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フェローテク Research Memo(6):半導体製造装置業界向け中心に需要堅調。下方修正あるも利益予想は据え置き

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年3月期の業績見通し
フェローテックホールディングス<6890>の2019年3月期の業績は、売上高92,000百万円(前期比1.5%増)、営業利益9,800百万円(同16.2%増)、経常利益8,500百万円(同18.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益5,300百万円(同97.9%増)が見込まれている。売上高は期初予想(98,000百万円)から下方修正されたが、主に太陽電池事業が当初見込みより大きく下振れしているためである。一方で利益面では、太陽電池事業は元々損失予想であったことから、通期の利益予想は変更されていない。半導体業界全体の動きは、一時期の過熱状況からペースダウンしつつあるが、絶対的なレベルは依然として高水準であり、同社でも期初の目標は達成できると考えている。

設備投資額も期初計画の40,000百万円から30,000百万円程度となる見込みだが、下方修正と言うより後ずれなので、反対に2020年3月期の設備投資は増額となる可能性が高い。

2. セグメント別見通し
セグメント別売上高、サブセグメント別売上高の予想は以下のようになっている。

(1) 半導体等装置関連:売上高57,699百万円(前期比30.7%増)
a) 真空シール関連事業の売上高は13,869百万円(同17.9%増)が予想されている。半導体製造装置向けはメモリー系投資延期の影響で、若干弱含みの可能性がある。FPD市場では、有機EL・液晶とも需要は弱含みの見通し。受託加工の需要は、太陽電池、半導体製造装置以外の需要を取り込み、稼働率を維持する計画だ。

主な施策は半導体製造装置メーカーとの共同開発を継続、大型加工機の設備投資を継続、同社グループ間の関係を強化してシナジー効果を得ること、グループ各社の既存チャネル・ブランドを活用し中国市場での営業を強化することである。

b) 石英製品の売上高は14,900百万円(同29.3%増)が予想されている。メモリー系(DRAM、3D-NAND)を中心に、半導体製造装置投資は延期案件も相次ぐが、消耗品比率の高い石英製品については、需給の逼迫が継続しており、下期も高稼働維持の見通し。下期も中国半導体メーカーの増産、新FAB向け需要が旺盛の見込み。微細化高温プロセス向けのSiポート、Siパーツも増加の見通し。

主な施策としては、大手OEM需要に対応するため設備を大幅に増設する(中国常山工場、東台工場の2拠点新工場着工)。さらに次世代、次々世代用の開発案件への取り組みを強化する。

c) セラミックス製品の売上高は11,100百万円(前期比27.2%増)が予想されている。マシナブルセラミックスでは、海外半導体検査治具材料の販売が堅調見込みである。ファインセラミックスでは、海外エッチング装置部品が堅調である。一方で、国内半導体成膜装置部品の需要は低迷している。また、国内FPD向け装置部品も低調である。

継続販売方針としては、マシナブルセラミックスでは車載向けなど熱特性、電気特性に優れた高付加価値製品の拡販に取り組む。ファインセラミックスでは、電気特性に優れたセラミック部材及び表面処理強化品など客先需要に適合する製品の販売増加を目指す。

d) CVD-SiC製品の売上高は2,900百万円(同4.6%減)とほぼ横ばいが予想されている。国内外の半導体製造装置向け部材は好調持続予想である。高純度耐熱部品の需要も増加している。

施策としては、半導体製造装置メーカーからの部品需要に対応するため生産体制を強化する。開発、試作体制を強化し、グループ内連携も強化する方針である。

e) 半導体ウェーハ加工の売上高は6,600百万円(同27.9%増)が予想されている。6インチは既に40万枚/月体制が整っており、引き続き高稼働を維持する見込み。また8インチについては、既に上海工場で生産を再開しているが、2019年には10万枚体制になる予定である。さらに今後は、後述するように杭州に新工場を建設し、2021年3月期までに月産45万枚体制にする計画だ。

f) 部品洗浄:「その他」セグメントから分離し、2019年3月期から半導体等装置関連事業の新しいサブセグメントとして開示されており、2019年3月期の売上高は3,700百万円(同47.4%増)が予想されている。安徽(アンキ)省に新拠点、四川省内江に第2工場を建設予定で、更なる増産体制を強化する。

(2) 電子デバイス:12,000百万円(前期比5.5%減)
a) サーモモジュール製品の売上高は11,050百万円(同5.0%減)と微減収が予想されている。自動車向けでは、温調シートは引き続き低調の見込みで下期も上期並みの売上を維持する計画。次世代の自動車用途への応用製品の開拓を進める。その他の産業用では、民生用アッセンブリーが堅調で、光通信用途も堅調を継続する見込み。

施策としては、TEのサブアッセンブリ製品の世界的拡販活動を展開する。自動車向けアプリケーション開拓を実施する。

b) 磁性流体・その他の売上高は950百万円(同11.0%減)が予想されている。

(3) 太陽電池:9,000百万円(前期比57.0%減)
a) 石英坩堝の売上高は1,404百万円(同24.1%減)と予想されている。半導体向けの販売が好調、8インチ向け大型坩堝も増加している。坩堝は半導体向けが中心となりつつあり、高付加価値のため売上総利益は増加傾向である。太陽電池向けは一部の大口径のみ販売する。

施策としては、半導体向けに注力し、拡販を目指す。半導体坩堝専用の工場(クリーン化、自動化後工程)の新棟が完成し、2018年内稼動予定。近い将来32インチ化に備え大型溶解炉の開発に取り組む。早ければ、2019年上期に量産開始を目指す。

b) 太陽電池用シリコンの売上高は4,371百万円(同66.5%減)と大幅減収予想。市場価格は引き続き低水準で推移する見込みなので、当面はOEM(加工賃ビジネスなので評価損が出ない)に特化し、稼働率と採算性の確保に注力する。

施策としては、OEM品の高品質化を図り、低酸素化、スライス細線化を進める。不採算品種は生産調整を継続し、在庫処理をさらに進める。

c) シリコン結晶製造装置の売上高は125百万円(同20.3%減)の見込み。引き続き縮小が予想される一方で、半導体用に内製化を進める。

d) セル・その他の売上高は3,100百万円(同47.1%減)と大幅減収が予想されている。価格は引き続き低水準で推移する見込みで、OEMを拡大し採算改善を図る。

(4) その他:13,301百万円(前期比3.9%増)
2019年3月期から半導体製造装置の部品洗浄事業が半導体等装置関連に分離されるが、セグメントとしての売上は微増の見通しである。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)



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