三機工業 Research Memo(4):2019年3月期第2四半期は130.1%の営業増益(1)
[18/12/27]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■三機工業<1961>の業績動向
1. 2019年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
2019年3月期第2四半期の業績は、受注高103,819百万円(前年同期比8.4%増)、売上高80,723百万円(同11.3%増)、売上総利益10,771百万円(同15.6%増)、営業利益1,126百万円(同130.1%増)、経常利益1,540百万円(同61.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益796百万円(前年同期は95百万円の損失)となった。次期繰越高は167,809百万円(前年同期末比14.1%増)と高水準を維持した。前期に引き続き原価管理の徹底、作業効率の向上などを推進したことで利益率も改善、売上総利益率は前年同期比0.4ポイントアップの13.3%となった。
受注高については、建築設備全体の受注高は前年同期比で22.9%増加したが、特に電機・半導体関連の大型物件を中心に産業空調が大幅に増加、ビル空調衛生や電気も堅調に推移した。一方で、プラント設備の受注高は前年同期比33.8%減となったが、前年度の水準が高かった環境システムの受注が同47.2%減となったことが主要因。機械システムはほぼ前年同期並みの受注を確保した。不動産やその他を含めた全体受注額は前年同期を8.4%上回った。売上高も産業空調の大幅増加等により前年同期比11.3%増となり、2019年3月期第2四半期末の次期繰越高は同14.1%増と高水準を維持した。
同社では売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。
a) 原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これに加え下記取り組みにより作業効率が大きく改善したことにより、利益率が向上した。
b) 利益率マイナス要因の減少:業界環境の好転により受注環境が改善し、コストと品質のバランスが取れた受注実態となっている。さらに工程管理を徹底したことから進捗遅れが減少し、特に大型案件での採算性(利益率)が改善した。
c) 現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、同じくサイト業務支援センター(2018年4月からは各支社支店業務として移管し、発展的に収束)による現場業務支援、2016年4月から設計支援センターによる設計業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が表れてきている(作業効率の向上)。
その一方で販管費は実額で814百万円増加したが、売上高が増加していることもあり対売上高比率は前年同期の12.2%から11.9%へ低下した。主な増加要因は通常の経費増に加え、大和地区再開発に関連した費用増、研究開発費増、採用人員増、働き方改革に伴う人件費増などであるが、いずれも想定の範囲内である。売上総利益の増加によってこれらを吸収し、営業利益は前年同期比で大幅増益となった。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は69,993百万円(前年同期比14.4%増)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は前年同期比2.5%減の27,111百万円となったが、前年同期の水準が高かったことを考慮すれば、決して悪い結果ではなかった。産業空調は電機や半導体業界を中心に受注が好調であったことから売上高は29,774百万円(同42.5%増)と絶好調であった。同社が得意とする分野であり、この分野の売上比率が上がったことも全体の利益率改善に寄与している。電気は同1.6%減の8,647百万円であったが、年間20,000百万円台の売上高をキープしており、悪い内容ではなかった。ファシリティシステムは同21.0%増の4,460百万円となり、好調であった。従来、ビル空調衛生が建築設備全体の中で最大規模のサブセグメントであったが、今期は産業空調が大幅増となったことにより、ビル空調衛生を上回る結果となった。
プラント設備合計の売上高は前年同期比1.4%減となった。機械システム事業の売上高は4,377百万円(同3.2%減)、環境システム事業の売上高は6,132百万円(同0.1%減)となり、おおむね前年並みの売上高を維持した。これら設備工事以外では、旧大和事業所跡地の一部を日本生命へ賃貸開始したことなどから、不動産事業の売上高が同7.3%増の923百万円となった。
