ピクセラ Research Memo(2):ソフトウェア開発力を生かしたAV関連事業と白物家電中心の家電事業を展開
[18/12/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 会社沿革
ピクセラ<6731>は、1982年6月に株式会社堺システム開発として設立され、PC周辺機器にかかるハードウェア・ソフトウェア製品の受託開発から事業を開始した。1990年10月にMacintoshの周辺機器製品を発売後、自社開発製品をリテール向けにも展開している。同社は、映像技術領域(放送、画像、通信等)のソフトウェアにおける開発力と長年の開発ノウハウを有し、アプリケーションレイヤーだけでなく物理レイヤー(ハードウェア)にも強く、チップベンダー等が提供する開発キットに頼らない商品企画や、ハードウェアの性能を生かしたソフトウェア開発を強みとしている。
1997年10月、同社製品の販売を行っていた(株)ピクセラの営業の全部及び商号を譲り受け、株式会社ピクセラに商号変更。2002年12月に東証マザーズへの株式上場を果たし、2004年9月には東証1部へ市場変更した。当時の主力製品は、PC向けテレビキャプチャーボードとデジタルカメラ・ビデオカメラ向け画像編集関連ソフトウェアで、PCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの拡大や、デジタルカメラ・ビデオカメラの普及拡大に伴って業績を伸ばし、主要なPCメーカーやデジタルカメラ・ビデオカメラメーカーのほとんどに採用されていた。また、2003年12月に開始された地上デジタルテレビ放送に対応したテレビやチューナーも販売し、業績を拡大した。
その後、過去最高の売上高を計上した2011年9月期での営業黒字の計上後、コンシューマ向けPCの出荷台数の減少及びPCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの縮小、携帯電話のカメラ性能向上やスマートフォンの普及拡大に伴うデジタルカメラ・ビデオカメラの出荷台数減少、需要一巡後の地上デジタルテレビの市場縮小により、業績が下降線をたどり、2012年9月期以降、2016年9月期まで通期での営業損失を計上するに至った。2014年9月期には債務超過となり、2015年2月に東証1部から東証2部へ指定替えとなった。2014年12月に行われた代表取締役社長の藤岡浩(ふじおかひろし)氏を割当先とする第三者割当増資、及び2015年8月に行われたOakキャピタル<3113>を割当先とする第三者割当増資により、2015年9月期に債務超過は解消された。
2016年9月期まで5期連続となる通期での営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していた。当該状況を解消するため、新規事業の早期収益化、コスト削減の継続を実施しながら、2017年9月期に黒字転換し、また新株予約権の行使により資金調達したことで財務基盤の一定の安定化が図られたことから、2017年9月期に継続企業の前提に関する注記記載を解消した。
同社は、OEM供給、商社経由の間接販売、製品の売切販売に偏っていた従来の事業構造を改革し、自社ブランドの確立、ECによる直販体制の構築、月額課金型ビジネスモデルの構築を図っていく考えであり、2018年3月にOakキャピタルを割当先として発行した新株予約権による調達資金を活用して、積極的に買収及び資本業務提携を進めることとしている。
2018年5月17日に、M&Aの第1弾として、白物家電を中心とする家電製品の企画・製造・販売を手掛けるA-Stageの全発行済株式を取得し、連結子会社とした。A-Stageの株式取得総額は900百万円、買収に伴うのれんは2018年9月期末で39百万円であり、のれんの減損リスクは抑えられており堅実なディールであると評価できる。
A-Stageは当初、情報システムの受託開発等を手掛ける(株)エスキュービズムの新規事業として2014年に開始された。開始当初は、液晶テレビやDVD・CDプレイヤー等の黒物家電(デジタルAV家電)を、家電量販店最大手のヤマダ電機<9831>やホームセンター大手の(株)カインズ等へ販売していた。その後、(株)ヨドバシカメラへの販売を開始するなど販路を拡大し、事業開始2期目には年商約10億円を計上して通期黒字を達成した。事業開始3期目には白物家電の現在の主力商品となる冷蔵庫の販売を開始し、同4期目には、一人暮らしに最適な「ROOM家電」というコンセプトのもと、白物家電の商品ラインアップを増やすとともに、社員の採用や外部との協力関係の構築によって徐々に体制強化を図り、A-Stageの決算期である2018年3月期通期の売上げは約20億円へ成長した。
