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MSOL Research Memo(3):プロジェクトマネジメント支援の専門企業。安定・効率的な事業運営を実現

注目トピックス 日本株
■会社の概要

2. 事業の概要
(1) プロジェクトマネジメント支援業務の詳細
マネジメントソリューションズ<7033>はコンサルティング事業の単一セグメントで事業を展開している。コンサルティングと一口に言っても、対象と内容によって様々な分類がされている。また、その境界も曖昧で、一括りにはしにくい状況となっている。

1つの大きな分け方として「戦略コンサルティング」と「業務コンサルティング」の2つに分けることができる。戦略コンサルティングは主に経営トップを支援し全社的な課題を扱う。対して業務コンサルティングは企業の各部署が持つ課題を取扱う。また、対象領域に基づいた分類としては「ITコンサルティング」、「人事コンサルティング」、「マーケティングコンサルティング」などがあり、これらは業務コンサルティングの1つという捉え方もできる。

日本においては戦後、米国を中心とした外資系コンサルティング企業が戦略コンサルティングを提供してきた。その後1990年代にはコンピューター技術の発達に伴い、ITコンサルティングが注目されるようになった。これらをそれぞれファーストウェーブ、セカンドウェーブとすると、2010年代からは戦略実行型マネジメントの重要性が注目され、これに関するコンサルティングのニーズが高まってきている。これはサードウェーブに該当し同社の事業ドメインであるプロジェクトマネジメント実行支援はここに属している。

プロジェクトマネジメント実行支援という同社の事業を理解するには、企業(同社の主要顧客は従業員数が数千人〜数万人のいわゆる大企業)におけるプロジェクトとその具体的な進行をイメージする必要がある。企業は日常業務(工場等の生産現場であれば主要製品の生産活動、管理部門であれば人事管理や経理業務など)に加え、環境変化への対応や更なる成長を求めて様々なプロジェクトを立ち上げてその実行に取り組んでいる。

プロジェクトには通常、責任者、リーダーとしてプロジェクトマネジャーが置かれる。プロジェクトの規模はプロジェクトが設置されるレイヤー(社内の階層のこと。全社レベル、事業本部レベル、部・課レベルといったこと)や、目的(ゴール)設定などでも変わってくるが、プロジェクトメンバー数が50人〜100人というのも珍しくはない。仮にメンバー数が50人だとするプロジェクトマネジャーは社員50人、年商5億円〜10億円の企業を経営する社長のような存在と言える。そうした企業において社長が営業、人事、総務、経理などの業務を1人で行うことはまずないため、企業内に様々な部署が設置されるように、プロジェクトにおいてもプロジェクトマネジャーを支援する組織が置かれる。それがPMOだ。日本人には“事務局”といったほうが通りが良いかもしれない。同社の主たる事業であるプロジェクトマネジメント支援業務は、PMO周りに関する支援や様々なサービスの提供をその内容としている。

PMOに関しては、米国の大企業では95%が社内にPMOを設置してプロジェクトを遂行しているというデータもあるが、日本はそれに対して遅れているのが現状だ。日本社会でも古くから“事務局”が活用されてきており、PMOのような機能のニーズは意識されていると言えるが、その機能の完成度や効率性という点でPMOが一歩進んでいると考えられる。“事務局”の場合、その役割を担う個人の力量に大きく依存するケースが多いことが想像されるし、実際にそうした経験を有する人も多いだろう。同社のPMO支援業務は、(その名称がPMOか事務局かは問わないが)あるプロジェクトのPMOについての診断・分析(PMOコンサルティング)や、PMO業務のアウトソーシングの受託を行っている。

(2) 収益モデル
プロジェクトマネジメント支援業務の典型的なケースは、PMO業務のアウトソーシングだ。プロジェクトを発足させPMOを設置しようとしても、社内にそれを遂行できる人材がいないことが多い。社員はそれぞれ日常業務を抱えているためなおさらだ。そうしたアウトソーシングニーズに対して同社は、PMOプロフェッショナル(PMO支援を行う専門スキルを有する社員という意味。米国のPMI®が認定するPMP®資格の保有者という意味ではない)を派遣し報酬を得ることになる。この報酬は、1人当たり1ヶ月間の単価で表される。社員のスキルレベルで単価は異なるが、現状では同社全体の平均は150万円/1人/月というイメージだ。同社は各PMOプロフェッショナルの単価を明確にした“明朗会計”を大きな特長の1つとしている。

