JBR Research Memo(2):日常生活でのトラブルを解決する各種サービスを提供
[18/12/25]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■事業概要
ジャパンベストレスキューシステム<2453>は「困っている人を助ける!」を経営理念として、生活に関わる様々なトラブルを解決する「総合生活トラブル解決サービス」カンパニーで1997年に設立された。連結子会社は2社で、2008年にジャパン少額短期保険(株)、2016年にJBRあんしん保証(株)を子会社化している。JBRあんしん保証の子会社化に伴って、同社で行っていた保証サービス事業を子会社に移管している。直近では、2016年にリペア事業を譲受しており、新規サービスとして展開している。
2018年9月期より事業セグメントを組織体制に合わせた格好に変更しており、駆けつけ、会員、少額短期保険、リペアの4つの事業セグメントとしている。2018年9月期の事業セグメント別構成比を見ると、会員事業が売上高の52.6%、営業利益の78.7%を占める主力事業となっている。リペア事業についてはビジネスモデル転換中のため収益化までには至っていないが、2019年9月期より黒字転換する見通しとなっている。
1. 駆けつけ事業
駆けつけ事業は住宅のカギ交換や水まわり、ガラス、パソコン等のトラブル、害虫駆除、庭の手入れ、リフォーム等の生活全般にわたる困りごとに関して、会員以外の一般顧客から入ってくる依頼をコールセンターで受け付け(24時間365日稼働)、依頼内容に応じて加盟店や協力店に作業手配を行うサービスで、「生活救急車サービス」のブランド名で展開している。各作業の標準的な価格は、鍵のシリンダー交換が約2万円、パソコンの緊急トラブル(インターネット接続不良)対応で約1.8万円等となる。同社の売上高としては、加盟店・協力店が一般顧客から回収した作業代金の原則30〜40%程度を紹介手数料収入として売上高に計上している。
また、水まわり・ガラスの駆けつけサービスに関しては、2017年9月期まで過去に合弁会社と事業展開していた経緯から、作業代金を売上高として計上し、そのうち加盟店・協力店収入分を売上原価として計上する会計処理方法をとしてきたが、2018年9月期からはほかのサービスと同様に紹介手数料収入(作業代金の約40%)のみを売上計上する会計処理に変更している。このため、見かけ上の売上高は減少するが売上総利益への影響はない。
同事業を拡大していくためには、入電件数を増やすための認知度向上に向けたマーケティング施策(タウンページ、インターネット、チラシ、その他広告等)の強化と、実際の作業を行う加盟店・協力店のネットワーク拡充が重要となる。2018年9月期末の加盟店は430店舗、協力店は1,953店舗となっており、加盟店が前期末比で55店舗減少したが、これは作業手配効率と顧客満足度の向上を図るため、加盟店のうち非稼働店舗やサービス品質が一定基準に満たない店舗を整理したことが要因となっている。
2. 会員事業
会員事業は、会員向けに生活トラブル全般の解決サービスを提供する事業で、入会金や年会費等を事前に支払うことで、会員は当該トラブルが発生した時に一般料金よりも低価格、または無料でサービスを受けることができる。生活会員及び保証会員(入会・更新・継続含む)の合計数は、2018年9月期末で前期末比2.3万人増加の224.7万人と年々拡大が続いている。伸び率がやや鈍化しているが、これは不採算サービスの見直しを進めていることが要因となっている。
現在の主力サービスは賃貸及び分譲住宅入居者向けの「安心入居サポート」で、同事業売上高の約60%を占めている。サービスメニューとしては入居時の暮らし相談サポートや入居中の生活トラブルを解決・サポートするサービスがある。大手賃貸不動産会社等と販売代理店契約を結ぶことで契約件数を拡大してきた。会費は2年契約タイプのもので約1.5万円となり、うち約6割が同社の売上高となる。売上計上方法としては従来、契約時に一括計上していたが、2017年9月期より新規契約分については月ごとの分割計上方式に切り替えを進めている。
月額で売上計上処理を行うが、実際の資金の流れとしては契約時に2年分を一括して会員から徴収しているため、貸借対照表上では前受収益及び長期前受収益として計上されることになる。一方、代理店への手数料支払いについては契約月に一括して支払い、費用も同額分計上するため、会計上開始1ヶ月目は赤字の計算となる(1ヶ月目の売上高約380円に対して、費用は6千円)。このため、2018年9月期までは従来基準との比較で売上高、及び利益が目減りする格好となっている。