同社はA-Stage買収の狙いを、A-Stageの企画力を活用した同社製品のブランド力向上及び販売力強化にあるとし、従来、技術ドリブンでの製品開発を強みとしていた同社と、市場ニーズを捉えた製品開発に強みを持っているA-Stageとでは、製品企画において相互に補完し合える関係にあり、シナジーの十分見込めるM&Aであるとしている。白物家電と黒物家電とでは調達先メーカーが一般的に異なるものの、両社ともに販売している液晶テレビについては、開発・調達・販売における直接的なシナジーが短期的に期待し得るほか、製品の品質管理やアフターサービスにおいては、液晶テレビ以外の製品も含めて、同社のこれまでの経験・ノウハウを含めた経営資源が生かされることが期待し得る。ほかに、営業や物流においても、機能を統合することによる効率化が見込めるものと推測される。また、今後の展開として、同社が展開するホームIoTサービス向けに、同社の技術協力を受けてIoT機能を搭載したスマート家電をA-Stageがラインアップしていくことが想定される。
2. 事業概要
同社は、2017年9月期まで、AV関連事業、光触媒関連事業の2つを報告セグメントとしていたが、光触媒関連事業からは2017年10月に撤退した。AV関連事業は、2015年9月期までホームAV事業、パソコン関連事業、AVソフトウェア事業の3つの報告セグメントに分かれていた。2018年5月のA-Stageの買収により、2018年9月期から報告セグメントに家電事業が追加された。
(1) AV関連事業
同社は従前より、液晶テレビやデジタルチューナー等のデジタルAV家電及び関連製品、組込部材等の開発・製造・販売(2015年9月期以前の報告セグメントでは、ホームAV事業)、テレビキャプチャー及び関連製品の開発・製造・販売(同、パソコン関連事業)、デジタルビデオカメラ向け画像編集アプリケーションソフトウェアの開発・販売(同、AVソフトウェア事業)を行っている。PC向けテレビ受信機やモバイル向けテレビ受信機においては、同社製品が市場のトップシェアを占めている。テレビ視聴に関するソフトウェアは自社製品に活用するほか、組込ソフトウェア、SDK(ソフトウェア開発キット)、バンドル(同梱)ソフトウェアとして他社向けにも販売し、受託開発またはロイヤルティの形態で受注している。
新分野として2016年9月期よりIoT事業を開始し、新ブランド「Conte」を立ち上げ、ハードウェア製品の販売にとどまらず、離れた場所から家の監視や家族の見守りを手軽に導入できる「Conteホームサービス」を展開している。また、SIMフリー対応のLTE対応USBドングルを、リテール向けだけでなく、一括大量導入の見込める法人向けにも販売しており、MVNOサービス「ピクセラモバイル」のセット販売も行っている。
同社は2018年7月12日、総務省公募のIoT創出支援事業の実施においてパートナー関係にもあった (株)オックスコンサルティングから吸収分割によりすべての事業を承継する新設会社の発行済株式の39%を取得して、持分法適用関連会社とすることを発表した。オックスコンサルティングは民泊・ホテル向けブランド導入コンサルティング、民泊・ホテル施設運営コンサルティング及び運用代行サービス、インバウンドマーケティング支援において幅広い経験・ノウハウを有しており、楽天グループが手掛ける民泊事業のオペレーションも担当しているものとみられる。同社は発行済株式の取得に加え、転換社債型新株予約権付社債も引き受けており、同社債の新株予約権部分を行使した場合の持株比率は77%となる。投資額は、同社債の引受分を含めて、約60百万円と抑えられている。
これらAV関連事業の2018年9月期の売上高は1,565百万円で、全社売上高の61.4%を占めている。販売先上位は、PC関連製品の大手商社であるシネックスインフォテック(株)、ソフトバンクコマース&サービス(株)と、PC向けテレビキャプチャーボード等の納入先である富士通<6702>で、2018年9月期においては、上位3社に対する売上高が全社売上高の約50%を占めている。コンシューマ向け販路についてはもっぱら大手商社に依存しており、それ以外のメーカーやサービス事業者向け等についてはOEM供給を含む直接販売を中心に行っている。
(2) 家電事業
