ステップ Research Memo(3):小中学生、高校生部門ともに生徒数が着実に増加、学童保育部門も黒字化を達成
[18/12/12]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2018年9月期の業績概要
ステップ<9795>の2018年9月期の業績は、売上高が前期比4.4%増の11,033百万円、営業利益が同3.7%増の2,680百万円、経常利益が同4.8%増の2,760百万円、当期純利益が同1.6%増の1,862百万円と連続で過去最高業績を更新し、ほぼ会社計画どおりの着地となった。
当事業年度中における新規開校は小中学部で5スクールとなり、3月に鷺沼(川崎市宮前区)、たまプラーザ(横浜市青葉区)、保土ケ谷(横浜市保土ケ谷区)、和田町(横浜市保土ケ谷区)の4スクール、建物工事の関係で4月に新百合ヶ丘(川崎市麻生区)を開校した。このうち、たまプラーザは既存校舎内にHi-STEPスクールを併設したもので、新百合ヶ丘は川崎市内でも有数の学習塾激戦区である。また、同社が戦略エリアとする川崎市や横浜市北東部に加えて、横浜市の中心地に位置する保土ケ谷区についても初めて進出した。この結果、スクール数は小中学生部門で128スクール、高校生部門で14校、個別指導部門で1校、学童部門で1校の合計144校となった。新たに開設した5スクールの生徒入会状況については、例年並みのペースで順調な立ち上がりを見せているようだ。
期中平均生徒数は、小中学生部門で前期比3.6%増、高校生部門で同2.8%増、全体で同3.4%増と増加傾向が続いた。売上高の内訳を見ると、小中学生部門で同4.5%増の8,979百万円、高校生部門で同4.0%増の2,053百万円とそれぞれ生徒数の増加率を上回ったが、学年構成比の変化や受講科目の増加が要因と見られる。部門別の営業利益率では今まで高校生部門が若干低かったが、教室当たり生徒数の増加により、小中学生部門とほぼ並ぶ水準となっている。
利益面の動きを見ると、売上高営業利益率は24.3%と前期比0.2ポイント低下した。売上原価率が69.2%と同0.2ポイント上昇したことが要因だが、内訳を見ると講師の増員による人件費増や、教室数の拡大及び増床等に伴うその他費用(水道光熱費、固定資産税等)の増加が主因となっている。一方、販管費率は6.5%と前期並みの水準となった。租税公課(事業税)が増加したものの、広告宣伝費やその他経費の抑制に努めたことによる。また、当期純利益の増益率が経常利益よりも低くなっているのは、前期に適用された所得拡大促進税制による税額控除が当期は適用除外となり、税金費用が増加したことが要因となっている。
また、2016年3月末からスタートした学童部門は、「安全・安心で楽しく有意義な放課後、知的な成長の場」をコンセプトに、「STEP」の教師や教師経験者を中心に運営されており、多彩で質の高いプログラムを提供していることも含めて生徒・保護者から高く評価されている。2018年春からは対象学年を小学4年生まで広げたこともあり、期中平均生徒数で前期比58名増の115名(小中学生部門の生徒数には含まず)に増加し、売上高で52百万円、営業利益で3百万円となり、初めて黒字を達成している。プログラムとしてはサイエンス、英会話、算数、ことば(国語)、はば広教養、プログラミングの6つのプログラムを行っているほか、エンジョイプログラムとして、百人一首、将棋、体育、ダンスを行っており、それぞれ好評を博している。
自己資本比率80%以上で財務内容は良好
2. 財務状況と経営指標
2018年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比757百万円増加の21,474百万円となった。流動資産では現預金が同528百万円増加し、固定資産ではたまプラーザ新校舎完成等に伴い有形固定資産が189百万円増加した。
負債合計は前期末比525百万円減少の2,356百万円となった。未払法人税等が98百万円増加した一方で、有利子負債が651百万円減少した。また、純資産は配当金の支払い579百万円があったものの、当期純利益1,862百万円の計上により前期末比1,282百万円増加の19,118百万円となった。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の86.1%から89.0%に上昇し、有利子負債比率は7.3%から3.4%に低下するなど、財務基盤はさらに強化された格好となっている。なお、同社の財務状況を見ると固定資産比率が79.0%と高くなっているのが特徴となっている。これは、地域に根差した教育サービスを長期的に提供していくためには、自社物件で運営していく方が安定的かつ合理的であると判断しているためだ。このため、条件にかなう不動産物件があれば購入し、校舎を建設していく方針となっている。
なお、2018年9月期の設備投資額は690百万円となった。内訳は、当期に開校したスクールの内装工事費用で168百万円、移転建物の内装工事費用(汐入スクール)及び校舎の新築工事費用(たまプラーザスクール、2017年10月完成)で159百万円、土地取得(伊勢原)及び新築工事費用(藤沢駅南口、建築中、2019年2月完成予定)で285百万円となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2018年9月期の業績概要
