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カナミックN Research Memo(4):情報共有システムと業務システムをクラウドで実現(2)

注目トピックス 日本株
■事業概要

3. クラウドサービス:導入ステップとユーザーの進化
カナミックネットワーク<3939>のクラウドサービスには典型的な導入のステップがある。

ステップ1
まだ地域に情報共有システムがない状態。各介護事業者は介護ソフトを導入したがレセプト業務が中心であり、横の連携のために郵送やFAXを利用している。

ステップ2
地域全体の情報共有に同社のクラウドサービス(2階層)を導入した状態。情報共有は円滑になるが、現場の業務では紙の運用が残っている。

ステップ3
地域の情報共有システムに加え、主要な介護事業者に同社のクラウド業務システム(1階層)が導入された状態。介護現場の事務業務が効率化されてペーパーレス化が進む。

2階層と1階層がそろうと、入力情報が途切れることがなく、タイムリーに伝えられ、介護現場の負担が軽減されるというメリットがある。

4. クラウドサービス:ビジネスモデル
同社のカナミッククラウドサービスは、1階層の「介護業務管理システム」、2階層の「情報共有プラットフォーム」が相互に連携して地域内での医療・介護連携を支援している。基本戦略としては、無料で、2階層の「情報共有プラットフォーム」を使って連携の有効性を体験してもらい、1階層の「介護業務管理システム」に誘導するという、いわゆる“フリーミアム※”ビジネスモデルである。2011年には、特許「介護支援システム及び介護支援プログラム(特許番号4658225号)」を取得しており、この仕組みの独創性は折り紙付きだ。

※基本的なサービスや製品は無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金する仕組み。


また、クラウドサービスの特徴は、売上げが積み上がるストック型ビジネスモデルである点だ。初期の開発投資は大きいが、ユーザーが増えて損益分岐点以上の売上げに達すると高い利益率を享受できる。リピート率が高く、ユーザーごとのカスタマイズが少ないためである。一度使い始めるとデータが蓄積されるに伴い、有効性も向上するため、離脱が少ないのも特徴だ。同社は既に損益分岐点を超えており、強固な収益構造を持っている。

5. クラウドサービス:主要経営指標
同社のクラウドサービスは急速に普及している。情報共有システム導入地域は2018年9月期末で761地域(前期末から145地域増)となった。また、クラウドサービスのユーザーID数は、有料・無料を合わせて88,811(前期末から17,944増)となり、特に無料ユーザーの伸びが大きい。結果として、クラウドサービス売上高は、2018年9月期で1,299百万円(前期比188百万円増)と順調に成長している。

6. 基本戦略:プラットフォーム化
同社の基本戦略は、クラウドベンダーからプラットフォーマーに進化することである。プラットフォーム化構想には、AIやIoT等を含むシステム連携、FinTechとの連携、シェアリングエコノミーとの連携が描かれている。カナミックユーザーにとっては、基本のクラウドサービスに連動・追加して利用することで利便性が向上する。

AI・IoTなどのシステム連携の具体例としては、「ケアプランシステム×AI」、「遠隔医療×IoT」などが研究開発中、「多言語化」、「業務基幹システム」は既に具現化されている。FinTech連携の具体例としては「電子マネー・仮想通貨等」、「ファクタリング」、「各種決済」、「Tポイント等」が挙げられており、Tポイントは既に導入済である。シェアリングエコノミー連携では、「スタッフ人材」、「介護施設」、「介護用品・車両」などが対象となる。人不足が深刻な介護業界において、人の偏在を解消するマッチング機能が求められており、(株)キャリアと連携して介護人材のマッチングを開始している。また介護ベッドのシェアリングにも着手しており、情報量の拡大によるサービスレベルの向上が期待される。プラットフォーム化は単なる構想ではなく、着実にユーザーの実利につながる方向に進化している。

7. コンテンツサービスの概要
インターネット広告市場は2017年に1兆5,094億円に達し、前年比15.2%で成長している。同社のコンテンツサービスは医療・介護専門職向けに特化したインターネット広告配信サービスである(患者やその家族も利用可能)。出稿する企業にとっては、対象が明確であるために効果が見えやすく、地域も絞りやすい。インターネット広告のほか、ユーザー会参加、Webアンケート、サンプル試供品配布などのサービスメニューもある。メディアとしての価値は広告を視聴するクラウドサービスのユーザーID数(無料ユーザー+有料ユーザー)に比例する。ユーザーID数は88,811(前期末比17,944増)と増加しており、これに伴って出稿社数及びインプレッション(広告掲載回数)も増加している。広告主の業種が広がり、使われ方も多様化する傾向にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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