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アルファ Research Memo(5):次期中期経営計画では、100年企業を目指す

注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略

1. 100年企業を目指し新たな成長ステージを模索
アルファ<3434>は2016年6月に2016年度から2018年度を対象期間とする中期経営計画を策定した。この中で、2018年度売上高600億円、営業利益率5%以上の達成を目指している。基本方針として「収益基盤の強化」、「新事業・新商品開発」、「人材育成」の3つの方針を掲げ、100年企業を目指すワンステップとしている。

2. 各事業の展望
(1) 自動車部品事業の展望
自動車部品事業は、国内生産を集約化、合理化し、営業黒字化を目指す。現状、損益分岐点売上を3年前と比較し20億円引き下げに成功、2019年3月期には営業黒字化が実現できる見通しとしていたが、ルノー、日産、三菱の3社連合の行方の不透明感が増し、2020年3月期以降の方向性にも暗雲が漂う。本来は、主要顧客である日産自動車が三菱自動車工業を傘下に収めたことから、今後の採用が高まるとみられていたが、今回の件で採用の遅延が懸念される。一方海外はASSA ABLOY ABのカーアクセス・セキュリティ事業が2018年3月期よりフルに寄与している。しかも同社は2018年10月2日に自動車部品の塗装事業を主力とするSPPPの持株会社であるフランスALTの全株式の取得、欧州でのドアハンドルビジネスの構築を行うこととなった。この取得により、欧州でもキーセットビジネスに加え成長が見込めるドアハンドルビジネスが加わることでシナジー効果も期待される。中期的には日産グループ以外での拡販、とりわけVWへの拡販が、欧州をスタートに中国を含めた事業拡大となればグローバル化に弾みがつく可能性がある。また同社はコア技術である認証技術/センサー技術/防盗技術を駆使し、ハンド式バックドアセンサーを2013年に市場投入以降、サイドドア/スライドドア含めた開き物への応用製品の開発にも着手している。さらに今後、自動運転システム対応では、ドアハンドルについてインテリジェントキーと交信するアンテナ内蔵ドアハンドルを高度化し、新たな市場拡大への期待もある。またASSA ABLOY ABは欧州で先行普及しているカーシェアリングに対するキー管理システムのノウハウを生かし、業務用シェアリングビジネスで新たなビジネス展開も期待される。なお、同ビジネスには競合企業であるユーシン<6985>がミネベアミツミ<6479>の傘下に入り、アンテナや自動運転を含めた新たなソリューションビジネス展開を始める動きにあるが、同社はあくまでドアハンドルとキーセットビジネスにこだわり、得意分野でのビジネスに特化して拡大してゆく意向である。

(2) セキュリティ機器事業の展望
セキュリティ機器事業については、住宅・産業用ロック部門ではメカ・シリンダーと、エレクトロニクスによる識別技術を組み込んだメカトロニクス商品をさらに高度化、edロックシリーズを核に電子化を推進する。ホームオートメーションシステムへの接続や、スマートフォンでの施解錠状態の確認等の機能などだけでなく、賃貸管理会社の働き方改革・効率化などの新分野で展開も期待される。

ロッカーシステムについてはネット通販市場の急拡大に伴い、宅配物の再配達削減に貢献する取り組みとして、同社は鉄道駅に展開しているコインロッカーで受け取りを可能とするシステムを京王線で開始、システム運用ビジネスを始めた。現在、インバウンド拡大によるコインロッカーオペレーション収入なども増えつつあるが、今後はスマートフォンで指紋認証、ドローン配送など、次々と新サービスが出現する中でセキュリティ分野での新たな取り組みも期待できる。なお、同分野についてもネットワークビジネスを広く展開するのではなく、あくまでもロッカー管理に特化して事業展開する方向である。

(3) 新たな成長ステージを模索
同社は2023年に創業100周年を迎えるが、次期中期経営計画では自動車部品事業の日本での黒字化の定着とユニット化など付加価値拡大、欧州事業ではキーセットに加えドアハンドルビジネス展開、アジア地区でも中国へ新たなビジネス展開を図る計画。またセキュリティ事業では安全・安心、IoTをにらんだ新たな製品投入、システム化などを模索することとなるだろう。このため新中期経営計画では量的拡大を目指すよりも、いかに付加価値の高いビジネスを増やすかに主眼を置く方向にある。現在、米中貿易摩擦、日米についても自動車関税問題の行方の不透明感、さらには自動運転をめぐり5G技術を含め業界地図の変化もあり得るなかで、2019年度、2020年度は100周年に向け、企業体質強化と次の100年に向けての種まきの時期になるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 岡本 弘)



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