その他の会員サービスとしては、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協)と提携した大学生向けの「学生生活110番」(4年契約タイプで9,250円、うち約7割が同社売上高)やNTTドコモ<9437>の「dリビング」会員向けサービス※、ソフトバンク<9434>の携帯電話ユーザー向けの修理代金等のサポートサービス「ライフサポートパック」等を提供している。また、連結子会社のJBRあんしん保証が、住設機器や家電製品等のメーカー保証期間終了後のサポートを行う「あんしん修理サポート」(5年・8年・10年間保証で7,000円〜、うち約8割が同社売上高)を行っている。会員の獲得はハウスメーカーやホームセンター、家電量販店等との提携を通じて行っているが、保証額は家電製品よりも住設機器のほうが高くなること、住宅販売時の購入価格に保証サービスを組み込みやすいことから、ハウスメーカーとの提携強化に注力している。保証期間が5年以上と長くなるため、年間売上に対する寄与度はまだ小さく、同事業の約15%となっている。
※「dリビング」(月額450円)のサービスメニューの一部である、カギ、水まわり、ガラス関連の駆けつけサービスを同社が提供している。
なお、会員事業では入会時に顧客から会費を徴収し、作業依頼を受けた場合は入会時の条件に基づいて、無料または割引価格で加盟店・協力店の手配を行っており、発生した作業代金や作業代金と割引価格との差額は同社の負担となる。このため自然災害の発生等により想定以上に作業件数が増加した場合は、同社の費用負担が増加し収益性が低下することになる。
3. 少額短期保険事業
連結子会社のジャパン少額短期保険で少額短期保険事業を展開している。主力商品は、賃貸住宅入居者向けに家財を補償する「新すまいRoom保険」で全保険契約件数の7割弱を占めている。賃貸住宅会社では入居者が賃貸契約する際に「安心入居サポート」と「新すまいRoom保険」を同時に薦めることができるため、同社にとっては販売効率の高い商品となっている。その他の保険商品としては、事務所や飲食店などのテナント入居者向けの「テナント総合保険」、自転車ユーザー向けの事故や盗難に備える保険「ちゃりぽ」、「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士保険」などがある。
4. リペア事業
2016年5月に(株)リペアワークスより譲受した事業で、ハウスメーカー等の提携先企業から主に新築の戸建・マンション等の床面や壁の補修作業の依頼を受け、補修サービスを提供する事業となる。石材系から水まわり、金属、木質系など幅広い材質を対象とした修復が可能で、最近ではホテルや店舗など非住宅系の販路開拓に注力している。営業エリアは首都圏や東北、中部、関西が中心で同社の正社員と約70店舗の協力店を通じてサービスを展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
ジャパンベストレスキューシステム<2453>は「困っている人を助ける!」を経営理念として、生活に関わる様々なトラブルを解決する「総合生活トラブル解決サービス」カンパニーで1997年に設立された。連結子会社は2社で、2008年にジャパン少額短期保険(株)、2016年にJBRあんしん保証(株)を子会社化している。JBRあんしん保証の子会社化に伴って、同社で行っていた保証サービス事業を子会社に移管している。直近では、2016年にリペア事業を譲受しており、新規サービスとして展開している。
2018年9月期より事業セグメントを組織体制に合わせた格好に変更しており、駆けつけ、会員、少額短期保険、リペアの4つの事業セグメントとしている。2018年9月期の事業セグメント別構成比を見ると、会員事業が売上高の52.6%、営業利益の78.7%を占める主力事業となっている。リペア事業についてはビジネスモデル転換中のため収益化までには至っていないが、2019年9月期より黒字転換する見通しとなっている。
1. 駆けつけ事業
駆けつけ事業は住宅のカギ交換や水まわり、ガラス、パソコン等のトラブル、害虫駆除、庭の手入れ、リフォーム等の生活全般にわたる困りごとに関して、会員以外の一般顧客から入ってくる依頼をコールセンターで受け付け(24時間365日稼働)、依頼内容に応じて加盟店や協力店に作業手配を行うサービスで、「生活救急車サービス」のブランド名で展開している。各作業の標準的な価格は、鍵のシリンダー交換が約2万円、パソコンの緊急トラブル(インターネット接続不良)対応で約1.8万円等となる。同社の売上高としては、加盟店・協力店が一般顧客から回収した作業代金の原則30〜40%程度を紹介手数料収入として売上高に計上している。
また、水まわり・ガラスの駆けつけサービスに関しては、2017年9月期まで過去に合弁会社と事業展開していた経緯から、作業代金を売上高として計上し、そのうち加盟店・協力店収入分を売上原価として計上する会計処理方法をとしてきたが、2018年9月期からはほかのサービスと同様に紹介手数料収入(作業代金の約40%)のみを売上計上する会計処理に変更している。このため、見かけ上の売上高は減少するが売上総利益への影響はない。
