ワコム Research Memo(1):井出新社長による新体制のもと順調な滑り出し
[18/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ワコム<6727>はペンタブレットの世界トップメーカー。クリエイターを対象とする市場では世界シェア80〜90%(自社推定)を誇る。自社ブランドでペンタブレット製品を販売するブランド製品事業と、タブレット・ノートPC向けのデジタルペンなどコンポーネントを完成品メーカー向けにOEM供給するテクノロジーソリューション事業の2セグメントで事業を展開している。
1. 2019年3月期第2四半期決算は大幅上振れで着地。パーツ供給が需要の早期化により急伸
同社の2019年3月期第2四半期決算は、売上高46,263百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益2,734百万円(同82.1%増)と大幅な増収増益となり、期初予想を大きく上回って着地した。デジタルペンやペン・センサーシステムのパーツを供給するテクノロジーソリューション事業において、需要の早期化(計画よりも前倒しでの受注・売上の獲得)が発生して大幅な上振れとなったことが要因だ。一方、ブランド製品事業は新製品の投入で期初予想の着実な達成を目指したものの、新製品の供給問題の発生や競争関係の変化により期初予想を下回る結果となった。
2. 新中期経営計画『Wacom Chapter 2』は着実に進捗。各重要取組事項で進捗を確認
同社は2018年4月の井出社長の就任と合わせて新中期経営計画『Wacom Chapter 2』を策定・発表し、現在それに取り組んでいる。現在は、1)顧客志向の技術革新、2)組織/オペレーションの改革、3)利益を重視した財務体質の確立、4)取締役会改編による経営の質の向上、の4つを重要取組事項として掲げているが、それぞれの項目に関して最初の半年に当たる2019年3月期第2四半期において進捗を確認することができた。
3. 2019年3月期下期もテクノロジーソリューション事業に上振れ余地の可能性
2019年3月期通期の業績予想について同社は、売上高89,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)を予想している。第2四半期の実績を踏まえて売上高は上方修正したが利益見通しは期初予想を据え置いた。第2四半期の上振れ要因となったテクノロジーソリューション事業は、2019年3月期下期には需要の早期化が一段落することを想定し、上期比較で下期は減収減益を予想している。その結果、通期ベースではテクノロジーソリューション事業の利益上方修正分とブランド製品事業での下方修正分が打ち消し合い利益見通しは期初予想どおりとしている。弊社では2018年3月期下期から続く需要の早期化は2019年3月期下期も発生する可能性があり、その点で2019年3月期下期のテクノロジーソリューション事業に再度の上振れの可能性があるとみている。
■Key Points
・テクノロジーソリューション事業の需要の早期化により収益が大幅に上振れて着地
・4つの重要取組事項それぞれにおいて、2019年3月期第2四半期に進捗・効果を確認
・ブランド製品事業は改善を実現できれば成長エンジンに転化できるポテンシャル
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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ワコム<6727>はペンタブレットの世界トップメーカー。クリエイターを対象とする市場では世界シェア80〜90%(自社推定)を誇る。自社ブランドでペンタブレット製品を販売するブランド製品事業と、タブレット・ノートPC向けのデジタルペンなどコンポーネントを完成品メーカー向けにOEM供給するテクノロジーソリューション事業の2セグメントで事業を展開している。
1. 2019年3月期第2四半期決算は大幅上振れで着地。パーツ供給が需要の早期化により急伸
同社の2019年3月期第2四半期決算は、売上高46,263百万円(前年同期比13.7%増)、営業利益2,734百万円(同82.1%増)と大幅な増収増益となり、期初予想を大きく上回って着地した。デジタルペンやペン・センサーシステムのパーツを供給するテクノロジーソリューション事業において、需要の早期化(計画よりも前倒しでの受注・売上の獲得)が発生して大幅な上振れとなったことが要因だ。一方、ブランド製品事業は新製品の投入で期初予想の着実な達成を目指したものの、新製品の供給問題の発生や競争関係の変化により期初予想を下回る結果となった。
2. 新中期経営計画『Wacom Chapter 2』は着実に進捗。各重要取組事項で進捗を確認
同社は2018年4月の井出社長の就任と合わせて新中期経営計画『Wacom Chapter 2』を策定・発表し、現在それに取り組んでいる。現在は、1)顧客志向の技術革新、2)組織/オペレーションの改革、3)利益を重視した財務体質の確立、4)取締役会改編による経営の質の向上、の4つを重要取組事項として掲げているが、それぞれの項目に関して最初の半年に当たる2019年3月期第2四半期において進捗を確認することができた。
3. 2019年3月期下期もテクノロジーソリューション事業に上振れ余地の可能性
2019年3月期通期の業績予想について同社は、売上高89,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)を予想している。第2四半期の実績を踏まえて売上高は上方修正したが利益見通しは期初予想を据え置いた。第2四半期の上振れ要因となったテクノロジーソリューション事業は、2019年3月期下期には需要の早期化が一段落することを想定し、上期比較で下期は減収減益を予想している。その結果、通期ベースではテクノロジーソリューション事業の利益上方修正分とブランド製品事業での下方修正分が打ち消し合い利益見通しは期初予想どおりとしている。弊社では2018年3月期下期から続く需要の早期化は2019年3月期下期も発生する可能性があり、その点で2019年3月期下期のテクノロジーソリューション事業に再度の上振れの可能性があるとみている。
■Key Points
・テクノロジーソリューション事業の需要の早期化により収益が大幅に上振れて着地
・4つの重要取組事項それぞれにおいて、2019年3月期第2四半期に進捗・効果を確認
・ブランド製品事業は改善を実現できれば成長エンジンに転化できるポテンシャル
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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