藤商事 Research Memo(5):開発力および利益体質の強化に取り組み、販売シェアを拡大することで成長を目指す
[18/12/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. 成長戦略
藤商事<6257>は今後の成長戦略として、開発力および利益体質の強化を重点施策として継続的に取り組み、業界全体が伸びないなかでも、販売シェアを拡大していくことにより収益成長を目指していく方針としている。
(1) 開発力の強化
開発力の強化では、投入機種の長期稼働の実現、パチンコ・パチスロ機のタイアップ戦略、斬新な演出やアイデアなどの積極採用、差別化された商品性の実現をテーマに、今までになかったものづくりに取り組んでいる。また、パチンコ・パチスロ機のタイアップ戦略も、「リング」や「地獄少女」などパチンコ機で高評価を獲得したタイトルでパチスロ機の市場投入を図り、パチスロ機市場でのブランド力を着実に高めている。このため、同社は今後も有力タイトルでのタイアップ戦略を継続していくものと予想される。
また、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用については従来から同社の得意とするところであったが、今回の規則改正により射幸性が一段と抑えられるなかで、今後は演出力などによっていかに楽しめる機種を開発できるかが差別化要因となってくる。パチンコ機での大当たり確率の設定機能を生かしたゲーム性や独創的な役物、サイドユニットなどを使った娯楽性の高い機種を開発し市場投入していくことで、顧客支持を集め、販売シェアを拡大していく戦略だ。
(2) 利益体質の強化
利益体質の強化では、損益分岐点台数の低減を目標に、開発から製造、営業までのすべての工程においてコスト低減に取り組んでいる。開発工程では内製化率の向上や、開発プロセスの効率化、仕様の見直しを行うことで1機種当たりの開発コスト削減を目指している。具体的には、リユース部品の活用や金型の共通化による設計段階からのパネル原価低減のほか、映像コンテンツの制作コスト低減などにも取り組んでおり、改善余地はまだ残されていると見られる。
部材調達では、発注数量の最適化や新規リユース部品の採用、複数回リユース部品の拡充、リユース対象機種の拡充と調達力の強化に取り組んでいる。特に、ホールからのリユース対象機種の回収率向上や、調達ルートの見直しによるコスト低減余地はまだ残っていると見られ、材料費率では現状からさらに引き下げることが可能と見ている。
製造面では2017年夏からパチスロ機専用の新工場が稼働しており、新生産ラインによる生産効率向上が見込まれる。同工場では部材の自動搬入システムを導入するなど生産ラインのオートメーション化を進めており、人員を増やさずに生産能力を従来の日産400台から1,500台と3倍以上に拡大することが可能なほか、急激な受注変動にも対応できる体制を構築している。現状はまだ生産量が少ないため、新工場稼働による効果は顕在化していないものの、パチスロ機の生産台数が今後拡大してくれば利益率の向上に貢献するものと予想される。
同社ではこれらの取り組みにより、売上総利益率を50%程度まで引き上げていくことが可能と見ている。実際、2019年3月期の上期においては50%を超える売上総利益率を達成している。今後、販売シェアの拡大を前提とすれば本体販売の販売も一定の割合で推移するため、その比率次第で売上総利益率は変動すると予想されるが、50%程度が適正な利益率の水準と弊社では見ている。
販売シェアについては、パチンコ機で10%程度を当面の目標としている。一方、パチスロ機に関しては稼働力を備えた機種を投入し、1機種当たりの販売台数を増やしていくことでブランド力を向上させ、販売シェアを着実に伸ばしていく戦略となっている。また、ここ数年はパチンコ機で7〜8機種、パチスロ機で2機種前後を投入しているが、2020年3月期はパチンコ機に関してはやや慎重に投入機種数を想定している模様。これは、旧規則機のホールでの設置期限が2021年1月末までとされており、ホール側の新規則機への移行ペースが緩やかにとどまりそうなこと、また、同社においては旧規則機で販売可能な機種が残っていないことなどが要因と見られる。このため、同社の戦略としては甘デジタイプの新規則機で実績を積み重ね、シェア拡大の足掛かりとする戦略となっている。
(3) デジタルコンテンツ事業について
同社は新たな収益源の創出に向けて、スマートフォン用ゲームアプリの市場に参入し、育成に取り組んできた。2016年3月に美少女系の本格対戦RPG「マギアコネクト」、同年7月に麻雀バトルゲーム「アドヴェントガール」をテストマーケティングも兼ねて配信し、2018年3月に完全オリジナルとなるファンタジーRPG「23/7トゥエンティ スリー セブン」の配信を開始、メディアミックスによる広告展開も図りながら収益化を目指してきた。しかし、想定よりもユーザー数が伸びなかったことから2018年12月に配信サービスを終了する予定であることを発表している。
今後については2020年3月期以降にリリース予定の新タイトルについてはゲーム制作チームを新たに組織化し、著名なゲームクリエイターなども起用するなど外部リソースを活用して開発していく予定にしている。内容はまだ明らかにされていないが、新たな世界観を持たせた独創性の高いゲームになる見通しで、今後の開発動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長戦略
