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デリカフHD Research Memo(2):業務用の野菜卸しとカット野菜で業界最大手

注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 事業内容
デリカフーズホールディングス<3392>は業務用野菜に関する仕入販売及びカット野菜の製造販売で業界トップ企業となるデリカフーズ(株)を中心に、物流事業を行うエフエスロジスティックス(株)、野菜の分析事業を行う(株)メディカル青果物研究所、抗酸化研究やコンサルティング業務を行うデザイナーフーズ(株)の4社をグループとする持株会社となる。デリカフーズは2018年11月時点で仙台から福岡まで9事業所、16拠点で事業を展開しており、エリア協力企業も含めて約17,000店舗に日々、新鮮な野菜を安心・安全に供給している。

事業セグメントは2017年10月に持株会社体制に移行したことに伴い、従来のエリア別から事業別に変更しており、2019年3月期の売上構成比(グループ内取引含む)で見ると、青果物事業(デリカフーズ)で92.3%、物流事業(エフエスロジスティックス)で5.5%、研究開発・分析事業(デザイナーフーズ、メディカル青果物研究所)で0.3%、持株会社で1.8%の構成となっている。物流事業については売上の99%がグループ内取引となっており、外部顧客向けサービスについては補完的な位置付けであり、売上げへの影響は軽微となっている。ただ、今後は共同物流サービスなど外部顧客向けのサービスも拡充していく予定にしており、徐々に売上も増加する見通しとなっている。

部門別の売上構成比(2019年3月期第2四半期累計)では、仕入れた野菜をそのまま配送するホール野菜が46.8%、顧客の要望に応じて形状を加工するカット野菜が40.3%、さらに、加熱調理を施し調味液も加えるなど顧客がより簡便に調理できる商品として販売注力中の加熱野菜が0.9%、その他が12.0%となっている。カット野菜や加熱野菜の占める比率が年々上昇傾向にあるが、これは人材不足に悩む外食企業において、調理が簡単で時間も短縮できるこれら商品の需要が増加していることが背景にある。なお、その他には日配品(卵、豆腐等)の売上げのほか、物流、分析・コンサルティングサービスの売上げが含まれている。

業態別売上構成比では外食産業向けが全体の82.4%を占めており、内訳はファミリーレストランが58.5%と最も高く、次いでファストフード10.1%、パブ・居酒屋8.8%、喫茶店・アミューズメント施設が5.0%となっている。残りの17.6%は中食業界向けとなり、食品メーカーが8.8%、弁当・惣菜事業者向けが6.2%、給食事業者向けが2.6%となる。外食業界向けでは全国規模で展開する大手チェーン店とはほとんど取引実績があり、青果物専業の流通企業としては業界で最大規模となる。

2. 同社の強み
同社の強みは、卸売事業者として国内外で開拓してきた多くの契約産地(仕入高の60%超)から安定した仕入れを行うことができる調達力と、高品質で安全、確実に商品を顧客のもとに配送する物流網を全国に構築(委託業者を含む)していることが挙げられる。業界初となるスーパーコールドチェーン※1を東京第二FSセンター(2013年7月稼働)以降に開設した事業所(奈良、西東京、中京、埼玉)で導入しているほか、食品安全マネジメントシステムの国際標準規格となるISO22000や、さらにその上位規格となるFSSC22000※2の認証も各事業拠点で取得するなど、食の安心・安全を確保するうえでの取り組みについて業界で最も先行している。

※1 スーパーコールドチェーン:野菜の入庫から出荷、配送までの全工程を1〜4℃の低温度で管理するシステム。野菜の鮮度が保持できるため、カット野菜の賞味期限を従来比2 倍に延長することが可能となった。
※2 「FSSC22000」:「ISO22000」に食品安全対策(フード・テロ対策、原材料やアレルギー物質の管理方法など)や、「食品安全に関連する要員の監視」「サービスに関する仕様」などを追加したものでオランダの食品安全認証財団が認証機関となっている。


2018年6月には食品衛生法等の一部改正により、食品事業者等において衛生品質管理システムの国際基準となるHACCP(ハサップ)の制度化が決まり、今後、導入が義務付けられることになったが(時期は未定だが2020年-2023年頃が目安)、同社が取得しているISO22000やFSSC22000の認証要件としてHACCPの規格が含まれていることから、同社にとっては追い風となる可能性がある。既に、外資系企業ではこれら国際標準規格を認証していることが取引を行ううえでの要件となっており、注文も増加傾向にある。

※ HACCP:食品の製造工程における品質管理システムのことで、食品の中に潜む危害(生物的、化学的あるいは物理的)要因を科学的に分析し、それが除去(あるいは安全な範囲まで低減)できる工程を常時管理し記録する方法。

さらには、生産者と外食・中食企業をつなぐ情報流通機能を持つことも同社の強みとなっている。生産者に対しては、どのような野菜が求められているのか、どれだけの需要量があるのかという情報を提供し、また販売先となる外食・中食企業に対しては野菜の市況やトレンド、高騰した野菜に対する代替メニューの提案などを行っている。特に、ここ数年は天候不順に起因する野菜価格の高騰が、外食企業にとっても悩みのタネとなっており、同社のメニュー提案力等が高く評価されている。同社は10年以上にわたって、野菜の機能性を研究しており、日本中から取り寄せた野菜に関する栄養価などの分析データベースで国内最大規模のデータを蓄積している。この分析データに基づいて、健康増進につながるメニュー提案も行っており、同業他社にはない強みとなっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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