カナミックN Research Memo(3):情報共有システムと業務システムをクラウドで実現(1)
[18/12/14]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■カナミックネットワーク<3939>の事業概要
1. 事業環境
日本の人口ピラミッドにおいて2025年は大きな節目の年であり、“2025年問題”とまで言われる。団塊の世代が75歳を超え、2010年に全人口の11%だった75歳以上人口は、2025年に18%に達する。統計では75歳以上になると、要介護認定を受ける人の比率は23.3%に上り、65歳以上75歳未満の3%から大きく跳ね上がる。このような変化を反映して、国の社会保障費の中の介護費は2010年に7.8兆円であったものが、2025年には20兆円になることが推計されている。介護事業所も約27万事業所(2010年)から約70万事業所(2025年)に、在宅医療を行う医療機関も約1.25万(2010年)から約2.2万(2025年)にそれぞれ増えることが予想されている。同社の提供するシステムのユーザーは医療・介護従事者であり、その人数も今後大きく増加することが想定される。
地域包括ケアは厚生労働省が提唱・推進する重要施策であり、2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みの構築を目指すものである。「在宅医療・介護連携」の取り組みの主体は市区町村であり、介護保険法の中で制度化されており、2018年4月にはすべての市区町村で取り組みが開始された。
2018年度の介護報酬改定は、同社にとっても追い風となる改定となった。
(1) 改定率は+0.54%(プラス改定)
(2) 「地域包括ケアシステムの推進」が1番目のポイントとして取り上げられ、医療・介護の役割分担と連携の一層の促進などが挙げられた
(3) 「介護ロボットの活用の促進」、「ICTを活用したリハビリテーション会議への参加」の規制緩和があった
地域包括ケアの推進には課題がある。その1つは「医療と介護の連携」である。75歳以上の高齢者になると複数の病気や症状を抱えている人が多く、1人の高齢者が複数の病院やクリニック、複数の介護サービスを利用する場合も多い。例えば、高齢者に日常的に接する機会の多い介護者が病状の変化を気付いた場合に、関係する医療従事者にタイムリーにその情報が伝わっていない、その手段が整備されていないのが現状である。同社のクラウドシステムはこの地域包括ケアの課題を解決する有力なソリューションとして位置付けられる。
2. クラウドサービス:概要
同社のカナミッククラウドサービスの主要なモジュールは、「情報共有プラットフォーム(2階層)」と「介護業務管理システム(1階層)」の2つである。
「情報共有プラットフォーム(2階層)」の導入対象顧客は自治体、医師会、中核病院、在宅医などであり、それら顧客の所属する地域全域で導入される。システム画面は患者ごとに作成されており、患者のプロファイル(基本情報やケアプランなど)や日々のデータ(バイタル情報、食事、水分、排泄、薬剤情報、ケア実施状況など)が統合的に管理される。このページには患者を担当している関係者のみが入ることができ、クローズド型のSNS機能を持つ。1人の患者に関連する様々な主体(主治医、在宅主治医、ケアマネジャー、ヘルパー、地域包括支援センター、家族、薬剤師、訪問看護師)が連携する重要な情報インフラとなっている。
「介護業務管理システム(1階層)」は、「情報共有プラットフォーム(2階層)」と連携したシステムであり、介護に関わる法人や事業所(地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護サービス事業者)が導入する。クラウドの特性を生かし、スマートフォンやタブレット端末で操作が行えるため、介護の現場で利用することができ、介護現場のペーパーレス化や業務の効率化が可能になり、多職種連携の課題である2重入力等の負担軽減も特長である。サービスラインの1つである「在宅介護サービス管理システム」では、訪問介護計画書、介護記録、モニタリング、シフト管理、介護保険請求、給与管理、債権管理など業務が一気通貫でシステム化されている。他社ソフトが注力するのが個別業務(帳票作成、レセプト管理)などであるのに対して、同社システムは営業管理(SFA)から勤怠・給与管理、経営分析までカバー範囲が広く、経営の見える化に主眼が置かれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>