ステップ<9795>の2018年9月期の業績は、売上高が前期比4.4%増の11,033百万円、営業利益が同3.7%増の2,680百万円、経常利益が同4.8%増の2,760百万円、当期純利益が同1.6%増の1,862百万円と連続で過去最高業績を更新し、ほぼ会社計画どおりの着地となった。
当事業年度中における新規開校は小中学部で5スクールとなり、3月に鷺沼(川崎市宮前区)、たまプラーザ(横浜市青葉区)、保土ケ谷(横浜市保土ケ谷区)、和田町(横浜市保土ケ谷区)の4スクール、建物工事の関係で4月に新百合ヶ丘(川崎市麻生区)を開校した。このうち、たまプラーザは既存校舎内にHi-STEPスクールを併設したもので、新百合ヶ丘は川崎市内でも有数の学習塾激戦区である。また、同社が戦略エリアとする川崎市や横浜市北東部に加えて、横浜市の中心地に位置する保土ケ谷区についても初めて進出した。この結果、スクール数は小中学生部門で128スクール、高校生部門で14校、個別指導部門で1校、学童部門で1校の合計144校となった。新たに開設した5スクールの生徒入会状況については、例年並みのペースで順調な立ち上がりを見せているようだ。
期中平均生徒数は、小中学生部門で前期比3.6%増、高校生部門で同2.8%増、全体で同3.4%増と増加傾向が続いた。売上高の内訳を見ると、小中学生部門で同4.5%増の8,979百万円、高校生部門で同4.0%増の2,053百万円とそれぞれ生徒数の増加率を上回ったが、学年構成比の変化や受講科目の増加が要因と見られる。部門別の営業利益率では今まで高校生部門が若干低かったが、教室当たり生徒数の増加により、小中学生部門とほぼ並ぶ水準となっている。
利益面の動きを見ると、売上高営業利益率は24.3%と前期比0.2ポイント低下した。売上原価率が69.2%と同0.2ポイント上昇したことが要因だが、内訳を見ると講師の増員による人件費増や、教室数の拡大及び増床等に伴うその他費用(水道光熱費、固定資産税等)の増加が主因となっている。一方、販管費率は6.5%と前期並みの水準となった。租税公課(事業税)が増加したものの、広告宣伝費やその他経費の抑制に努めたことによる。また、当期純利益の増益率が経常利益よりも低くなっているのは、前期に適用された所得拡大促進税制による税額控除が当期は適用除外となり、税金費用が増加したことが要因となっている。
また、2016年3月末からスタートした学童部門は、「安全・安心で楽しく有意義な放課後、知的な成長の場」をコンセプトに、「STEP」の教師や教師経験者を中心に運営されており、多彩で質の高いプログラムを提供していることも含めて生徒・保護者から高く評価されている。2018年春からは対象学年を小学4年生まで広げたこともあり、期中平均生徒数で前期比58名増の115名(小中学生部門の生徒数には含まず)に増加し、売上高で52百万円、営業利益で3百万円となり、初めて黒字を達成している。プログラムとしてはサイエンス、英会話、算数、ことば(国語)、はば広教養、プログラミングの6つのプログラムを行っているほか、エンジョイプログラムとして、百人一首、将棋、体育、ダンスを行っており、それぞれ好評を博している。
自己資本比率80%以上で財務内容は良好
2. 財務状況と経営指標
2018年9月期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比757百万円増加の21,474百万円となった。流動資産では現預金が同528百万円増加し、固定資産ではたまプラーザ新校舎完成等に伴い有形固定資産が189百万円増加した。
負債合計は前期末比525百万円減少の2,356百万円となった。未払法人税等が98百万円増加した一方で、有利子負債が651百万円減少した。また、純資産は配当金の支払い579百万円があったものの、当期純利益1,862百万円の計上により前期末比1,282百万円増加の19,118百万円となった。
経営指標を見ると、安全性を示す自己資本比率は前期末の86.1%から89.0%に上昇し、有利子負債比率は7.3%から3.4%に低下するなど、財務基盤はさらに強化された格好となっている。なお、同社の財務状況を見ると固定資産比率が79.0%と高くなっているのが特徴となっている。これは、地域に根差した教育サービスを長期的に提供していくためには、自社物件で運営していく方が安定的かつ合理的であると判断しているためだ。このため、条件にかなう不動産物件があれば購入し、校舎を建設していく方針となっている。
なお、2018年9月期の設備投資額は690百万円となった。内訳は、当期に開校したスクールの内装工事費用で168百万円、移転建物の内装工事費用(汐入スクール)及び校舎の新築工事費用(たまプラーザスクール、2017年10月完成)で159百万円、土地取得(伊勢原)及び新築工事費用(藤沢駅南口、建築中、2019年2月完成予定)で285百万円となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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