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スターティアH Research Memo(5):時代のニーズに合った商材と柔軟な課金・販売方法で売上を拡大

注目トピックス 日本株
■持株会社体制移行後の中長期の成長戦略

3. デジタルマーケティング関連事業の成長戦略
デジタルマーケティング関連事業は“顧客の売上拡大につながるサービスの提供”を事業ドメインとしており、具体的には、企業のマーケティング活動を支援する様々なソフトウェアを提供している。

この事業では顧客層がそれまでのアーリーアダプタ層(新製品に対して導入意欲の強い層)からマジョリティ層(新製品に対する導入意欲が平均的)へと切り替わる過程で販売が伸び悩み、2016年3月期から業績の低迷期に入った。しかし、複数のソフトウェアをグルーピングし、1つのパッケージとしてクラウドで提供するサービスやフリーミアムと呼ばれる販売手法を導入したことや、スターティアホールディングス<3393>の先進的なソフトウェアと時代のニーズがマッチしたことによる需要拡大などがあり、業績は底打ち反転期に入った状況にある。

こうした事業環境改善を受けて同社は、一気に販売の拡大を図る計画だ。前述のように同社はマーケティングツールとしてのソフトウェアのラインアップ(品ぞろえ)は充実している。販売手法としても複数のソフトのまとめ売りと個々のソフトウェアごとの提供の両方の対応できるほか、料金メニューでもヘビーユーザーからライトユーザーまでの多彩なニーズに対応可能となっている。

こうした強みを生かして今後は、1)既存サービスの付加価値化、2)新サービスの創出、3)様々な業種にアプローチ、といった視点から市場を開拓・攻略し、収益の拡大につなげる方針だ。


競争が激しいなか、2万社を超える中小・中堅企業顧客の存在を生かして活路を開く戦略で臨む
4. ビジネスアプリケーション関連事業の成長戦略
ビジネスアプリケーション関連事業は顧客の生産性アップに貢献するサービスを提供する点に本質的価値がある。前述のデジタルマーケティング関連事業と並んで、同社のIT事業領域において、次代の収益の柱となることが期待されている事業でもある。

ビジネスアプリケーション関連事業の成長戦略においては、働き方改革やテレワークといった社会の変化が同社のサービスの需要拡大に追い風として働くことが期待される。

同社は現在、当該事業においてクラウドストレージ事業とRPA関連事業の2つを展開している。同社では、2019年のクラウドストレージ市場の規模を約750億円と予測しており、同じくRPA関連ツール及びソリューション市場の規模を約900億円と予測している。この領域はどちらも、注目が高いことの裏返しとして厳しい競争環境にある。この市場で同社は、20,000社を超える中小・中堅企業を顧客に持つ強みを生かして、導入支援コンサルティングなどの付加価値の高いサービスを提供することで、市場内でのポジションの確立を目指す方針だ。また、それをサポートする縦横なツールとして新機能・新サービスの創出には積極的に投資していく方針だ。


上海スターティアの「Global Gateway」が当面の成長のけん引役に
5. 海外関連事業・CVC関連事業の成長戦略
持株会社体制への移行に伴い、新設されたStartia Asia Pte. Ltd.が海外関連事業とCVC関連事業を管掌することになった。Startia Asia Pte. Ltd.は言わば中間持株会社であり、個々の事業はそれぞれの事業会社の成長戦略によることになる。

Startia Asia Pte. Ltd.の傘下には3つの子会社があるが、当面の成長のけん引役は上海スターティアになるとみられる。上海スターティアは日中間の高速回線サービス「Global Gateway(GG)」のサービスを運営している。顧客は中国に拠点を持つ日本企業や個人だ。上海スターティアが中国の大手キャリアと提携して回線を確保し、顧客に対して通常よりも最大で10倍※の高速インターネットサービスを提供している。2019年3月期第2四半期には中国通信キャリアと提携し、中国国内におけるSIM販売を開始した。今後は「クラウド構築運用支援業務」も含めたこれらサービスの連携に取り組んでいく方針だ。

※顧客オフィスで0.4Mbpsから5.0Mbpsに改善したことを確認。


上海巨現知能科技は、スターティアラボが40%、西安スターティアソフトが20%、及び上海の印刷会社4社が10%ずつ出資して2017年6月に設立した企業だ。事業目的はAR作成ソフトのCOCOARを中国市場で販売することだ。事業としてはまだ赤字で、商慣習や現地の従業員のマネジメントの問題などで拡販に苦戦しているもようだが、COCOARの商品性の高さは中国でも評価されている。

Startia AsiaはCVC事業でも中心的役割を担うことが期待されている。Startia Asiaの活動拠点であるシンガポールのほうがベンチャー投資に関する情報が集まりやすいということが背景にある。同社のCVC事業は日本に限定しているわけではなく、経済成長のスピードが速い東南アジア地域に軸足を置くことでビジネスシーズ(種)の取り込みを狙う方針だ。前述のように、2019年3月期第2四半期にはOSAM Cloud Innovator Pte. Ltd.への出資を意思決定した。これに続く投資案件の出現が待たれるところだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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