ワコム Research Memo(6):売上高を上方修正。利益見通しは据え置かれたが、上振れ余地があるとみる
[18/11/30]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
ワコム Research Memo(6):売上高を上方修正。利益見通しは据え置かれたが、上振れ余地があるとみる
(掲載ピクチャ)
(掲載本文)
■今後の見通し
1. 2019年3月期通期見通し
2019年3月期についてワコム<6727>は、売上高89,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)、経常利益3,920百万円(同9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980百万円(同26.2%増)を予想している。
同社は2019年3月期第2四半期決算を受けて業績予想を見直し、売上高について従来の85,000百万円から89,000百万円に引き上げた。一方利益については従来予想を据え置いた。売上高の上方修正をもたらしたテクノロジーソリューション事業において利益も期初予想を上回ると期待される一方、ブランド製品事業の収益が期初予想よりも下方修正となることが原因だ。
事業セグメント別では、ブランド製品事業は売上高49,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益6,500百万円(同0.5%増)を見込んでいる。期初予想から売上高が1,300百万円、営業利益が3,200百万円、それぞれ引き下げられた。下期はディスプレイの高価格帯製品の販売増などで盛り返すと期待されるが、製品ミックス悪化や米国の対中関税発動の影響で利益率が従来想定よりも下がることを織り込んだ結果、営業利益の下方修正幅が膨らんだ。
テクノロジーソリューション事業については売上高40,000百万円(前期比18.9%増)、営業利益5,900百万円(同3.9%増)を見込んでいる。第2四半期に大幅上振れとなったことを受けて、通期予想は売上高、営業利益ともに大幅に引き上げられた。しかしながら上期(第2四半期累計期間)と下期を比較すると、下期は上期比減収減益となっている。これはテクノロジーソリューション事業の収益が顧客の製品戦略の影響を直接受けるという構造が原因だ(実現可能性の高い「ベースシナリオ」を会社予想として開示するという考え方)。また研究開発費が一部下期に先送りとなった分が下期の利益を圧迫することも織り込まれている。
結果的に、売上高は為替相場が想定よりもドル高円安となったことから増額修正されたものの、利益面ではブランド製品事業の下方修正とテクノロジーソリューション事業の上方修正が打ち消し合って、期初予想どおりとなっている。
弊社では、同社の業績予想について説得力がある妥当な予想だと考えているが、テクノロジーソリューション事業の下半期の収益には上振れ余地があると考えている。一方、ブランド製品事業は、第2四半期に起こった供給問題は改善されて修正計画の達成は十分可能とみている。その結果、下期もテクノロジーソリューション事業の上振れによって全社業績が計画を上回って着地する可能性は十分あると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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(掲載ピクチャ)
(掲載本文)
■今後の見通し
1. 2019年3月期通期見通し
2019年3月期についてワコム<6727>は、売上高89,000百万円(前期比8.2%増)、営業利益4,000百万円(同13.4%増)、経常利益3,920百万円(同9.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,980百万円(同26.2%増)を予想している。
同社は2019年3月期第2四半期決算を受けて業績予想を見直し、売上高について従来の85,000百万円から89,000百万円に引き上げた。一方利益については従来予想を据え置いた。売上高の上方修正をもたらしたテクノロジーソリューション事業において利益も期初予想を上回ると期待される一方、ブランド製品事業の収益が期初予想よりも下方修正となることが原因だ。
事業セグメント別では、ブランド製品事業は売上高49,000百万円(前期比1.7%増)、営業利益6,500百万円(同0.5%増)を見込んでいる。期初予想から売上高が1,300百万円、営業利益が3,200百万円、それぞれ引き下げられた。下期はディスプレイの高価格帯製品の販売増などで盛り返すと期待されるが、製品ミックス悪化や米国の対中関税発動の影響で利益率が従来想定よりも下がることを織り込んだ結果、営業利益の下方修正幅が膨らんだ。
テクノロジーソリューション事業については売上高40,000百万円(前期比18.9%増)、営業利益5,900百万円(同3.9%増)を見込んでいる。第2四半期に大幅上振れとなったことを受けて、通期予想は売上高、営業利益ともに大幅に引き上げられた。しかしながら上期(第2四半期累計期間)と下期を比較すると、下期は上期比減収減益となっている。これはテクノロジーソリューション事業の収益が顧客の製品戦略の影響を直接受けるという構造が原因だ(実現可能性の高い「ベースシナリオ」を会社予想として開示するという考え方)。また研究開発費が一部下期に先送りとなった分が下期の利益を圧迫することも織り込まれている。
結果的に、売上高は為替相場が想定よりもドル高円安となったことから増額修正されたものの、利益面ではブランド製品事業の下方修正とテクノロジーソリューション事業の上方修正が打ち消し合って、期初予想どおりとなっている。
弊社では、同社の業績予想について説得力がある妥当な予想だと考えているが、テクノロジーソリューション事業の下半期の収益には上振れ余地があると考えている。一方、ブランド製品事業は、第2四半期に起こった供給問題は改善されて修正計画の達成は十分可能とみている。その結果、下期もテクノロジーソリューション事業の上振れによって全社業績が計画を上回って着地する可能性は十分あると考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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