1人のPMOプロフェッショナルは自分が担当する1件のプロジェクトに専念する(例外的に、上級管理職レベルの社員は同時に複数のプロジェクトを担当するケースもあるが、これは個々のPMO実行支援業務よりも、各所に散らばるPMOプロフェッショナルの管理・監督が業務内容となっているためと考えられる)。したがって、同社の売上高は、PMOプロフェッショナルの数と平均単価と稼働率の関数と言え、成長戦略上はPMOプロフェッショナルの社員数が大きな意味を持つことになる(詳細は後述)。

プロジェクトメンバー数が100人規模の場合は、PMOに対して3〜5人のPMOプロフェッショナルを送り込むことが一般的だ。プロジェクトの期間は案件によって様々だが、1年〜2年程度が中心帯とみられる。通常、大企業内では、複数のプロジェクトが同時進行しているほか、1つのプロジェクトが終了すると、すぐに次のプロジェクトがスタートすることも多い。そうした現状にあって、1人のPMOプロフェッショナルが同一顧客内で、別のプロジェクトに契約を巻き替えて移行するケースも多い。この割合をリピート率と称しているが、これは後述する営業体制・営業効率とも密接な関わりがある。

(3) 営業体制
営業については新規顧客の開拓と既存顧客の維持・関係強化の2つの観点から見る必要があるが、新規顧客と既存顧客の双方に対して共通した強みを同社は有している。それは、PMO支援専門会社としての同社のポジショニングだ。PMO支援業務のプレイヤーは、現状ではコンサルティング企業が中心で、彼らは前工程のコンサルティング(事業戦略等の企画立案と提案)に付随したサービスとして後工程のPMO支援も行うという状況にある。それに対して同社は、PMO専門会社として顧客企業側に100%寄り添ってPMO支援サービスを提供している。新規顧客開拓の順調な進捗や、既存顧客に対する高いリピート率は、この同社の独自の事業モデルやポジショニングが威力を発揮した結果と弊社では見ている。

創業から13年が経過して顧客数も着実に積み上がってきている同社ではあるが、年に数社はドロップ(契約終了)することになる。したがって新規顧客の獲得は同社にとって重要な課題だ。同社は社内に営業部門を有しており、そこが新規顧客の開拓に取り組んでいる。営業のスタイルはコールドコール(飛び込み営業)ではなく、顧客企業からの問い合わせや既存顧客などからの紹介への対応が中心となっている。

受注に際しては同社の直接契約が基本となっており、いわゆる下請けの仕事は取っていない。同社の事業ドメインであるPMO実行支援の前段階として、事業戦略やIT戦略などについてのコンサルティングが存在することもある。そうしたコンサルティングはいわゆるコンサルティング企業の領域であるため、そうしたコンサルティング企業と業務提携を行い、後工程のプロジェクトマネジメント支援を同社が担うということは(将来的に)考えられる。しかしそうした場合でもコンサルティング企業の下請けではなく顧客企業との直接契約にこだわる方針だ。

対象顧客は上場企業もしくはそれに準ずる大企業が多い。大企業では常時複数のプロジェクトが進行しており、PMO支援に対するニーズが数多く存在していることが第1の理由だ。また、一般論としてコンサルティング会社を活用するには相応の料金がかかるため、それを負担できるだけの企業体力が必要という現実的な問題も背景にあると弊社ではみている。

創業以来の実績として、同社は東証1部上場企業だけでも70社以上と直接取引を行ってきた。プロジェクト数の実績は400プロジェクトを超えている。現状は150名以上のPMOプロフェッショナルを擁し、39社(2018年10月期末現在)の顧客に対してPMO支援サービスを提供している。

一方、新規顧客と一旦契約した後は、その関係をいかに長く続けるかが重要なポイントとなる。大企業では常時複数のプロジェクトが進行しており、PMO支援へのニーズは常に存在している。それを着実に取り込んで息の長い関係を続けることは、営業効率の点で極めて効率的であり、経営の安定化にも大きく寄与すると言える。その状況を端的に表す指標の1つがリピート率であり、同社は高いリピート率を実現してきている。このことは高い顧客満足度を提供できていることや営業効率の高さを示唆している。また、PMO支援専門企業として積み重ねた実績と信頼が同一企業で次の受注へとつながっていく流れを確立したことで、同社は極めて営業効率が高い組織となっていると言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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