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藤商事 Research Memo(3):上半期は減収減益だが、計画比では順調に推移

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2019年3月期第2四半期累計業績の概要
藤商事<6257>の2019年3月期第2四半期累計の連結業績は、売上高が前年同期の単独業績との比較で57.0%減の12,709百万円、営業利益が同82.3%減の737百万円、経常利益が同79.3%減の880百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同91.4%減の232百万円となった。当第2四半期累計期間ではパチンコ機で新機種4機種(うち、新規則機が3機種)を投入したほか、パチスロ機も旧規則機3機種を投入したものの、前年同期はパチンコ・パチスロ機で同社の主力タイトルである「リング」シリーズを投入したことで販売台数が伸びた反面、当期は遊技機業界における規則改正の影響でホールにおけるリプレース需要が全体的に低調だった影響を受け、パチンコ機の販売台数は前年同期比49.7%減の25.3千台、パチスロ機は同37.7%減の12.7千台にとどまったことが減収減益要因となった。ただ、会社計画比では売上高・営業利益ともに順調に推移している。

売上高の内訳を見ると、パチンコ機が前年同期の単独業績との比較で61.3%減、パチスロ機が同47.0%減となっており、平均販売単価で見るとパチンコ機が同23.1%減、パチスロ機が同14.8%減とそれぞれ低下した。これは「エコ割」※仕様の販売比率が上昇したことによる。パチンコ機では2017年6月に投入した「CRリング 終焉ノ刻」以降の機種で新本体枠を採用しているが、同機種のリプレースの際には本体枠の交換が不要で、パネルとサイドユニットのみの交換となるため販売単価も低くなる。ホール側から見れば新台入替費用の抑制につながるメリットがある。同様にパチスロ機についても2017年5月に投入した「パチスロ リング 終焉ノ刻」から分離筐体システムを採用している。回胴部ユニットと下パネルを交換するだけで継続使用を可能としたもので、同システムを採用した機種のリプレースにより販売単価が低下した。

※パチンコホールに新台として販売した遊技機を回収し、リユース部品などを活用して、異なるスペック機種として再生し、低価格で再販売するシステム。


ただ、こうした「エコ割」を活用した新台は部材費率が従来機種よりも低くなるため、売上総利益率は高くなる。実際、当第2四半期累計の売上総利益率は前年同期の46.3%から53.2%に大きく上昇した。一方、販管費率は前年同期の32.7%から47.4%に上昇した。売上減に伴い人件費などの固定費率が上昇したことが要因だ。項目別で見ると、研究開発費が新機種の開発ずれ込みもあって前年同期比49.3%減と大きく減少したほか、販売手数料が同56.6%減、広告宣伝費が同11.3%減、その他が同13.6%減とそれぞれ減少した。


パチンコ機で4機種、パチスロ機で3機種を投入
2. パチンコ機・パチスロ機の販売動向
パチンコ機の販売状況は、台数ベースで前年同期比49.7%減の25.3千台、金額ベースで同61.3%減の8,134百万円となった。新機種の投入は前年同期の3機種から4機種に増加したものの、前年同期は人気シリーズの「CRリング 終焉ノ刻」の投入があったこと、当第2四半期累計期間では4機種中、3機種が主に9月に入ってからの発売だったことなどが影響した。機種別の販売台数では、旧規則機の「CRリング 呪縛RUSH」(2018年7月発売)が16.3千台と計画どおりの販売を達成したほか、新規則機となる「PA地獄少女 宵伽(よいのとぎ)設定付」(同年8月発売)が5.9千台、「PA FAIRY TAIL 設定付」(同年9月発売)が2.9千台、「PA喰霊 -零- 葵上〜あおいのうえ〜 設定付」(同)が若干台数となった。

同社では新規則機の投入戦略として、まずはホールがリプレースしやすい甘デジタイプから投入し、一定の実績を作った上でメイン機種を投入していく方針とし、8月から9月にかけて2週間おきに続けて3機種の投入を行った。稼働状況については従来と変わりなく通常ペースで推移しているようで、ホール側でも専用コーナーを作るなどシェア拡大に向けた足掛かりを作ったと言える。

一方、パチスロ機は販売台数で前年同期比37.7%減の12.7千台、売上高で同47.0%減の4,523百万円となった。新機種の投入が前年同期の4機種から3機種(旧規則機のみ)に減少したことや、前年同期は「パチスロ リング 終焉ノ刻」や「パチスロ 地獄少女 宵伽(よいのとぎ)」などのホラー系機種の投入により販売が高水準だったことも減少要因となっている。機種別の販売台数では、「パチスロ FAIRY TAIL」(2018年4月発売)が7千台、「パチスロ 貞子 vs 伽椰子」(同年5月発売)が1.7千台、「パチスロ 美(チュ)ラメキ!」(同年6月発売)が4千台となった。「パチスロ 貞子 vs 伽椰子」は販売台数が伸び悩んだものの、その他機種は順調な販売実績となり、パチスロ機においてのブランド力向上につながった。


無借金経営で手元キャッシュは200億円を超え、財務の健全性は高い
3. 財務状況と経営指標
2019年3月期第2四半期末の総資産は前期末比6,835百万円減少の53,395百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現預金・有価証券が4,647百万円、売上債権が3,249百万円、棚卸資産が594百万円それぞれ減少した。また、固定資産では有形固定資産が330百万円、その他固定資産が311百万円減少している。

負債合計は前期末比5,221百万円減少の7,749百万円となった。流動負債で仕入債務が2,557百万円、その他流動負債で2,683百万円減少したのが主因となっている。また、純資産は前期末比1,613百万円減少の45,645百万円となった。親会社株主に帰属する四半期純利益232百万円を計上したものの、配当金支出585百万円、および自己株式取得による支出1,167百万円が減少要因となった。

財務指標を見ると、自己資本比率は前期末の78.5%から85.5%に上昇した。自己資本は減少したものの、それを上回る規模で負債額が減少したためだ。また、流動比率も前期末の361%から572%と大きく上昇している。有価証券も含めた手元キャッシュは23,237百万円と潤沢で無借金経営を継続していることから、財務の健全性は極めて高いと判断される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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