藤商事<6257>は今後の成長戦略として、開発力および利益体質の強化を重点施策として継続的に取り組み、業界全体が伸びないなかでも、販売シェアを拡大していくことにより収益成長を目指していく方針としている。
(1) 開発力の強化
開発力の強化では、投入機種の長期稼働の実現、パチンコ・パチスロ機のタイアップ戦略、斬新な演出やアイデアなどの積極採用、差別化された商品性の実現をテーマに、今までになかったものづくりに取り組んでいる。また、パチンコ・パチスロ機のタイアップ戦略も、「リング」や「地獄少女」などパチンコ機で高評価を獲得したタイトルでパチスロ機の市場投入を図り、パチスロ機市場でのブランド力を着実に高めている。このため、同社は今後も有力タイトルでのタイアップ戦略を継続していくものと予想される。
また、斬新な演出やアイデアなどの積極的な採用については従来から同社の得意とするところであったが、今回の規則改正により射幸性が一段と抑えられるなかで、今後は演出力などによっていかに楽しめる機種を開発できるかが差別化要因となってくる。パチンコ機での大当たり確率の設定機能を生かしたゲーム性や独創的な役物、サイドユニットなどを使った娯楽性の高い機種を開発し市場投入していくことで、顧客支持を集め、販売シェアを拡大していく戦略だ。
(2) 利益体質の強化
利益体質の強化では、損益分岐点台数の低減を目標に、開発から製造、営業までのすべての工程においてコスト低減に取り組んでいる。開発工程では内製化率の向上や、開発プロセスの効率化、仕様の見直しを行うことで1機種当たりの開発コスト削減を目指している。具体的には、リユース部品の活用や金型の共通化による設計段階からのパネル原価低減のほか、映像コンテンツの制作コスト低減などにも取り組んでおり、改善余地はまだ残されていると見られる。
部材調達では、発注数量の最適化や新規リユース部品の採用、複数回リユース部品の拡充、リユース対象機種の拡充と調達力の強化に取り組んでいる。特に、ホールからのリユース対象機種の回収率向上や、調達ルートの見直しによるコスト低減余地はまだ残っていると見られ、材料費率では現状からさらに引き下げることが可能と見ている。
製造面では2017年夏からパチスロ機専用の新工場が稼働しており、新生産ラインによる生産効率向上が見込まれる。同工場では部材の自動搬入システムを導入するなど生産ラインのオートメーション化を進めており、人員を増やさずに生産能力を従来の日産400台から1,500台と3倍以上に拡大することが可能なほか、急激な受注変動にも対応できる体制を構築している。現状はまだ生産量が少ないため、新工場稼働による効果は顕在化していないものの、パチスロ機の生産台数が今後拡大してくれば利益率の向上に貢献するものと予想される。
同社ではこれらの取り組みにより、売上総利益率を50%程度まで引き上げていくことが可能と見ている。実際、2019年3月期の上期においては50%を超える売上総利益率を達成している。今後、販売シェアの拡大を前提とすれば本体販売の販売も一定の割合で推移するため、その比率次第で売上総利益率は変動すると予想されるが、50%程度が適正な利益率の水準と弊社では見ている。
販売シェアについては、パチンコ機で10%程度を当面の目標としている。一方、パチスロ機に関しては稼働力を備えた機種を投入し、1機種当たりの販売台数を増やしていくことでブランド力を向上させ、販売シェアを着実に伸ばしていく戦略となっている。また、ここ数年はパチンコ機で7〜8機種、パチスロ機で2機種前後を投入しているが、2020年3月期はパチンコ機に関してはやや慎重に投入機種数を想定している模様。これは、旧規則機のホールでの設置期限が2021年1月末までとされており、ホール側の新規則機への移行ペースが緩やかにとどまりそうなこと、また、同社においては旧規則機で販売可能な機種が残っていないことなどが要因と見られる。このため、同社の戦略としては甘デジタイプの新規則機で実績を積み重ね、シェア拡大の足掛かりとする戦略となっている。
(3) デジタルコンテンツ事業について
同社は新たな収益源の創出に向けて、スマートフォン用ゲームアプリの市場に参入し、育成に取り組んできた。2016年3月に美少女系の本格対戦RPG「マギアコネクト」、同年7月に麻雀バトルゲーム「アドヴェントガール」をテストマーケティングも兼ねて配信し、2018年3月に完全オリジナルとなるファンタジーRPG「23/7トゥエンティ スリー セブン」の配信を開始、メディアミックスによる広告展開も図りながら収益化を目指してきた。しかし、想定よりもユーザー数が伸びなかったことから2018年12月に配信サービスを終了する予定であることを発表している。
今後については2020年3月期以降にリリース予定の新タイトルについてはゲーム制作チームを新たに組織化し、著名なゲームクリエイターなども起用するなど外部リソースを活用して開発していく予定にしている。内容はまだ明らかにされていないが、新たな世界観を持たせた独創性の高いゲームになる見通しで、今後の開発動向が注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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