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サン電子 Research Memo(2):情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の2本柱(1)

注目トピックス 日本株
■事業概要

サン電子<6736>は、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業を2本柱とするIT機器メーカーである。情報通信関連事業では、海外子会社Cellebrite がグローバルに展開する携帯端末関連機器を中心として、M2M通信機器及びIoTソリューション、ゲームコンテンツ配信サービスなども提供している。また、エンターテインメント関連事業では、遊技機メーカー向けの遊技機部品(制御基板、液晶基板等)やパチンコホール向けのトータルコンピュータシステムの開発、製造、販売を手掛けている。

従来、パチンコ業界向けのエンターテインメント関連事業を軸としてきた同社だが、2007年に買収したCellebriteが展開するモバイルデータソリューション事業が急拡大してきた。今後は、需要拡大の見込めるM2Mのほか、AR関連※、O2Oソリューションなど、情報通信関連事業における新たな成長市場への参入により成長を加速する方針である。直近においても、情報通信関連事業とエンターテインメント関連事業の売上構成比率は81:19(2019年3月期上期実績)となっており、注力する情報通信関連事業の比率が高まる傾向にある。

※Augmented Reality(拡張現実)の略。実在する風景にバーチャルの視覚情報を重ねて表示することで、目の前にある世界を「仮想的に拡張する」もの。同社では、AR技術を活用した独自製品「AceReal」(産業用スマートグラス及び業務支援アプリケーション)の開発を進めている。


事業セグメントは、「モバイルデータソリューション事業」「エンターテインメント関連事業」「新規IT関連」「その他(ゲームコンテンツ)」の4つに区分される。

連結子会社は13社(国内1社、海外12社)、持分法適用会社は2社となっている(2018年9月末現在)。国内の連結子会社は、主にエンターテインメント関連事業の遊技機部品の製造を担うイードリーム(株) である。一方、海外の連結子会社には、2007年に買収したイスラエルのCellebriteとその販売拠点として、米国、ドイツ、ブラジル、シンガポール、英国、フランス、カナダ、中国、オーストラリアに現地法人が置かれているほか、2015年8月に子会社化したイスラエルの Bacsoft Ltd.(以下、Bacsoft)等がある。また、持分法適用会社は、2015年2月に Cellebriteと資本提携をしたイスラエルの Cellomat Israel Ltd.(以下、Cellomat)、同年4 月に資本提携をした Infinity Augmented Reality, Inc.(以下、Infinity AR)の2社である。

1. モバイルデータソリューション事業
2007年に買収したCellebriteが開発した携帯端末関連機器の販売を通じて、MLC※1向けにデータ転送や故障診断サービス等を提供するほか、DI向けにデータ抽出及びデータ分析等を展開している。ただ、MLCについては、後述するように、代替サービスの登場に伴う需要の減少や、より成長性の高いDIへ経営資源を集中する戦略により、第1四半期末(2018年3月末※2)をもって事業譲渡を実施した。

※1 Mobile Life Cycleの略。携帯端末販売店向けのサービス。
※2 海外子会社は12月決算のため、第1四半期末は、3か月ずれた3月末。


Cellebriteは、1999年に設立された企業であり、2000年から米国でモバイルデータトランスファー機器の販売を開始。携帯電話やスマートフォンなどの利用者が新機種に買い替える際、データの移し替えを円滑に行うものであり、携帯端末の普及に伴ってMLC向けの需要が拡大した。特にスマートフォンの普及が、データの保存量や複雑性を高めたことから、データ転送速度など機能面で優れているCellebrite製品が高いシェアを獲得するに至った。ただ、最近では、クラウド型のデータ移行サービスが台頭するなかで、店頭でのデータ移行に対する需要が減退傾向にある。また、故障診断及び中古携帯端末の下取りなど新たなサービスへのシフトを進めてきたものの、普及までに時間がかかっており、MLC向けの業績は大きく後退してきた。同社では、MLCのポテンシャルの高さは評価しつつも、より成長性の高いDIに経営資源を集中する戦略により、MLCの事業譲渡に踏み切った。

一方、DI向けについては、Cellebriteが開発した携帯端末関連機器が犯罪捜査時の携帯端末のデータ解析などにも利用できることから、顧客である警察などの法的執行機関にも有用性が認められ、2009年頃より米国や日本などで普及が進んできた。特に最近では、携帯端末のデータが裁判で決定的な証拠となるケースが増加しており、携帯端末からの手掛かりや証拠入手の重要性が世界中で注目され、DIが好調に推移している。グローバル展開にも積極的であり、2008年にドイツに進出したほか、2013年にはシンガポール及びブラジルに開設した拠点が営業を開始した。最近では2014年に英国、2015年にはフランス、カナダ、中国、2017年にはオーストラリアと相次いで拠点を設立している。国内でも、DIを中心に展開をしている。

機器の導入、新機種への買い替え需要等の端末販売に加えて、導入後のソフトウェア更新料が積み上がるフローとストックを組み合わせた収益モデルとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)



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