またセグメント別の経常損益は、建築設備事業が1,600百万円(前年同期比167.6%増)、機械システムが78百万円の損失(前年同期は6百万円の利益)、環境システムが758百万円の損失(前年同期は789百万円の損失)となった。また不動産事業及びその他事業の経常利益は、各々266百万円(前年同期比11.8%増)、26百万円(同35.9%減)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は88,244百万円(前年同期比22.9%増)であった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は順調に受注を獲得し32,385百万円(同12.2%増)となった。産業空調は電機・半導体関連の大型物件を獲得したことなどもあり38,495百万円(同42.3%増)と大幅増となった。電気も12,013百万円(同15.6%増)となり堅調に推移した。ファシリティシステムは5,350百万円(同2.5%減)となり、前年同期比では微減であるが、水準としては堅調であった。
プラント設備事業では、機械システムの受注高は6,536百万円(同0.5%増)と前年並みであったが、前年同期に大型案件を受注したこと(前々年同期は3,287百万円)を考慮すれば好調な結果だったと言える。一方で環境システムの受注高は8,776百万円(前年同期比47.2%減)と大幅減となったが、前年同期の水準が大型DBO※案件の受注などで異常に高かったことなどを考えれば、決して悪い結果ではなかった。この結果、プラント設備事業全体の受注高は15,313百万円(同33.8%減)となり、建築設備と合わせた設備工事全体の受注高は103,557百万円(同9.1%増)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
また設備工事以外の受注高は、不動産923百万円(同7.3%増)、その他320百万円(同5.1%増)となり、調整額を含めた2019年3月期第2四半期の総受注高は103,819百万円(同8.4%増)と高水準を維持した。この結果、期末の次期繰越高も167,809百万円(前年期末比14.1%増)と高水準を維持した。
大型案件(10億円以上)の受注は、計9件、15,873百万円(前年同期は8件、19,052百万円、前々年同期は7件、17,852百万円)であった。前年同期に比べて受注件数は増加し金額は減少しているが、前年同期にDBOの大型案件があったことを差し引くと1件当たりの平均受注額は上昇していると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 2019年3月期第2四半期の業績概要
(1) 損益状況
2019年3月期第2四半期の業績は、受注高103,819百万円(前年同期比8.4%増)、売上高80,723百万円(同11.3%増)、売上総利益10,771百万円(同15.6%増)、営業利益1,126百万円(同130.1%増)、経常利益1,540百万円(同61.7%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益796百万円(前年同期は95百万円の損失)となった。次期繰越高は167,809百万円(前年同期末比14.1%増)と高水準を維持した。前期に引き続き原価管理の徹底、作業効率の向上などを推進したことで利益率も改善、売上総利益率は前年同期比0.4ポイントアップの13.3%となった。
受注高については、建築設備全体の受注高は前年同期比で22.9%増加したが、特に電機・半導体関連の大型物件を中心に産業空調が大幅に増加、ビル空調衛生や電気も堅調に推移した。一方で、プラント設備の受注高は前年同期比33.8%減となったが、前年度の水準が高かった環境システムの受注が同47.2%減となったことが主要因。機械システムはほぼ前年同期並みの受注を確保した。不動産やその他を含めた全体受注額は前年同期を8.4%上回った。売上高も産業空調の大幅増加等により前年同期比11.3%増となり、2019年3月期第2四半期末の次期繰越高は同14.1%増と高水準を維持した。
同社では売上総利益率が改善した要因として以下のような点を挙げている。
a) 原価管理の徹底:以前から進めていた社内での原価管理を徹底、これに加え下記取り組みにより作業効率が大きく改善したことにより、利益率が向上した。
b) 利益率マイナス要因の減少:業界環境の好転により受注環境が改善し、コストと品質のバランスが取れた受注実態となっている。さらに工程管理を徹底したことから進捗遅れが減少し、特に大型案件での採算性(利益率)が改善した。
