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DDHD Research Memo(6):ゼットン及び商業藝術の連結効果が増収に寄与する一方、先行費用等により減益決算

注目トピックス 日本株
■決算動向

2. 2019年2月期上期決算の概要
DDホールディングス<3073>の2019年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比23.9%増の25,830百万円、営業利益が同22.8%減の1,240百万円、経常利益が同25.7%減の1,198百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は同10.2%減の978百万円と増収ながら減益となった。また、2018年7月12日付の修正予想※に対しては、売上高はおおむね計画どおりで推移した一方、利益面では下回る進捗となっている。

※2018年7月12日に、それまでの既存店売上高が好調であったことや投資有価証券売却益(685百万円)の計上(特別利益)を理由として期初予想を増額修正した(ただし、上期における利益予想のみ)。ただ、その後に発生した外部要因(台風等の影響)により、結果的に修正予想を下回る進捗となった。


売上高は、ゼットン及び商業藝術の連結効果(約45億円の上乗せ)に加えて、前期出店分(19店舗)が期初から寄与したことや上期出店分(11店舗)が増収要因となった。前期出店分には、2017年9月にオープンした国内ウェディング※1や2017年10月に第1号店※2を出店したカプセルホテルも含まれている。一方、既存店売上高(国内)は昨対比99.4%と若干落ち込んだ。アミューズメント事業が同103.6%と堅調に推移したものの、飲食事業が台風等の影響※3により同97.6%と下振れたことが響いた。

※1 ウェディング施設「京都祝言SHU:GEN」及び料亭「京都幽玄JUGEN」)。
※2 GLANSIT AKIHABARA〜COMFORT CAPSULE HOTEL〜。
※3 関西、広島エリアを中心に営業不能となった店舗が発生。


利益面では、売上原価率が24.3%(前年同期は22.6%)に悪化したことに加え、販管費率も70.9%(同69.6%)に上昇したことから営業利益率は4.8%(同7.7%)に低下した。売上原価率悪化の背景には、1)酒税法改正に伴うビールの値上げや、2)カフェ業態を中心とするゼットン及び商業藝術の連結化(業態特性)※、3)国内ウェディング事業への参入による影響(先行費用)の3つの要因が挙げられる。また、販管費率の上昇は、ウェディング施設にかかる減価償却費や2018年2月期のM&Aに伴うのれん償却額、新規出店費用の増加等によるものである。ただ、これらのコスト要因はすべて想定の範囲内。したがって、利益面で修正予想を下回ったのは、既存店売上高(飲食事業)の下振れによる影響のほか、前期に持分法適用関連会社となったエスエルディーによる持分法投資損失(106百万円)を計上したことが理由である。

※カフェ業態は、居酒屋業態と比べて一般的に原価率が高くなる特性がある。


財政状態では、「投資有価証券」が減少した一方、「現金及び預金」等が増加したことにより「総資産」は前期末比1.4%増の2,8045百万円とわずかに増加した一方、自己資本も内部留保により同1.3%増の5,682百万円となったことから、自己資本比率は20.3%(前期末も20.3%)と横ばいで推移した。

主な事業別の業績は以下のとおりである。

国内飲食事業は、売上高が前年同期比29.8%増の20,431百万円、営業利益が同14.9%減の1,756百万円と増収減益となった。売上高は、2社分の連結効果に加えて、前期出店分(16店舗)が期初から寄与したことや新規出店分(9店舗)が増収要因となった。2017年9月にオープンした国内ウェディング事業もまだ営業損失※の段階ではあるが、計画を上回るペースで順調に立ち上がってきたようだ。一方、既存店売上高は台風等の影響により昨対比97.6%と下振れた。利益面では、前述のとおり、酒税法改正の影響や業態構成の変化、国内ウェディング事業への参入等に伴う先行費用(減価償却費を含む)等により減益となった。

※上期業績では約135百万円の営業損失を計上(計画内)。


海外飲食事業は、売上高が前年同期比4.6%減の732百万円、営業損失が22百万円(前年同期は30百万円の損失)と減収ながら損失幅が縮小した。新規2店舗を出店したものの、既存店売上高が減少。ただ、利益面では、前期末に店舗施設資産を減損したことによる減価償却費の減少により、新規出店費用を賄いながら損益改善を図ることができた。