家電事業を担っているA-Stageは、「ENRICH THE ROOM〜部屋を、ひとつ豊かに〜」というコンセプトのもと、一人暮らしに最適な製品を展開している。デザインにおいて競合製品との差別化を図るとともに、必要十分な機能に絞ることによって品質と価格のバランスを取っており、約120SKU(ストック・キーピング・ユニットという受発注・在庫管理の単位。2018年7月時点)の幅広いラインアップを展開している。
製品は、世界の大手メーカーから業務受託している海外のODMメーカー(委託者のブランドで設計・製造するメーカー)やEMSメーカー(電子機器の受託生産メーカー)から調達しており、デザイン面では、DC(直流モーター使用)扇風機で有名なバルミューダ(株)出身のプロダクト・デザイナーである池内昭仁(いけうちあきひと)氏が運営する印デザイン(インデザイン)と業務委託契約を結んでいる。
最大の売上げを占めているのは相対的に単価の高い冷蔵庫で、部屋の雰囲気に合わせられるようなカラー・バリエーションを展開しており、一部を除いて両開きにも対応することで置き場を選ばないようになっている。白物家電では他に、冷凍庫、ワインクーラー、炊飯器、電子レンジ、オーブントースター、吸煙グリルといったキッチン家電に加え、扇風機、冷風扇、布団乾燥機、ロボット掃除機、スティッククリーナー等を販売している。
黒物家電では、液晶テレビ、据置型DVDプレイヤー、ポータブルDVDプレイヤー、ポータブルCDプレイヤー、ポータブルTV・ラジオ、Bluetoothスピーカー等を販売している。一部の製品では、大手ECサイトのランキング上位を獲得したこともある。
大手家電量販店や大手ホームセンターでの販売が中心で、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、カインズ、(株)ベイシア、セブン&アイ・グループGMS(総合スーパー)店舗等で販売されている。一部の販売先に対しては、ショップブランドとしての供給も行っている。楽天市場にて自社ECサイトを展開しているほか、他社ECサイトでの販売も行っている。ECでの販売比率は現時点では約半分となっており、ECに適した商材であると言える。ECサイトの運営においては、同社のEC担当者が業務支援を行っている。
家電事業の2018年9月期の売上高は、6ヶ月分で985百万円となっており、全社売上高の38.6%を占めているが、年換算ではAV関連事業の売上高を上回ったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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1. 会社沿革
ピクセラ<6731>は、1982年6月に株式会社堺システム開発として設立され、PC周辺機器にかかるハードウェア・ソフトウェア製品の受託開発から事業を開始した。1990年10月にMacintoshの周辺機器製品を発売後、自社開発製品をリテール向けにも展開している。同社は、映像技術領域(放送、画像、通信等)のソフトウェアにおける開発力と長年の開発ノウハウを有し、アプリケーションレイヤーだけでなく物理レイヤー(ハードウェア)にも強く、チップベンダー等が提供する開発キットに頼らない商品企画や、ハードウェアの性能を生かしたソフトウェア開発を強みとしている。
1997年10月、同社製品の販売を行っていた(株)ピクセラの営業の全部及び商号を譲り受け、株式会社ピクセラに商号変更。2002年12月に東証マザーズへの株式上場を果たし、2004年9月には東証1部へ市場変更した。当時の主力製品は、PC向けテレビキャプチャーボードとデジタルカメラ・ビデオカメラ向け画像編集関連ソフトウェアで、PCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの拡大や、デジタルカメラ・ビデオカメラの普及拡大に伴って業績を伸ばし、主要なPCメーカーやデジタルカメラ・ビデオカメラメーカーのほとんどに採用されていた。また、2003年12月に開始された地上デジタルテレビ放送に対応したテレビやチューナーも販売し、業績を拡大した。
その後、過去最高の売上高を計上した2011年9月期での営業黒字の計上後、コンシューマ向けPCの出荷台数の減少及びPCでのテレビ視聴・録画という利用スタイルの縮小、携帯電話のカメラ性能向上やスマートフォンの普及拡大に伴うデジタルカメラ・ビデオカメラの出荷台数減少、需要一巡後の地上デジタルテレビの市場縮小により、業績が下降線をたどり、2012年9月期以降、2016年9月期まで通期での営業損失を計上するに至った。2014年9月期には債務超過となり、2015年2月に東証1部から東証2部へ指定替えとなった。2014年12月に行われた代表取締役社長の藤岡浩(ふじおかひろし)氏を割当先とする第三者割当増資、及び2015年8月に行われたOakキャピタル<3113>を割当先とする第三者割当増資により、2015年9月期に債務超過は解消された。