c) 現場サポート体制の整備:現場の技術者をサポートするため、2015年4月から調達本部による購買業務支援、同じくサイト業務支援センター(2018年4月からは各支社支店業務として移管し、発展的に収束)による現場業務支援、2016年4月から設計支援センターによる設計業務支援、技術エキスパートによる品質監理などを行ってきたが、これらの効果が表れてきている(作業効率の向上)。
その一方で販管費は実額で814百万円増加したが、売上高が増加していることもあり対売上高比率は前年同期の12.2%から11.9%へ低下した。主な増加要因は通常の経費増に加え、大和地区再開発に関連した費用増、研究開発費増、採用人員増、働き方改革に伴う人件費増などであるが、いずれも想定の範囲内である。売上総利益の増加によってこれらを吸収し、営業利益は前年同期比で大幅増益となった。
(2) セグメント別損益状況
建築設備事業の売上高は69,993百万円(前年同期比14.4%増)となった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は前年同期比2.5%減の27,111百万円となったが、前年同期の水準が高かったことを考慮すれば、決して悪い結果ではなかった。産業空調は電機や半導体業界を中心に受注が好調であったことから売上高は29,774百万円(同42.5%増)と絶好調であった。同社が得意とする分野であり、この分野の売上比率が上がったことも全体の利益率改善に寄与している。電気は同1.6%減の8,647百万円であったが、年間20,000百万円台の売上高をキープしており、悪い内容ではなかった。ファシリティシステムは同21.0%増の4,460百万円となり、好調であった。従来、ビル空調衛生が建築設備全体の中で最大規模のサブセグメントであったが、今期は産業空調が大幅増となったことにより、ビル空調衛生を上回る結果となった。
プラント設備合計の売上高は前年同期比1.4%減となった。機械システム事業の売上高は4,377百万円(同3.2%減)、環境システム事業の売上高は6,132百万円(同0.1%減)となり、おおむね前年並みの売上高を維持した。これら設備工事以外では、旧大和事業所跡地の一部を日本生命へ賃貸開始したことなどから、不動産事業の売上高が同7.3%増の923百万円となった。
またセグメント別の経常損益は、建築設備事業が1,600百万円(前年同期比167.6%増)、機械システムが78百万円の損失(前年同期は6百万円の利益)、環境システムが758百万円の損失(前年同期は789百万円の損失)となった。また不動産事業及びその他事業の経常利益は、各々266百万円(前年同期比11.8%増)、26百万円(同35.9%減)となった。
(3) セグメント別受注状況
建築設備事業全体の受注高は88,244百万円(前年同期比22.9%増)であった。サブセグメント別では、ビル空調衛生は順調に受注を獲得し32,385百万円(同12.2%増)となった。産業空調は電機・半導体関連の大型物件を獲得したことなどもあり38,495百万円(同42.3%増)と大幅増となった。電気も12,013百万円(同15.6%増)となり堅調に推移した。ファシリティシステムは5,350百万円(同2.5%減)となり、前年同期比では微減であるが、水準としては堅調であった。
プラント設備事業では、機械システムの受注高は6,536百万円(同0.5%増)と前年並みであったが、前年同期に大型案件を受注したこと(前々年同期は3,287百万円)を考慮すれば好調な結果だったと言える。一方で環境システムの受注高は8,776百万円(前年同期比47.2%減)と大幅減となったが、前年同期の水準が大型DBO※案件の受注などで異常に高かったことなどを考えれば、決して悪い結果ではなかった。この結果、プラント設備事業全体の受注高は15,313百万円(同33.8%減)となり、建築設備と合わせた設備工事全体の受注高は103,557百万円(同9.1%増)となった。
※DBO(Design Build Operate)とは、設計・建設と運営・維持管理を民間の事業者(同社など)に一括発注する方式で、公設民営の1つの方式。
また設備工事以外の受注高は、不動産923百万円(同7.3%増)、その他320百万円(同5.1%増)となり、調整額を含めた2019年3月期第2四半期の総受注高は103,819百万円(同8.4%増)と高水準を維持した。この結果、期末の次期繰越高も167,809百万円(前年期末比14.1%増)と高水準を維持した。
大型案件(10億円以上)の受注は、計9件、15,873百万円(前年同期は8件、19,052百万円、前々年同期は7件、17,852百万円)であった。前年同期に比べて受注件数は増加し金額は減少しているが、前年同期にDBOの大型案件があったことを差し引くと1件当たりの平均受注額は上昇していると言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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