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Jトラスト Research Memo(7):アジア金融事業を原動力に飛躍を目指す

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

Jトラスト<8508>は、IFRS転換が遅れたことに加え、韓国及びモンゴル金融事業では負ののれんの処理や当局の規制強化の影響、東南アジア金融事業では不良債権処理の影響、投資事業ではGL関連損失処理の影響などから、結果として中期経営計画(2016年3月期〜2018年3月期)は予定どおりには進まなかった。現在、新たな中期経営計画の発表はないが、会社として投資家に中期的な利益目標を示すことは非常に重要であると弊社では考える。

2018年3月期は投資事業の損失に伴い業績予想の下方修正を余儀なくされたが、主力の金融3事業は当初の期待どおりの業績を上げ、会社全体の営業黒字確保に貢献した。2019年3月期第2四半期累計では東南アジア金融事業が業績不振であったものの、通期では業績回復を計画し、中長期的には金融3事業を中心に収益拡大を目指している。

すなわち、引き続き日本金融事業では信用保証事業と債権回収事業により、安定的な利益を稼ぐ。また韓国及びモンゴル金融事業でも、貯蓄銀行業に対する規制強化の影響を抑えつつ、債権回収事業とも合わせて増益を確保する。一方、足元では業績悪化に苦しんでいる東南アジア金融事業では、今後さらに再生を進めて利益を大きく伸ばすことで、同社グループ全体の増収増益基調をけん引することを期待している。買収したJTOは、現在は中古車ローン販売がメインであるが、既にクボタ、ヤンマー、KIOTIの農機ローンとTATAの新車ローンを開始したほか、住宅改装ローンや教育ローンも検討している。

アジア経済圏では、外需の低迷、中国の成長減速、原油を中心とした商品価格の伸び悩みなどの影響により、各国の経済成長率は従来よりも低水準にとどまり、国内の企業収益や個人所得に悪影響を与えているとの指摘がある。しかし、IMFの統計によれば、インドネシア経済は世界16位の規模であり、アジア金融危機時の1998年を除き安定した成長を続けており、2018年の実質GDP成長率見込みも5.14%で、2017年の5.07%を上回る成長を続けている。

また、カンボジアの商業銀行ANZRが同社グループに加わる予定である。カンボジア経済は世界108位の規模ながら実質GDPは年率6〜7%の成長率を続けており、ANZRは資産内容の良い優良銀行であり、年間25億円程度の利益を計上していることから、今後、グループへの利益貢献が期待される。

このように、同社グループは成長可能性が大きい東南アジア金融事業を原動力に、持続的かつ大きな成長を目指している。その際、金融事業とのシナジーが期待できない非金融事業(ライブ・エンタメ事業、不動産事業)については、グループから切り離すことも検討課題であり、同社グループは潜在成長性の高い金融事業分野に、よりフォーカスすべきであると弊社では考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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