2016年9月期まで5期連続となる通期での営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在していた。当該状況を解消するため、新規事業の早期収益化、コスト削減の継続を実施しながら、2017年9月期に黒字転換し、また新株予約権の行使により資金調達したことで財務基盤の一定の安定化が図られたことから、2017年9月期に継続企業の前提に関する注記記載を解消した。
同社は、OEM供給、商社経由の間接販売、製品の売切販売に偏っていた従来の事業構造を改革し、自社ブランドの確立、ECによる直販体制の構築、月額課金型ビジネスモデルの構築を図っていく考えであり、2018年3月にOakキャピタルを割当先として発行した新株予約権による調達資金を活用して、積極的に買収及び資本業務提携を進めることとしている。
2018年5月17日に、M&Aの第1弾として、白物家電を中心とする家電製品の企画・製造・販売を手掛けるA-Stageの全発行済株式を取得し、連結子会社とした。A-Stageの株式取得総額は900百万円、買収に伴うのれんは2018年9月期末で39百万円であり、のれんの減損リスクは抑えられており堅実なディールであると評価できる。
A-Stageは当初、情報システムの受託開発等を手掛ける(株)エスキュービズムの新規事業として2014年に開始された。開始当初は、液晶テレビやDVD・CDプレイヤー等の黒物家電(デジタルAV家電)を、家電量販店最大手のヤマダ電機<9831>やホームセンター大手の(株)カインズ等へ販売していた。その後、(株)ヨドバシカメラへの販売を開始するなど販路を拡大し、事業開始2期目には年商約10億円を計上して通期黒字を達成した。事業開始3期目には白物家電の現在の主力商品となる冷蔵庫の販売を開始し、同4期目には、一人暮らしに最適な「ROOM家電」というコンセプトのもと、白物家電の商品ラインアップを増やすとともに、社員の採用や外部との協力関係の構築によって徐々に体制強化を図り、A-Stageの決算期である2018年3月期通期の売上げは約20億円へ成長した。
同社はA-Stage買収の狙いを、A-Stageの企画力を活用した同社製品のブランド力向上及び販売力強化にあるとし、従来、技術ドリブンでの製品開発を強みとしていた同社と、市場ニーズを捉えた製品開発に強みを持っているA-Stageとでは、製品企画において相互に補完し合える関係にあり、シナジーの十分見込めるM&Aであるとしている。白物家電と黒物家電とでは調達先メーカーが一般的に異なるものの、両社ともに販売している液晶テレビについては、開発・調達・販売における直接的なシナジーが短期的に期待し得るほか、製品の品質管理やアフターサービスにおいては、液晶テレビ以外の製品も含めて、同社のこれまでの経験・ノウハウを含めた経営資源が生かされることが期待し得る。ほかに、営業や物流においても、機能を統合することによる効率化が見込めるものと推測される。また、今後の展開として、同社が展開するホームIoTサービス向けに、同社の技術協力を受けてIoT機能を搭載したスマート家電をA-Stageがラインアップしていくことが想定される。
2. 事業概要
同社は、2017年9月期まで、AV関連事業、光触媒関連事業の2つを報告セグメントとしていたが、光触媒関連事業からは2017年10月に撤退した。AV関連事業は、2015年9月期までホームAV事業、パソコン関連事業、AVソフトウェア事業の3つの報告セグメントに分かれていた。2018年5月のA-Stageの買収により、2018年9月期から報告セグメントに家電事業が追加された。
(1) AV関連事業
同社は従前より、液晶テレビやデジタルチューナー等のデジタルAV家電及び関連製品、組込部材等の開発・製造・販売(2015年9月期以前の報告セグメントでは、ホームAV事業)、テレビキャプチャー及び関連製品の開発・製造・販売(同、パソコン関連事業)、デジタルビデオカメラ向け画像編集アプリケーションソフトウェアの開発・販売(同、AVソフトウェア事業)を行っている。PC向けテレビ受信機やモバイル向けテレビ受信機においては、同社製品が市場のトップシェアを占めている。テレビ視聴に関するソフトウェアは自社製品に活用するほか、組込ソフトウェア、SDK(ソフトウェア開発キット)、バンドル(同梱)ソフトウェアとして他社向けにも販売し、受託開発またはロイヤルティの形態で受注している。