アミューズメント事業は、売上高が前年同期比7.5%増の4,665百万円、営業利益が同6.3%増の919百万円と増収増益になった。前期出店分(3店舗)が期初から寄与したことや既存店売上高も昨対比103.6%と堅調に推移したことが増収要因となった。2017年10月に第1号店を出店したカプセルホテル事業についても経験則(運営ノウハウ)を積み上げながら着実なペースで立ち上がってきたようだ。利益面でも、カプセルホテル事業にかかる先行費用を既存店の伸びでカバーし、増益を確保した。

以上から、2019年2月期上期の業績を総括すれば、減益決算とはなったものの、台風等の影響により既存店売上高(飲食事業)が下振れたことや持分法投資損失を計上したことを除けば、ほぼ期初計画どおりの進捗と評価できる。特に、M&Aによる業態ポートフォリオの多様化(カフェ業態の獲得)や、国内ウェディング及びカプセルホテル事業への参入など、前期からの施策が形になってきたところは今後に向けてプラスの材料と言えるだろう。


■活動実績
1. 新規出店
2019年2月期上期の新規出店は、国内飲食9店舗、海外(ハワイ)2店舗の合計11店舗(通期計画は16店舗)と順調であった。国内飲食は、「九州熱中屋」や「WINEHALL GLAMOUR」など主力ブランドに加えて、「ALOHA TABLE(アロハテーブル)」(ゼットン)、「chano-ma(チャノマ)」(商業藝術)といった人気のカフェ業態も含まれており、バランスの取れた構成と言える。一方、海外(ハワイ)2店舗※については、「ZIGU(ジグ)」及び「PARIS.HAWAII(パリ ハワイ)」の新規ブランドでの出店となった。それらの結果、2018年8月末の直営店舗数は、新規出店11店舗、退店5店舗により前期末比6店舗増の431店舗(そのうち、海外は8店舗)に増加した。

※「ZIGU(ジグ)」は「EAT LOCAL」をコンセプトとし、ハワイの食材を心行くまで堪能できる和食レストラン&バー。「PARIS.HAWAII(パリ ハワイ)」は、ハワイの食材をフレンチの伝統的技法で創り出す地産消を目指したアイランドフレンチレストラン。2店舗ともにゼットンによる出店である。


2. 新規事業の進捗
(1) 国内ウェディング事業
2017年9月に本格参入した国内ウェディング事業※については、計画を上回る受注により順調に立ち上がってきたようだ。初期投資額は約10億円(有形固定資産及び開業費)と推定され、減価償却費(定率法)が重いこともあって現在は営業損失段階であるが、2020年2月期中には単月黒字化を目指す計画のようだ。

※連結子会社The Sailingが、約380坪の広い敷地内に、八坂の塔を望むチャペルを持つウェディング施設「京都祝言SHU:GEN」と料亭「京都幽玄JUGEN」を同時オープン。大正期に文豪や多くの名士が集った老舗旅館と旧三井邸を合わせてリノベーションした店内と日本庭園の景観美とともに、新鮮で厳選された四季折々の食材による日本料理の会席コースが楽しめる。


また、2018年12月21日には、第2号店となる「NOVEL SHINSAIBASHI」を大阪市中央区西心斎橋に出店する計画である。期初計画には入っていなかった案件であるが、第1号店で手応えをつかんだことや、好物件を取得できる機会を逃したくなかったこと、第1号店との相乗効果(スタッフ等の共有)が期待できることなどが出店に踏み切った理由と考えられる。第1号店と比べると比較的カジュアルな立地環境のようであるが、同社が得意とする空き時間の有効活用(ウェディング以外での飲食利用)などを含め、同社ならではの成功モデルを確立することができれば、事業拡大のポテンシャルをさらに高める可能性がある。

(2) カプセルホテル事業
2017年10月に第1号店を出店したカプセルホテル事業についても、厳しい競合環境のなかで、同社グループの強みである高いクオリティとホスピタリティによる差別化を図りながら、着実なペースで立ち上がってきたようだ。まだ実験的な部分もあり、本格的な業績貢献には時間を要する見通しであるが、ここで得た新たな経験則や運営ノウハウは将来に向けた財産と言える。2018年9月には第2号店となる「GLANSIT KYOTO KAWARAMACHI〜COMFORT CAPSULE HOTEL〜」を出店しており、今後も収益性などを注視しながら継続的な出店を行う計画のようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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