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テラ Research Memo(5):18年12月期第3四半期累計の営業損失は拡大

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2018年12月期第3四半期累計業績の概要
テラ<2191>の2018年12月期第3四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期比57.9%減の354万円、営業損失が579万円(前年同期は201百万円の損失)、経常損失が642百万円(同230百万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失が849百万円(同606百万円の損失)となった。

売上高の減少は、細胞医療事業において樹状細胞ワクチン療法の症例数が減少したこと、また、医療支援事業において子会社だったBMSを2017年9月に連結の範囲から除外したことが要因となっている。一方、利益面では細胞医療事業における減収や医薬品事業における治験費用の増加に加えて、一部の医療機関の延滞債権に対する貸倒引当金繰入額(販管費に計上)を計上したことが営業損失の拡大要因となった。なお、特別損失として、2018年12月期第3四半期では第三者調査委員会の調査報告に関する費用並びに追加の監査費用等で173百万円を計上している。

同社は2018年8月10日付で、「第三者割当による新株式、及び新株予約権の発行」(同年6月発表)に関する社内での意思決定過程の適切性に関する疑義、及び前代表取締役社長であった矢崎氏が保有する株式の売却手続きに関する法令違反及び社内規定違反等の疑義を含む同社のガバナンスに関する問題について、第三者委員会を設置して調査を行う旨を発表すると同時に、同新株予約権の取得及び消却を行うことを発表した。調査期間は2018年8月10日から9月10日までの1ヶ月間で、9月13日に調査報告書が開示されている(第三者委員会の調査報告書の全文は以下URLより見ることができる。URL:http://qq2q.biz/MoPe)。

調査の結果、矢崎氏の大量保有報告書の変更報告書提出遅延(金商法第27条の25第1項)や、株式売却に必要な社内手続きの不履行(内部者情報管理統括責任者への申請、取締役会・監査役会の事前許可の取得)等の違反があったと認定された。矢崎氏は本件の責任を取って代表取締役から取締役に降格した。また、調査の過程で同社の主要取引先である医療法人が同社の関連当事者に該当すると考えられ有価証券報告書にその旨を記載すべきとの指摘がなされた。

本件について、同社は特別調査費用として173百万円を第三四半期に計上しているが、調査報告書の内容や類似ケースとの比較において請求額が過大であると同社では考えており、今後、相手方に対して請求額の再精査を求めていく予定にしている。

なお、今回の一連の問題による同社事業への影響についてだが、契約医療機関から同問題を理由に契約を解除するとの話は出ておらず、また、樹状細胞ワクチン療法を希望する患者数についても、特段の影響は見受けられなかった。

2. 事業セグメント別動向
(1) 細胞医療事業
細胞医療事業の売上高は前年同期比48.9%減の217百万円、営業損失は421百万円(前年同期は23百万円の利益)となった。第3四半期累計の症例数が約300症例と前年同期の約550症例から大きく減少し、収益悪化の主因となった。症例数の落ち込みは、類似治療法との競争激化が主因と見られる。また、費用として一部の医療機関の延滞債権に対する貸倒引当金276百万円を計上したことも損失の拡大要因となった。同延滞債権に関しては2018年12月期末までに回収することを目標にしている。

(2) 医療支援事業
医療支援事業の売上高は前年同期比86.4%減の71百万円、営業損失は7百万円(前年同期は20百万円の損失)となった。売上高の減少はBMSの連結除外による影響が大きい。また、イメージングCRO(治験支援)事業を展開するタイタン及び遺伝子検査サービスを展開するオールジーンは若干の損失が発生している。当面は両子会社とも黒字化の定着を目標としている。

(3) 医薬品事業
医薬品事業では、細胞製品の輸送に関するコンサルティング基本契約に基づく治験製品の輸送体制の構築支援が完了しコンサルティング収入が得られたものの、治験製品の製造その他の開発活動を推進したことにより、営業損失は161百万円を計上している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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