった。リーディング・エッジ社では、ロボット・AI等の成長市場でニーズが強いプログラム言語、Pythonに精通した4,000名以上のエンジニア等のネットワークを構築していることが高成長の要因となっているようだ。一方、利益面では、リーディング・エッジ社や人材メディア事業を展開するプロフェッショナルメディアが黒字化したものの、その他子会社についてはまだ投資段階のため損失計上が続いている。

Idrasysは2018年1月に台湾のAIベンチャーであるインツミット(株)と合弁で設立した会社(出資比率65%)で、インツミットが開発したAIプラットフォーム「SmartRobotTM」の国内での拡販を進めている。「SmartRobotTM」はIBMのAIエンジン「Watson」と同等の性能を持ちながら、サービス料金は低価格に抑えていることが特徴で、台湾では5大銀行の接客業務のRPAシステム(Chatbot)として導入されている。国内では独立系運用会社のさわかみ投信(株)が初めて導入し、2018年春より運用を開始しており、好評価を得ているようだ。また、その他にも金融・保険、流通企業への導入も決定しており、今後の成長が期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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