日証金 Research Memo(5):第2四半期決算に基づき、通期の業績試算値を小幅修正
[18/12/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■日本証券金融<8511>の今後の見通し
同社グループの主要業務である証券金融業務の業績は、株式市況・金利等の動向により大きく影響を受けるため、同社では業績予想の開示を行っていない。ただし、グループの業態に適した開示を行うことを目的に、業績試算値を公表している。試算値は四半期ごとに見直しを行い、決算の発表の際に公表している。
2018年4月−9月は、日経平均株価が21,000円から24,000円のボックス圏で推移するなか、貸借取引の平均残高が、融資3,260億円(前年同期比122億円増)、貸株2,616億円(同1,122億円減)であったことから、業績試算の前提を前回(7月時点)想定(融資3,400億円、貸株2,500億円)から修正し、融資3,100億円、貸株2,500億円と想定した。2018年3月期の平均残高(融資3,501億円、貸株3,661億円)に比べて低水準を見込んでいる。一方、貸付金利の水準と証券会社の資金需要の両面に影響を与える金融政策の動向については、2019年3月期中に大きな変化があるとは想定しづらいため、業績の試算に当たっては足元の状況が続くとしている。
以上から、同社単体の2019年3月期の業績試算値は、営業利益2,500百万円(前期比405百万円減)、経常利益3,300百万円(同325百万円減)、当期純利益2,300百万円(同1,139百万円減)と、いずれも前回試算値から100百万円ずつ下方修正した。一方、日証金信託銀行は、信託業務が底堅く推移していることから前回試算値から上方修正し、経常利益590百万円(同168百万円増)、当期純利益510百万円(同143百万円増)を予想する。また、日本ビルディングについては、前回試算値を維持し、営業利益545百万円(同22百万円減)、経常利益650百万円(同1百万円増)、当期純利益430百万円(同2百万円増)を見込む。
この結果、グループ連結の業績試算値は、営業利益3,600百万円(前期比281百万円減)、経常利益4,500百万円(同185百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,200百万円(同1,025百万円減)の減収減益予想であるが、親会社株主に帰属する当期純利益については前回試算値から100百万円上方修正した。なお、通期の業績試算値が第2四半期累計実績の1.6〜1.7倍にとどまるのは、配当受取りが上期に集中している上、信託銀行で下期には債券売却益を見込んでいないためである。
下期に入って、日経平均株価は11月初旬には一時22,500円台を突破し、また同社の10月の融資平残実績は2,842億円、貸株平残実績も2,800億円と業績試算値の前提に比べて貸株は上回っているが、融資は下回って推移している。内外の景気先行きの不透明感から力強さを欠いた株式市場の現状を考えると、同社の2019年3月期通期業績は前期のような勢いは期待できないようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<MH>
同社グループの主要業務である証券金融業務の業績は、株式市況・金利等の動向により大きく影響を受けるため、同社では業績予想の開示を行っていない。ただし、グループの業態に適した開示を行うことを目的に、業績試算値を公表している。試算値は四半期ごとに見直しを行い、決算の発表の際に公表している。
2018年4月−9月は、日経平均株価が21,000円から24,000円のボックス圏で推移するなか、貸借取引の平均残高が、融資3,260億円(前年同期比122億円増)、貸株2,616億円(同1,122億円減)であったことから、業績試算の前提を前回(7月時点)想定(融資3,400億円、貸株2,500億円)から修正し、融資3,100億円、貸株2,500億円と想定した。2018年3月期の平均残高(融資3,501億円、貸株3,661億円)に比べて低水準を見込んでいる。一方、貸付金利の水準と証券会社の資金需要の両面に影響を与える金融政策の動向については、2019年3月期中に大きな変化があるとは想定しづらいため、業績の試算に当たっては足元の状況が続くとしている。
以上から、同社単体の2019年3月期の業績試算値は、営業利益2,500百万円(前期比405百万円減)、経常利益3,300百万円(同325百万円減)、当期純利益2,300百万円(同1,139百万円減)と、いずれも前回試算値から100百万円ずつ下方修正した。一方、日証金信託銀行は、信託業務が底堅く推移していることから前回試算値から上方修正し、経常利益590百万円(同168百万円増)、当期純利益510百万円(同143百万円増)を予想する。また、日本ビルディングについては、前回試算値を維持し、営業利益545百万円(同22百万円減)、経常利益650百万円(同1百万円増)、当期純利益430百万円(同2百万円増)を見込む。
この結果、グループ連結の業績試算値は、営業利益3,600百万円(前期比281百万円減)、経常利益4,500百万円(同185百万円減)、親会社株主に帰属する当期純利益3,200百万円(同1,025百万円減)の減収減益予想であるが、親会社株主に帰属する当期純利益については前回試算値から100百万円上方修正した。なお、通期の業績試算値が第2四半期累計実績の1.6〜1.7倍にとどまるのは、配当受取りが上期に集中している上、信託銀行で下期には債券売却益を見込んでいないためである。
下期に入って、日経平均株価は11月初旬には一時22,500円台を突破し、また同社の10月の融資平残実績は2,842億円、貸株平残実績も2,800億円と業績試算値の前提に比べて貸株は上回っているが、融資は下回って推移している。内外の景気先行きの不透明感から力強さを欠いた株式市場の現状を考えると、同社の2019年3月期通期業績は前期のような勢いは期待できないようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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