1. 事業環境
日本の人口ピラミッドにおいて2025年は大きな節目の年であり、“2025年問題”とまで言われる。団塊の世代が75歳を超え、2010年に全人口の11%だった75歳以上人口は、2025年に18%に達する。統計では75歳以上になると、要介護認定を受ける人の比率は23.3%に上り、65歳以上75歳未満の3%から大きく跳ね上がる。このような変化を反映して、国の社会保障費の中の介護費は2010年に7.8兆円であったものが、2025年には20兆円になることが推計されている。介護事業所も約27万事業所(2010年)から約70万事業所(2025年)に、在宅医療を行う医療機関も約1.25万(2010年)から約2.2万(2025年)にそれぞれ増えることが予想されている。同社の提供するシステムのユーザーは医療・介護従事者であり、その人数も今後大きく増加することが想定される。
地域包括ケアは厚生労働省が提唱・推進する重要施策であり、2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みの構築を目指すものである。「在宅医療・介護連携」の取り組みの主体は市区町村であり、介護保険法の中で制度化されており、2018年4月にはすべての市区町村で取り組みが開始された。
2018年度の介護報酬改定は、同社にとっても追い風となる改定となった。
(1) 改定率は+0.54%(プラス改定)
(2) 「地域包括ケアシステムの推進」が1番目のポイントとして取り上げられ、医療・介護の役割分担と連携の一層の促進などが挙げられた
(3) 「介護ロボットの活用の促進」、「ICTを活用したリハビリテーション会議への参加」の規制緩和があった
地域包括ケアの推進には課題がある。その1つは「医療と介護の連携」である。75歳以上の高齢者になると複数の病気や症状を抱えている人が多く、1人の高齢者が複数の病院やクリニック、複数の介護サービスを利用する場合も多い。例えば、高齢者に日常的に接する機会の多い介護者が病状の変化を気付いた場合に、関係する医療従事者にタイムリーにその情報が伝わっていない、その手段が整備されていないのが現状である。同社のクラウドシステムはこの地域包括ケアの課題を解決する有力なソリューションとして位置付けられる。
2. クラウドサービス:概要
同社のカナミッククラウドサービスの主要なモジュールは、「情報共有プラットフォーム(2階層)」と「介護業務管理システム(1階層)」の2つである。
「情報共有プラットフォーム(2階層)」の導入対象顧客は自治体、医師会、中核病院、在宅医などであり、それら顧客の所属する地域全域で導入される。システム画面は患者ごとに作成されており、患者のプロファイル(基本情報やケアプランなど)や日々のデータ(バイタル情報、食事、水分、排泄、薬剤情報、ケア実施状況など)が統合的に管理される。このページには患者を担当している関係者のみが入ることができ、クローズド型のSNS機能を持つ。1人の患者に関連する様々な主体(主治医、在宅主治医、ケアマネジャー、ヘルパー、地域包括支援センター、家族、薬剤師、訪問看護師)が連携する重要な情報インフラとなっている。
「介護業務管理システム(1階層)」は、「情報共有プラットフォーム(2階層)」と連携したシステムであり、介護に関わる法人や事業所(地域包括支援センター、ケアマネジャー、介護サービス事業者)が導入する。クラウドの特性を生かし、スマートフォンやタブレット端末で操作が行えるため、介護の現場で利用することができ、介護現場のペーパーレス化や業務の効率化が可能になり、多職種連携の課題である2重入力等の負担軽減も特長である。サービスラインの1つである「在宅介護サービス管理システム」では、訪問介護計画書、介護記録、モニタリング、シフト管理、介護保険請求、給与管理、債権管理など業務が一気通貫でシステム化されている。他社ソフトが注力するのが個別業務(帳票作成、レセプト管理)などであるのに対して、同社システムは営業管理(SFA)から勤怠・給与管理、経営分析までカバー範囲が広く、経営の見える化に主眼が置かれている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<HN>