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スターティアH Research Memo(3):デジタルマーケティング関連事業でAR作成ソフトCOCOARが収益の柱に

注目トピックス 日本株
■スターティアホールディングス<3393>の業績の動向

2. 各事業セグメントの動向
(1) デジタルマーケティング関連事業
デジタルマーケティング関連事業は、売上高973百万円(前年同期比12.1%増)、営業利益54百万円(同67.0%増)となった。

同セグメントの運営体制は従来から変更はなく、スターティアラボ(株)を事業主体とし、企業のマーケティング活動を支援する各種ソフトウェアの開発・製造・販売やWeb制作・支援サービスなどを行っている。多数の商材がある中で売上高構成が高いのは順に「CMS Blue Monkey」、「COCOAR」、「ActiBook」となっている。また、2019年3月期第2四半期の増収への貢献度は、「CMS Blue Monkey」と「COCOAR」の2商品の度合いが高かった。

COCOARはAR(Augmented Realtyの略、拡張現実のこと)作成ソフトで、企業の販促活動で使われる機会が加速している状況だ。これまで約1,700社で導入され、アプリダウンロード数は200万件を超えている。

CMS Blue MonkeyはWeb制作支援やコンテンツマネジメントのためのソフトウェアであるが、2019年3月期第2四半期はWebサイトのすべてのページをSSL/TLS化するためにSSL対応プランへのプランアップが好調に推移し増収に寄与した。

(2) ITインフラ関連事業
ITインフラ関連事業は、売上高4,565百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益208百万円(同14.9%減)と増収減益となった。

同セグメントは同社本体が行っていたが持株会社体制に移行した際に、新たに事業会社としてスターティア(株)を設立し、そこに事業を移管した。事業の内容は文字どおり中小企業のITインフラを支える各種商材の販売で、MFP(マルチファンクションプリンター)、ネットワーク機器、光コラボレーション回線(光コラボ、“スターティア光”ブランドで販売中)契約などが売上構成比の上位を占めている。MFPやスターティア光は典型的なストック型ビジネスモデルであり、収益貢献度も大きい。

2019年3月期第2四半期は売上高についてはネットワーク機器の販売においてスポットの大型案件の受注が入ったことや、セキュリティ機器への需要が安定的かつ継続的に拡大したことなどの要因から増収となった。利益については、持株会社制への移行に伴い経営指導料の支払いによって減益となった。しかし実態的には増益ベースで推移したとみられる。

(3) ビジネスアプリケーション関連事業
ビジネスアプリケーション関連事業は、売上高146百万円(前年同期比5.1%増)、営業損失58百万円(前年同期は20百万円の損失)となった。

同セグメントは、ITインフラ関連事業からSaas型オンラインストレージサービスの「セキュアSAMBA」を切り離して形成したクラウドストレージ事業と、新設のRPA事業から成っている。事業主体は持株会社移行に伴い新設したスターティアレイズ(株)だ。

セキュアSAMBA事業は従来から顧客基盤を確立して収益に貢献してきた。企業のBCP(事業継続計画)対応の観点で契約を伸ばしたほか、近年では働き方改革の観点からのニーズが増加している。

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーションの略)事業では他社のRPAソフトの代理店業務を行っている。RPAは人不足感が強まるなか、非常に多くの注目を集めている分野だ。しかしながら、展示会やセミナーにおいては多数の人が集まるが、まだターゲットとする中小企業への実際の導入にはなかなか進まない状況にある。現場のニーズとRPAが提供するサービスとの隔たりが大きいことが背景にあるようだ。

(4) CVC関連事業
CVC関連事業は、売上高0百万円、営業損失2百万円(前年同期は12百万円の損失)となった。

CVC関連事業は持株会社制移行に伴い同社本体のコーポレートベンチャーキャピタル事業推進室から海外事業を統括するStartia Asia Pte. Ltd.に事業管掌が異動した。同社本体も国内案件を中心にCVC事業に関わる可能性はあるが、基本的にはStartia Asia Pte. Ltd.が主導してアジア地域での案件発掘が活動の中心形態となる。

2019年3月期第2四半期はOSAM Cloud Innovator Pte. Ltd.(本社シンガポール)への投資を意思決定し、一部を実行した。この事業における投資回収は配当金やエグジット(株式上場時に保有株式を売り出すケースが典型的)によって行われ、それらが売上高に立つことになる。ただ、そこに至るには相当に時間を要し、当面は投資先行のステージが続く見通しだ。

(5) 海外関連事業
海外関連事業は、売上高63百万円(前年同期比34.9%増)、営業損失38百万円(前年同期は15百万円の利益)となった。

同社は持株会社の直下にStartia Asia Pte. Ltd.を設立し、従来から海外で事業を展開していた上海スターティア、西安スターティアソフト、上海巨現智能科技を統括する体制としている(台湾スターティアはスターティアラボの子会社)。

現状、海外関連事業の中心は上海スターティアが提供する日中間の高速インターネット通信サービス「Global Gateway」の事業だ。これは中国在住日系企業及び個人向けのサービスで、通信のクオリティが評価され徐々に契約社数が伸びているもようだ。2019年3月期第2四半期は中国通信キャリアと提携し、中国国内におけるSIM販売を開始した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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