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USENNEX Research Memo(6):成長期の映像配信業界で優位性を発揮

注目トピックス 日本株
■USEN-NEXT HOLDINGS<9418>の事業概要

4. コンテンツ配信事業
「U-NEXT」では、VOD(ビデオ・オン・デマンド)と呼ばれる映像配信サービスを提供している。映画館で上映された映画やテレビで放送されたドラマ・アニメ・バラエティといった映像コンテンツ、小説・コミック・雑誌・写真集などをそろえた電子書籍コンテンツ、邦楽・洋楽・クラシック・演歌などが聴ける音楽コンテンツを、インターネットを通じて、テレビ(セットトップボックスの接続かインターネット接続で利用可能)やPC、スマートフォン、タブレットなどで視聴することができる。個人向けの月額課金型の有料サービスで、旧作を中心とした見放題作品と、視聴ごとに課金される準新作・新作を中心とした作品で構成されている。

定額映像配信の市場では、dTV、hulu、同社(U-NEXT)、Amazonプライムビデオ、Netflixが大手と言われる。NTTドコモが運営するdTVは月額500円(税抜。以下同)でコンテンツ数が12万本以上、日本テレビホールディングス<9404>子会社のhuluが933円で50,000本以上、米国巨大資本のAmazonプライムビデオが370円(プライム年会費3,611円)で32,000本以上、同じく米国資本のNetflixが画質により800円/1,200円/1,800円で3万本と言われている。AmazonプライムビデオとNetflixは海外製の独自コンテンツに特徴があり、dTVは画質が劣るスマートフォン向けの短いコンテンツが多く、huluは海外ドラマや日本テレビ系の番組が多い。AmazonプライムビデオとNetflixが、資本力に物を言わせた販促で売上を大きく伸ばしているようだ。

これに対して同社は月額1,990円と、一見値段が高いように見えるが、市場の中で伸び率が特に高いと言われてもいる。理由は、コンテンツの優位性にある。映画やTV番組など65,000本以上の映像コンテンツが見放題の上、レンタル作品が45,000本以上あり、有料とはいえ公開・放送されたばかりの最新作も充実している。さらに、毎月1日に1,200円分のポイントが付与されるので、有料課金の最新作もポイントの範囲内であれば実質無料で見ることができる。また、同社は大手で唯一成人向け作品を手掛けている。成人向けがコンテンツの需要拡大のカギを握るというのは、レンタルビデオの成長期に(株)TSUTAYAが日本に進出した米国大手ブロックバスターに圧勝したことからもうかがうことができる。

そのほか、同社はアニメや韓流ドラマも豊富に品ぞろえしており、オタクや大人の女性の取り込みも進んでいる。もちろんディズニーなどファミリー向けメジャー作品もラインナップされている上、雑誌70誌以上が読み放題というサービスも付いている。前述したポイントは、書籍・コミックの購入や映画チケットの割引にも利用できる。さらに、ファミリーアカウントにより4人まで同時視聴が可能であり、セキュリティによって各自のプライバシーも守られる。以上から、実質的に1人当たり月額約500円と実は安価と言うこともでき、特段にレンタルビデオのリプレース先として、同社が最適なポジショニングにあると言えるだろう。

一方、課題は資金力である。これが映像配信ビジネスにおいて絶対的に唯一の成否を分けるポイントではないものの、コンテンツの調達や販促にはそれ相応の資金が必要である。日本人向けでないコンテンツが多いため好評と言い切れないが、米国資本の2社は資金力に物を言わせた集客をしている。AmazonプライムビデオはAmazonプライム会員の特典の1つであるため、実質無料という言い方もできる。Netflixは自社コンテンツに巨額の投資をしている。両社とも高額なTVCMを頻繁に打っている。そのような状況のなかで同社は、Webや代理店、シネコンブースでの販売、リスティング及びアフィリエイト広告を駆使し、コンテンツの優位性を地道に訴求することで、毎月安定的にユーザーを積み上げているのである。

事業展開面では、様々な企業と提携関係を構築していることに特徴がある。これまでに、ヤマダ電機<9831>やTSUTAYAなど通信や流通、不動産の大きな顧客基盤を有する企業と提携し、OEM形式でサービスを提供している。ソフトバンクと組んで展開するアニメアプリ「アニメ放題」や、EXILE TRIBE FAMILYなどのファンクラブ会員だけが登録できる動画配信サービスも行っている。このため、「U-NEXT」の契約者数は3年間で2.6倍、2018年8月末は前年同期末比46%増と大きく拡大している。定額動画配信サービスの市場規模は2017年で1,383億円(前年同期比13%増)と言われるが、同社のシェアは0.3ポイント上昇の12.6%で業界3位を誇っている。同社にとって定額映像配信事業は、主力事業にして高成長事業である。


クロスセルのフック商材として高成長を期待
5. エネルギー事業
エネルギー事業では、東京電力ホールディングス<9501>と業務提携し、東京電力ホールディングスのテリトリー外にある業務店や商業施設向けに高圧・低圧電力と都市ガスの販売や、省エネルギー施策提案などのコンサルティング・サービスを提供している。電力販売の自由化を背景に2016年9月に立ち上げたばかりの事業だが、同社の厚い顧客基盤に対して価格の安さを訴求して販売しているため、契約者数は急増を続けている。エネルギー事業の粗利率が低いことから、同社の中期的な営業利益率の低下要因になると思われるが、これまでBGMを不要としていた業務店等へも販売を行える為、店舗運営ソリューションなどのクロスセルに向けたフック商材として同社は高成長事業と位置付け、積極的に拡販をしているところである。このため、足元は赤字だが、2021年8月期には黒字転換する見込みとなっている。


グルメ情報サイトなどで集客支援
6. メディア事業
メディア事業の主力は、グルメレストラン情報サイト「ヒトサラ」で、飲食店向けに集客支援サービスを提供している。料理人(ヒト)と料理(サラ)にフォーカスしてレストランの新しい魅力を訴求するとともに、比較的ハイエンドな飲食店にターゲットを絞り込むことによって、ホットペッパーグルメやぐるなびなどの競合サイトと差別化している。このため、一定のマーケットポジションを確保しており、月間ユニークユーザー数は2,000万人に達する。また、「ヒトサラ」には即時予約機能を追加したことで、これまでの広告収入に即時予約でのトランザクションモデルが加わることでビジネスの幅が拡大している。一方で、「食べログ」の代理店として、メディアミックスによる効率的な集客方法の提案も行っている。さらに、インバウンド戦略として、訪日外国人に向けて英語/簡体字/繁体字/韓国語へ対応した、「ヒトサラ」の多言語版グルメサイト「SAVOR JAPAN」を運営している。ほかに、結婚を意識し始めた女性をターゲットにフリーマガジン・Web・イベント・サロンの4方向からアプローチできるウェディングメディア「ウエコレ」や、スタイリスト探しのWebマガジン「bangs」も展開している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)



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