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アドクリ Research Memo(6):新たな収益源としてASP事業、BPO事業を本格的に開始

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. ASP事業、BPO事業を開始
アドバンスクリエイト<8798>は2019年9月期に保険に関連する新たな事業としてASP事業、BPO事業を本格的に開始し、収益ポートフォリオの拡充を進めていく戦略となっている。

ASP事業では、salesforce.comのクラウドサービスを活用して自社開発した顧客管理システムの販売を2018年11月より開始した。販売ターゲットは、主に協業代理店となる。従来から協業代理店には顧客送客の際のデータ連携を行っていたが、顧客管理システムを提供することで、従来以上に保険業法や個人情報保護法等への対応、顧客情報の管理・共有などがスムーズに実現可能となる。また、各保険会社の手数料データの取込みと比較・分析できるだけでなく、営業行動履歴の分析機能もあり、顧客管理だけでなく営業の生産性向上も支援するツールとなっている。保険業界に特化した形で独自開発しているため使い勝手も良く、今後の需要拡大が期待される。自社で既に利用しているため、特段の追加費用も掛からないことから高い収益性が期待できる。売上規模としては年間で数億円程度のポテンシャルがあると見ている。なお、競合商品としてはNTTデータ<9613>の「WiseOffice®」やアイリックコーポレーション<7325>の「AS-Box」などがある。

また、BPO事業についても2019年春以降に開始する予定となっている。コールセンター業務で蓄積してきたノウハウを生かして、保険会社やクレジット会社から保全業務の受注を獲得していく。最近は人材不足がどの業界でも慢性化する状況にあるが、保険業界も同様で、アウトソーシングに対するニーズは旺盛だ。特に、保全業務の中でも保険料金の未払い対策は各社とも課題となっている。通常は電話やDMなどで契約者に通知するが、反応率が極めて低いためだ。こうした分野において、同社がプロモーション施策として活用しているSNSやSMSを使ったアプローチ手法を取入れ、費用対効果を向上させていくことになる。現在は契約社員の増員や育成を進めており、体制が整い次第スタートできる見込みだ。

両事業ともに収益貢献するまでには2〜3年程度かかると見られるが、新たな収益ポートフォリオとして同社の業績に貢献する可能性は高い。現在のビジネスモデルは保険代理店事業、メディア事業と再保険事業を組み合わせたダンベル型構造となっているが、新たにASP事業、BPO事業が加わることでツインカムエンジンとなり、収益成長を加速させる原動力になるものとして期待される。


ROE、売上高経常利益率で20%以上、自己資本比率80%以上を目標とする
4. 目標とする経営指標と事業戦略
同社は目標とする経営指標として、ROE20%以上、売上高経常利益率20%以上、自己資本比率80%以上を掲げている。2018年9月期実績ではROEが17.3%、売上高経常利益率が12.0%、自己資本比率が57.9%となっており、現状からさらに収益性並びに資本効率の向上を進めていく方針となっている。中期的な成長戦略としては、圧倒的な集客力を持つ保険選びサイト「保険市場」を基盤として保険代理店事業を着実に成長させ、再保険事業やメディア事業、さらには新規事業も含めて収益ポートフォリオの多様化を図りながら、収益基盤を一層強固なものとして成長を推進していく方針となっている。

(1) マーケティング戦略
保険代理店事業については、AI技術等を活用した新たなマーケティング手法の開発などを進めると同時に、「保険市場」の掲載情報の充実も図りながら集客力を強化し、資料請求・問い合わせ件数を増やしていくことで保険契約獲得の機会増大を図る。

顧客へのアプローチでは、電話がつながりにくくなるなかで、チャットやSMSなど非音声によるアプローチを強化していく。また「保険市場」への集客施策としては、検索エンジンによる集客手法から脱却しLINEやFacebook等のSNSを活用しており、その効果が顕在化している。さらには、顧客サービスの向上施策としてアプリの拡充にも取組んでおり、既にアプリ版「保険市場」や保険証券管理用アプリ「folder」をリリースしている。今後はこれら機能の拡充を図るほか、アプリやWebサイトを通して収集したビッグデータとAI技術を組み合わせることで、更なる先進的なマーケティング手法の開発に取組んでいく方針となっている。

対面販売については現在の12店舗(直営店)体制を維持し、手狭となった店舗では増床を検討していく。また、顧客ターゲットとしては金融リテラシーの高いアッパーミドル層が中心で、生命保険の単一商品販売から顧客のすべての保険商品を取扱う資産管理型営業にシフトしていく方針であることに変わりない。

(2) 投資戦略
投資戦略としては、従来と変わらずIT・システム投資と人材投資を強化していく方針となっている。IT・システム投資では、「保険市場」の利便性向上につながる投資を継続的に実施しており、RPAツールの導入による生産性向上にも取組んでいる。AIと人材の相乗効果により、より高い次元でのセキュリティと環境変化へのフレキシブルな対応が実現できると見ている。

一方、人材投資では、コールセンター部門の体制強化に加えて、システムエンジニアを中心にグローバル人材の採用にも取組んでいく。海外の先進的な技術の収集を目的に、2019年にはシンガポールに1名を常駐で派遣する。保険業界のイノベーターとして最先端のITシステムを開発し、業界をけん引していく考えだ。そのほか、福利厚生制度の充実にも取組んでいく。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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