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システムインテ Research Memo(5):2期連続で過去最高業績を更新見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年2月期の業績見通し
システムインテグレータ<3826>の2019年2月期の業績は、売上高が前期比6.2%増の4,000百万円、営業利益が同1.0%増の500百万円、経常利益が同1.3%増の503百万円、当期純利益が同48.9%増の515百万円と2期連続で過去最高業績を更新する見通し。当期純利益を除いて期初計画を据え置いているが、足下の受注状況が順調に推移していることから会社計画の達成は十分可能と弊社では見ている。利益率が低下するのは売上構成比の変化に加えて、成長に向けた戦略投資430百万円を投下するためだ(前期は150百万円の投資)。なお、当期純利益に関しては調停成立に伴う税負担の軽減効果により期初計画の348百万円から515百万円に上方修正している。

2019年2月期の戦略投資の内訳としては、AI関連投資で60百万円、製品開発投資で300百万円、生産性向上のための投資で70百万円を計画している(2019年2月期第2四半期までに予算の約半分を消化)。具体的な投資内容は以下のとおり。

(1) AI関連投資
AI関連投資として2019年2月期は60百万円を計画している。新サービスとして、企業情報検索サービス「AISI∀-CL」と異常検知システム「AISI∀-AD」を開発、サービス提供を開始する。

「AISI∀-CL」はインターネット上に開設されている約480万社に上る企業のホームページを複数のクローラーで24時間クローリング(徘徊)し、スクレイピング(情報抽出)した業務概要や製品・サービス等の企業ページの文章をAIで読み取り、業界や業種を自動でタグ付け(AIの自然言語理解技術を採用)するサービスとなる。同サービスの提供により従来型の企業情報提供サービス((株)帝国データバンクや(株)東京商工リサーチ等)よりも、低コストで鮮度の高い情報の収集が可能となるため、企業のマーケティング部門や営業部門、資材調達部門などを中心に普及拡大が見込まれる。サービス形態はクラウドサービスでの提供となり、フリーミアムモデル※で展開する。当初は2018年秋のサービス開始を予定していたが、自動タグ付け部分の開発にやや時間が掛かっており、2019年1月のサービス開始を目標としている。また、サービス提供開始から5年間で約500百万円の販売を見込んでいる。

※基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については有料で提供する仕組みのビジネスモデル。


「AISI∀-AD」は、生産現場での製品の品質検査で、これまで目視でしか確認できなかった検査工程において、ディープラーニングによる画像認識技術を用いて自動で異常検知を行うサービスとなる。異常検知に必要な機能を最初からオールインワンで装備しているため、安価で短期間に導入でき、AIに不慣れなユーザーでも簡単に使いこなせることが特徴となっている。機械学習には学習環境が整備されている「Microsoft Azure Learning Service」を利用し、その学習結果を現場のIoT端末(検知カメラ)とつながるエッジコンピュータに格納、高速リアルタイムに処理・判別し、異常検知の際にアラートが出る仕組みとなる。画像によるAI異常検知システムは、工場の製造ラインだけでなく、医療や農業分野、インフラ保全分野といった様々な用途に展開できる可能性がある。実際、サービス開始を発表後、問合せも多く寄せられており、今後の展開が注目される。同社では販売価格を1セット500万円からで予定しており、販売開始から1年で1億円、3年で8億円を見込んでいる。同製品に関しては、顧客ごとにニーズも異なるため、工場のIoT化に取り組んでいるSIer等と協業しながら受注を拡大していく戦略となっている。

その他、AIサービスとして2017年10月に発表した画像認識による設計データリバースサービス「AISI∀-DR」がある。同サービスは、ディープラーニングの画像認識技術を用いて、実システムの画面から設計書を逆生成するサービスで、ソフトウェアのリバースエンジニアリングサービスとなる。2018年3月から販売を開始しており、トライアルで導入した企業からの評価も良好で、画像認識率も実用レベルの水準になっている。同社では「OBDZ」と連携して使うことで、「画面から設計情報を逆生成し、メンテナンスはOBDZで効率的に行う」という理想的な使い方が実現できるとしている。前述したとおり、「OBDZ」については現在、Web版の新バージョンを開発中で、2019年度からサービス提供を開始する予定のため、「AISI∀-DR」についても同時期にセットで販売していく計画だ。「AISI∀-DR」については販売開始から3年間で約300百万円を目標としている。

(2) 製品開発投資
製品開発投資として2019年2月期は300百万円を計画している。例年50百万円前後のため、同社にとっては多額な開発投資となる。このうち、約半分は「GRANDIT」の「生産管理アドオンモジュール」の機能強化に充当する(開発費はソフトウェア資産として計上するため、3年間の定額償却)。同製品は製造業向けを主な顧客対象としてきたが、追加要求される機能が増えてきたことや、ここ最近は建設工事会社などからの引き合いも増加傾向にあり、カスタマイズで対応する案件が増えてきたことが背景にある。同社では、ニーズの高い機能を標準装備し、建設業にも対応した製品にバージョンアップすることで、製品の競争力並びに生産性向上を実現し、更なる売上拡大を目指して行く戦略となっている。バージョンアップの時期は2019年6月を予定している。

また、「Object Browser」シリーズ等の既存製品のバージョンアップのほか、RPA関連サービスの開発も進めていく。同社がRPAツールを開発するのではなく、RPAを開発する技術者向けの育成支援サービスや、「GRANDIT」ユーザーに対してRPAサービス※をソリューション提案(データ入力業務の省力化等)していくことを想定している。RPAツールとしては、現在社内で導入・活用している米WorkFusionの「RPA Express」のほか、エンタープライズ分野向けでは英Blue Prismの「BluePrism」があり、顧客ニーズに応じて「GRANDIT」と組み合わせたソリューション展開を進めていく計画となっている。

※2018年4月18日付で、東芝情報システム(株)と「GRANDIT」のビジネス・セールスパートナー契約を締結し、東芝情報システムのRPAツールと「GRANDIT」を組み合わせたソリューション展開で協業していくことを発表している。


(3) 生産性向上
生産性向上を目的とした投資として2019年2月期は70百万円を計画している。人材育成やマーケティング機能、経営管理機能を強化するためのIT投資、RPAの活用による業務効率の向上などに取り組んでいく。

なお、従業員数について2018年4月に新卒者7名を採用し、中途採用者も含めると2019年2月期は前期末比で20名弱の増員を予定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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