同事業を拡大していくためには、入電件数を増やすための認知度向上に向けたマーケティング施策(タウンページ、インターネット、チラシ、その他広告等)の強化と、実際の作業を行う加盟店・協力店のネットワーク拡充が重要となる。2018年9月期末の加盟店は430店舗、協力店は1,953店舗となっており、加盟店が前期末比で55店舗減少したが、これは作業手配効率と顧客満足度の向上を図るため、加盟店のうち非稼働店舗やサービス品質が一定基準に満たない店舗を整理したことが要因となっている。
2. 会員事業
会員事業は、会員向けに生活トラブル全般の解決サービスを提供する事業で、入会金や年会費等を事前に支払うことで、会員は当該トラブルが発生した時に一般料金よりも低価格、または無料でサービスを受けることができる。生活会員及び保証会員(入会・更新・継続含む)の合計数は、2018年9月期末で前期末比2.3万人増加の224.7万人と年々拡大が続いている。伸び率がやや鈍化しているが、これは不採算サービスの見直しを進めていることが要因となっている。
現在の主力サービスは賃貸及び分譲住宅入居者向けの「安心入居サポート」で、同事業売上高の約60%を占めている。サービスメニューとしては入居時の暮らし相談サポートや入居中の生活トラブルを解決・サポートするサービスがある。大手賃貸不動産会社等と販売代理店契約を結ぶことで契約件数を拡大してきた。会費は2年契約タイプのもので約1.5万円となり、うち約6割が同社の売上高となる。売上計上方法としては従来、契約時に一括計上していたが、2017年9月期より新規契約分については月ごとの分割計上方式に切り替えを進めている。
月額で売上計上処理を行うが、実際の資金の流れとしては契約時に2年分を一括して会員から徴収しているため、貸借対照表上では前受収益及び長期前受収益として計上されることになる。一方、代理店への手数料支払いについては契約月に一括して支払い、費用も同額分計上するため、会計上開始1ヶ月目は赤字の計算となる(1ヶ月目の売上高約380円に対して、費用は6千円)。このため、2018年9月期までは従来基準との比較で売上高、及び利益が目減りする格好となっている。
その他の会員サービスとしては、全国大学生活協同組合連合会(以下、大学生協)と提携した大学生向けの「学生生活110番」(4年契約タイプで9,250円、うち約7割が同社売上高)やNTTドコモ<9437>の「dリビング」会員向けサービス※、ソフトバンク<9434>の携帯電話ユーザー向けの修理代金等のサポートサービス「ライフサポートパック」等を提供している。また、連結子会社のJBRあんしん保証が、住設機器や家電製品等のメーカー保証期間終了後のサポートを行う「あんしん修理サポート」(5年・8年・10年間保証で7,000円〜、うち約8割が同社売上高)を行っている。会員の獲得はハウスメーカーやホームセンター、家電量販店等との提携を通じて行っているが、保証額は家電製品よりも住設機器のほうが高くなること、住宅販売時の購入価格に保証サービスを組み込みやすいことから、ハウスメーカーとの提携強化に注力している。保証期間が5年以上と長くなるため、年間売上に対する寄与度はまだ小さく、同事業の約15%となっている。
※「dリビング」(月額450円)のサービスメニューの一部である、カギ、水まわり、ガラス関連の駆けつけサービスを同社が提供している。
なお、会員事業では入会時に顧客から会費を徴収し、作業依頼を受けた場合は入会時の条件に基づいて、無料または割引価格で加盟店・協力店の手配を行っており、発生した作業代金や作業代金と割引価格との差額は同社の負担となる。このため自然災害の発生等により想定以上に作業件数が増加した場合は、同社の費用負担が増加し収益性が低下することになる。
3. 少額短期保険事業
連結子会社のジャパン少額短期保険で少額短期保険事業を展開している。主力商品は、賃貸住宅入居者向けに家財を補償する「新すまいRoom保険」で全保険契約件数の7割弱を占めている。賃貸住宅会社では入居者が賃貸契約する際に「安心入居サポート」と「新すまいRoom保険」を同時に薦めることができるため、同社にとっては販売効率の高い商品となっている。その他の保険商品としては、事務所や飲食店などのテナント入居者向けの「テナント総合保険」、自転車ユーザー向けの事故や盗難に備える保険「ちゃりぽ」、「痴漢冤罪ヘルプコール付き弁護士保険」などがある。
4. リペア事業
2016年5月に(株)リペアワークスより譲受した事業で、ハウスメーカー等の提携先企業から主に新築の戸建・マンション等の床面や壁の補修作業の依頼を受け、補修サービスを提供する事業となる。石材系から水まわり、金属、木質系など幅広い材質を対象とした修復が可能で、最近ではホテルや店舗など非住宅系の販路開拓に注力している。営業エリアは首都圏や東北、中部、関西が中心で同社の正社員と約70店舗の協力店を通じてサービスを展開している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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