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フリービット Research Memo(3):ブロードバンド/アドテクノロジー事業が収益源。ヘルステック事業が急成長

注目トピックス 日本株
■フリービット<3843>の事業概要

1. ブロードバンド事業
ブロードバンド事業は、ISP向け事業支援サービス、一般法人や集合住宅及び個人向けの固定回線によるインターネット接続サービスを主に提供する。固定網による通信サービス市場は、高速ブロードバンド環境の普及が一巡したことに加え、モバイル網による通信サービスの高速化の影響もあり全体としては成長が緩やかになっている。その中で、ギガプライズのマンションインターネット事業は、超大手ハウスメーカー複数社との協業開始により導入が加速しており、導入実績は累計で30.6万戸(前期末比4.8万戸増加)と高い成長を維持している。ブロードバンド事業の2019年4月期第2四半期の売上高は前年同期比27.2%増の7,185百万円、セグメント利益は同29.1%減の650百万円と増収減益となった。“不動産テック”を推進する子会社フォーメンバーズに戦略的な先行投資(約356百万円)を行っていることが減益の主な要因である。

2. モバイル事業
モバイル事業は、MVNO向け事業支援(MVNE)サービス及び個人向けモバイル通信サービスを行う。主要顧客であるMVNO事業者の経営戦略から影響を受けるため、事業環境は不透明な面がある。2019年4月期第2四半期の売上高は前年同期比7.0%減の4,109百万円、セグメント利益が76百万円(前年同期は312百万円のセグメント損失)と減収増益となった。減収の要因としては、通信キャリアの卸値の低下などが挙げられる。一方、セグメント利益は改善基調であり、2018年4月期第4四半期以降3四半期連続の黒字となった。MVNEサービスの利益増やDTI SIMの販促費抑制による収益改善が主な要因である。なお、持分法適用関連会社トーンモバイルは、独自の戦略が奏功し、2018年9月に単月黒字化を達成した。

3. アドテクノロジー事業
アドテクノロジー事業は、法人向けにインターネットマーケティング関連サービスを提供する。インターネット広告市場は、従来型の予約型広告からリスティング広告やアドテクノロジー活用広告といった運用型広告への移行が進む。なかでも動画広告やソーシャルメディア広告、モバイル向け広告などが市場成長をけん引する。主力の広告運用総合プラットフォーム「AD MATRIX」は、新たに動画機能及び独自データ確保により更なる進化を遂げており、DSP※1国内No.1の地位にある。また、アフィリエイト・サービス・プロバイダー(ASP)※2であるフォーイットが提供するアフィリエイトプラットフォーム「afb」※3は、その独自の機能が評価されアフィリエイター利用満足度No.1を連続で獲得する。「afb」は現在海外展開を加速しており、台湾に続き、マレーシア、シンガポールにおいて展開を始めた。

※1 Demand Side Platform。
※2 成功報酬型広告を配信するサービス・プロバイダー。
※3 約55万を超えるパートナーサイトをネットワーク化。PCのノウハウを生かし、タブレット・スマートフォン・モバイルでもサービスを展開している。旧名称は「アフィリエイトB」。


2019年4月期第2四半期の売上高は前年同期比1.7%増の8,112百万円、セグメント利益は同21.7%減の575百万円と売上微増とともに減益となった。売上高が横ばいとなった背景には、検索エンジンのアルゴリズム変更の影響がある。減益の要因としては、インキュベーション(新規事業、M&A)関連の人材投資・体制強化により販管費が増加したことが挙げられる。

4. クラウド事業
クラウド※事業は、法人向け及び個人向けクラウドサービスを展開する。同社の他事業にとっても不可欠の基盤である。2019年4月期第2四半期の売上高は前年同期比7.4%減の837百万円、セグメント損失は29百万円(前年同期は6百万円のセグメント利益)と減収となり、損失を計上した。レガシーサービスの整理が続いたことが損失計上の主な要因である。

※クラウドとは、ソフトウェア等をネットワーク越しに利用者に提供する仕組みや、そのデータが蓄積・運用されているデータセンターやサーバー群の総称。このうちパブリッククラウドとは、インターネットから誰でも利用できるようなサービスやシステムを言う。一方、プライベートクラウドとは、大企業などが自社ネットワーク上で利用するためのサービスやシステムを言う。そして、ハイブリッドクラウドとは、その両方を組み合わせたもので、それぞれの長所を組み合わせることでセキュリティ管理やコスト管理を向上させることができる。


5. ヘルステック事業
ヘルステック事業は、薬局総合ポータルサイト「EPARKくすりの窓口」の運営を始めとする薬局向けソリューションサービスを提供する。母体となるのは、2016年9月に株式を取得し(議決権所有率47.5%)、連結子会社化したEPARKヘルスケア。2017年2月にはフリービットEPARKヘルスケアに社名変更した。事業構想としては、エンドユーザー(患者)と調剤薬局をつなぐメディア・プラットフォームを同社の技術力で進化させ、エンドユーザーへ情報提供や利便性の高い予約・配送サービス等を行うというもの。収入モデルは、患者送客に伴う手数料、予約システム利用料などである。エンドユーザー(患者)向けの無料アプリ「EPARKお薬手帳」は、薬局の受取予約・服用アラーム・お薬情報の登録などの利便性の高い機能が話題を呼び、マスメディアでの露出も手伝い、累計42万ダウンロード(2018年10月)を突破し、同種のアプリではNo.1の実績である。薬局での予約件数も右肩上がりであり、薬局予約件数も増えている。2019年4月期第2四半期の売上高は前年同期比164.6%増の1,401百万円と大幅な成長、セグメント損失は70百万円(前年同期は490百万円のセグメント損失)と大幅に改善した。なお、本セグメントの中核会社であるフリービットEPARKヘルスケアは、2017年11月には単月黒字を達成し、以来黒字を継続している。2018年4月期には、ヘルステック事業の更なる拡充に向けて、介護記録システム事業の譲受及び介護施設とのパイプを持つ企業との合弁会社設立を行っている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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