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リソー教育 Research Memo(7):少子化対策の一環で学校内塾が急成長。高利益率事業に変貌する可能性も

注目トピックス 日本株
■リソー教育<4714>の中長期成長戦略

5. 学校内個別指導事業(スクールTOMAS)の詳細と成長戦略
(1) 事業の概要
学校内個別指導事業を展開するのは日本エデュネットから社名変更した(株)スクールTOMASだ。日本エデュネットはインターネットテレビ電話事業を目的に設立され、主に私立学校を顧客としてリアルタイム双方向の完全個別指導「ハローe先生」やインターネット予備校「ハローeステーション」の販売を行っていた。その後新製品の「スクールeステーション」のローンチを経て、2013年2月期から学校内個別指導の「スクールTOMAS」の事業を開始した。

スクールTOMASは学校内にTOMASを設置し個別指導を行う事業だ。インターネット授業がなかなか浸透しなかったのに対して、リアルな講師が行うスクールTOMASは後述するように学校側のニーズともマッチし、比較的順調に成長してきている。それを受けて2013年10月には会社名も日本エデュネットからスクールTOMASへと変更し、現在に至っている。

スクールTOMASは2018年8月末現在、約40校に導入されている。学校が学内に塾を設置する背景は、やはり少子化だ。少子化の中で児童・生徒を確保する最大のセールスポイントは進学実績だという学校側のニーズに対して、進学指導と個別指導という2つの特長を有するTOMASがベストマッチし、契約学校数の拡大へとつながっている。

一方学校内でのインターネット授業ビジネスは、マンツーマンのオンライン英会話授業へと内容を変更した。サービスブランドはかつて使用していた「ハローe先生」を用いている。TOMAS事業におけるTOMASとinter TOMASのタイアップ体制と同じものを学校内個別指導事業でも構築し、スクールTOMASとのシナジー効果拡大を狙っている。ここ数年は、先行投資として、ネイティブの英語教師の確保のためにフィリピンのセブ島に拠点を設け(スクールTOMASの子会社としてTOMAS ENGLISH TRAINING CENTER, INC.を2016年に設立)、サービス提供のインフラ整備に注力してきた。

(2) 成長戦略
前述のようにスクールTOMASは2013年(2014年2月期)からその営業活動を始めたが、インターネットのサービスと比較して順調に契約学校数を伸ばしてきた。2019年2月期第2四半期のスクールTOMASの売上高は685百万円で前年同期比3.6%増にとどまっている。しかしこの数値は2020年2月期には大きく様変わりする見通しだ。

その理由は、現在、導入予定学校数が着実に積み上がっていることにある。多くの学校は年度末に契約し新年度(2019年4月)からの事業開始というスケジュールで進めている。この数が現状40校ほどあり、2019年4月(2020年2月期)は70〜80校体制でスタートする見通しだ。したがって単純計算でも2020年2月期の当セグメントの売上規模は前期比倍増の30億円前後が見込まれる状況となっている。

契約学校数は2020年2月期中において100校に達するとみられるが、この段階を超えると契約学校数の伸びが加速する可能性があると弊社ではみている。前述のように、少子化の中、私立学校は生徒数獲得の競争が激しくなってきており、相対的な競争優位性の低下を避けるために学校内塾の導入に踏み切る学校が増えると考えるためだ。その際、集団授業型のサービスと個別指導型の選択が発生するが、学校という集団指導型組織との補完関係という点では個別指導がより親和性が高いと弊社では考えている。

また、対象顧客も中核の私立高校を中心にして垂直・水平の両方に拡大するとみている。垂直というのは小・中学校への拡大だ。水平方向というのは公立学校への拡大を意味している。同社はこれらの分野で既に実績を上げており、既存顧客の40校の中には、ごくわずかではあるが公立学校や小学校の顧客も含まれている。

一方利益面では、セブ島での先行投資を主因として学校内個別指導事業セグメントの営業利益が2018年2月期には営業赤字に転落し、2019年2月期第2四半期も赤字が続いた。この点は、しかし、契約数拡大に伴う売上高の増大と、セブ島での先行投資の終了で、今下期には黒字に転換し(2019年2月期通期では損益トントンと想定)、2020年2月期には通期ベースで明確に黒字転換してくる見通しとなっている。

事業が完全に軌道に乗った段階では、スクールTOMASはその事業モデルの特性ゆえ、非常に高い利益率が期待できると弊社では考えている。それは学校内でのサービスであるため不動産コストが発生しないことが理由だ。家庭教師派遣事業を除く他の業態はすべて不動産物件の賃借料が発生するが、これが原価の15%〜20%を占めていると推定される。この負担がない学校内個別指導事業は、TOMASやinter TOMASを展開する学習塾事業セグメントに対して営業利益率が10%〜15%ポイント上回るポテンシャルがあると弊社では推定している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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