新分野として2016年9月期よりIoT事業を開始し、新ブランド「Conte」を立ち上げ、ハードウェア製品の販売にとどまらず、離れた場所から家の監視や家族の見守りを手軽に導入できる「Conteホームサービス」を展開している。また、SIMフリー対応のLTE対応USBドングルを、リテール向けだけでなく、一括大量導入の見込める法人向けにも販売しており、MVNOサービス「ピクセラモバイル」のセット販売も行っている。
同社は2018年7月12日、総務省公募のIoT創出支援事業の実施においてパートナー関係にもあった (株)オックスコンサルティングから吸収分割によりすべての事業を承継する新設会社の発行済株式の39%を取得して、持分法適用関連会社とすることを発表した。オックスコンサルティングは民泊・ホテル向けブランド導入コンサルティング、民泊・ホテル施設運営コンサルティング及び運用代行サービス、インバウンドマーケティング支援において幅広い経験・ノウハウを有しており、楽天グループが手掛ける民泊事業のオペレーションも担当しているものとみられる。同社は発行済株式の取得に加え、転換社債型新株予約権付社債も引き受けており、同社債の新株予約権部分を行使した場合の持株比率は77%となる。投資額は、同社債の引受分を含めて、約60百万円と抑えられている。
これらAV関連事業の2018年9月期の売上高は1,565百万円で、全社売上高の61.4%を占めている。販売先上位は、PC関連製品の大手商社であるシネックスインフォテック(株)、ソフトバンクコマース&サービス(株)と、PC向けテレビキャプチャーボード等の納入先である富士通<6702>で、2018年9月期においては、上位3社に対する売上高が全社売上高の約50%を占めている。コンシューマ向け販路についてはもっぱら大手商社に依存しており、それ以外のメーカーやサービス事業者向け等についてはOEM供給を含む直接販売を中心に行っている。
(2) 家電事業
家電事業を担っているA-Stageは、「ENRICH THE ROOM〜部屋を、ひとつ豊かに〜」というコンセプトのもと、一人暮らしに最適な製品を展開している。デザインにおいて競合製品との差別化を図るとともに、必要十分な機能に絞ることによって品質と価格のバランスを取っており、約120SKU(ストック・キーピング・ユニットという受発注・在庫管理の単位。2018年7月時点)の幅広いラインアップを展開している。
製品は、世界の大手メーカーから業務受託している海外のODMメーカー(委託者のブランドで設計・製造するメーカー)やEMSメーカー(電子機器の受託生産メーカー)から調達しており、デザイン面では、DC(直流モーター使用)扇風機で有名なバルミューダ(株)出身のプロダクト・デザイナーである池内昭仁(いけうちあきひと)氏が運営する印デザイン(インデザイン)と業務委託契約を結んでいる。
最大の売上げを占めているのは相対的に単価の高い冷蔵庫で、部屋の雰囲気に合わせられるようなカラー・バリエーションを展開しており、一部を除いて両開きにも対応することで置き場を選ばないようになっている。白物家電では他に、冷凍庫、ワインクーラー、炊飯器、電子レンジ、オーブントースター、吸煙グリルといったキッチン家電に加え、扇風機、冷風扇、布団乾燥機、ロボット掃除機、スティッククリーナー等を販売している。
黒物家電では、液晶テレビ、据置型DVDプレイヤー、ポータブルDVDプレイヤー、ポータブルCDプレイヤー、ポータブルTV・ラジオ、Bluetoothスピーカー等を販売している。一部の製品では、大手ECサイトのランキング上位を獲得したこともある。
大手家電量販店や大手ホームセンターでの販売が中心で、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、カインズ、(株)ベイシア、セブン&アイ・グループGMS(総合スーパー)店舗等で販売されている。一部の販売先に対しては、ショップブランドとしての供給も行っている。楽天市場にて自社ECサイトを展開しているほか、他社ECサイトでの販売も行っている。ECでの販売比率は現時点では約半分となっており、ECに適した商材であると言える。ECサイトの運営においては、同社のEC担当者が業務支援を行っている。
家電事業の2018年9月期の売上高は、6ヶ月分で985百万円となっており、全社売上高の38.6%を占めているが、年換算ではAV関連事業の売上高を上回ったと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 廣田重徳)
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