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テクマト Research Memo(6):ネットワークセキュリティ関連需要を背景に、会社計画を上回る可能性が高い

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年3月期の業績見通し
テクマトリックス<3762>の2019年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.2%増の24,500百万円、営業利益が同15.6%増の2,200百万円、経常利益が同5.6%増の2,170百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同6.3%増の1,390百万と増収増益となり、過去最高業績を連続更新する見通しだ。期初会社計画を据え置いた格好だが、第2四半期まで計画を上回る進捗となっているほか、第3四半期の受注状況もネットワークセキュリティ関連を中心に引き続き順調に推移していることから、通期業績も計画をやや上回る可能性が高いと弊社では見ている。ちなみに、第2四半期までの通期計画に対する進捗率は売上高で49.5%、営業利益で42.9%となっており、過去3年間の平均進捗率(売上高47.5%、営業利益33.9%)に対しても上回って推移している。

(1) 情報基盤事業
情報基盤事業は売上高で前期比2.9%増の16,300百万円、営業利益で同横ばいの1,550百万円を見込んでいるが、情報セキュリティ対策への投資意欲は依然旺盛なため、売上高、営業利益ともに計画を上回る可能性が高い。下期はAI技術を活用して未知のマルウェアを高確率で検出するCylanceの次世代アンチウイルス製品のほか、マルウェア感染後の被害を最小限に食い止めることを目的としたTaniumuのEDR製品、クラウドサービス利用時の監視等を行うCASB(キャスビー)※関連製品などが、顧客企業での試験導入期から本格導入期に移行する見込みであり、売上高も本格的に拡大する見通しとなっている。また、次世代ファイアウォールやストレージ、フォレンジック製品なども引き続き増収が見込まれている。

※CASB(Cloud Access Security Broker):企業におけるクラウドサービス利用が進むなかで、情報セキュリティ対策の一環として従業員のクラウドサービス利用をコントロールする企業向けサービスの総称。「可視化」「コンプライアンス」「データセキュリティ」「脅威防御」の4つの柱からなり、具体的な機能には、暗号化、監査、DLP、アクセス制御、不正なふるまい検知、ログ収集、解析などがある。


また、同社は2017年8月よりAWS環境向けに「TRINITY セキュリティ運用監視サービス for AWS」を提供しているが、2018年8月より対象製品としてマカフィー(株)の次世代IPS※の仮想版「McAfee Virtual Network Security Platform」を追加し、AWS運用の最適化とオンプレミス環境と同レベルでの高度なセキュリティ運用監視サービスの提供を実現している。最先端の技術や製品を使ったセキュリティシステムの設計・構築から保守・運用監視サービスまでをワンストップで提供できる強みを生かして、さらなる受注拡大を目指して行く戦略となっている。

※IPS(Intrusion Prevention System):特定のネットワークやコンピュータへの不正な侵入を防御するシステム。


(2) アプリケーション・サービス事業
アプリケーション・サービス事業の売上高は前期比6.9%増の8,200百万円、営業利益は同86.2%増の650百万円を見込んでいる。

医療分野については「NOBORI」の累積導入施設数の目標を1,000に設定、上期はややスローな進捗となったが、下期は順調に進捗する見通しである。下期はグループ展開する医療法人など大型案件の受注獲得が予定されており、売上高は右肩上がりの成長が続く見通しだ。クラウド型PACS市場はオンプレミス型からの移行が進むだけでなく、小規模医療施設での普及も進むと見られており、今後も着実な成長が予想される。特に、200床数以下の小規模病院だけで見ると、PACSの普及率はまだ40%程度の水準であり、潜在的なポテンシャルは大きい。NOBORIでは三井物産グループのネットワークも活用しながら、年間200件ペースで導入施設数の積み上げを目指している。

医療分野では患者向けサービスやAIを活用したサービスの開発を進めている。スマートフォンアプリを使った患者向けサービスは2018年3月期にメディカル・データ・ビジョン<3902>と提携して、一部トライアルでのサービスを開始しているが、同社でも独自開発したアプリでサービス展開していく予定になっている。また、AI分野では2018年10月に大学発ベンチャーのエルピクセルに出資したほか、三井物産グループの持つネットワークも活用しながら、複数の企業と連携して開発を進めている。同社が蓄積する1億件以上の医療画像等の検査情報と、AI技術等を組み合わせたサービスを想定している。検査情報については患者の同意がないと使えないため、今後の課題ではあるものの早期の開発を目指していく。

CRM分野ではコンタクトセンター向けCRMシステム「FastHelp」を中心に、リプレイス需要も含めて売上げが伸長し、利益も増益が見込まれる。ASEAN地域についてはまだ売上規模は小さいものの、2020年3月期には収益に貢献する程度まで売上規模を拡大していきたい考えだ。

ソフトウェア品質保証分野では引き続き自動車業界を中心に、組込みソフトウェアの品質向上や機能安全(セイフティ)に対するテストツールの売上増が見込まれる。また、新商品としてスウェーデンのFOSSID ABが開発したOSS(オープンソースソフトウェア)ライセンス&セキュリティ管理ツール「FOSSID」※の販売を2018年9月より開始しており、下期からの売上貢献を見込んでいる。開発現場でOSSを利用するケースが増加するなかで、OSSのライセンス違反やセキュリティの脆弱性などのリスクも増大するといった課題も出てきており、「FOSSID」はこうした課題に対応するツールとなる。また、インターネットサービス分野では前述したように受託開発型中心の事業構造から自社サービス型に切り替えている段階であり、2019年3月期は売上規模を追わずに自社サービスの開発に注力していく期間と位置付けている。

※「FOSSID」:最新鋭のスキャニングエンジンと膨大なオープンソース情報のナレッジベースによるOSSライセンス&セキュリティ管理ツール。ソースコードをスキャンし、OSSの有無を確認し、そのライセンスポリシーやセキュリティ脆弱性を把握することにより、OSSのライセンスに関して早期にリスク対応を行うことが可能となる。


(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)



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