ハウスコム Research Memo(1):都市集中化やIT化の流れにいち早く対応し、業界トップクラスの成長
[19/01/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ハウスコム<3275>は、賃貸住宅の仲介及び周辺サービスを行う大東建託<1878>グループの成長企業である。住宅需要の高い首都圏と東海圏を中心に直営173店舗(2018年10月末)を展開し、賃貸住宅の仲介件数では業界4位規模である。2011年6月、大証JASDAQ市場(現東証JASDAQ市場)に上場した。近い将来には東証本則市場への市場変更を視野に入れていることも公表している。
2014年3月に代表取締役社長に就任した田村穂(たむらけい)氏は、4年にわたりリーダーシップを発揮し、収益構造を改善・維持しながら、事業規模の拡大を行ってきた。営業収益は、8,244百万円(2014年3月期)から10,822百万円(2018年3月期)に31.3%増加し、当期純利益は、402百万円(2014年3月期)から856百万円(同)に112.7%増加し、5年連続の増収増益に導いた。この4年間に、積極的かつ立地を吟味した店舗網の拡大(純増30店舗)、WebやAIなどのITツールの積極活用、リフォーム事業への進出・拡大などを成功させている。
1. 市場環境・強み
全国の世帯数は、2023年をピークにその後急速に減少に転じるが、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)及び愛知県においては、2025年まで世帯数が増加し、それ以降の減少も他の地域よりも緩やかなペースになると予測されている。同社は2019年1月21日現在178の直営店舗を持つが、首都圏や愛知県などの都市部に集中し、市場の成長を追い風にする戦略を実行する。また、顧客に関しては、インターネットやスマートフォンの普及により、不動産を選ぶ顧客の行動様式は大きく変わった。特に情報検索の仕方、意思決定の仕方は様変わりし、その変化に追従できない不動産業者は機会を失うことになる。同社では、「リアル店舗」を持つ強みを生かして地域情報を収集し、様々な「ITツール活用」を通じて顧客の検討を助け、その両方の相乗効果で成約を獲得する戦略である。賃貸仲介事業を行う上場企業において、営業収益及び営業利益の成長性を比較すると、同社の成長性はいずれもトップクラスであり、市場環境への高い対応力が数字でも確認できる。
2. 業績動向
2019年3月期第2四半期の業績は、営業収益で前期比7.3%増の5,268百万円、営業利益で同18.7%減の264百万円と、ほぼ計画どおりの増収減益となった。上期において増収をけん引したのはリフォーム事業である。本格参入から4年目を迎え、既存店売上が増加したことに加え、2018年6月には太田(群馬県)に営業所を開設し全国7営業所体制とエリアも拡大した。新規出店に伴う人件費増加などにより減益となったが、上期の営業利益計画より87百万円超過しており、また出店(2018年10月までに9店舗)及び増員(前年同期比49名増)も予定の範囲であり、先行投資が順調に進んでいると評価したい。
2019年3月期通期の業績は、営業収益で前期比4.9%増の11,355百万円、営業利益は同1.9%増で1,096百万円と期初の予想を据え置く。営業収益に関しては、新規出店及び店舗競争力の強化、収益源の多様化の推進により着実な成長を狙う。営業収益計画に対する第2四半期進捗率は46.4%(前年同期は45.4%)と前期を超える。リフォーム事業を中心に収益構造の多様化も進んでいる。営業利益の計画に対する第2四半期進捗率は24.2%(同30.3%)ではあるが、繁忙期が2月−3月となる業界特性から、例年どおり下期偏重の業績を見込む。今期は4月の新卒採用を75名(前期は49名)と増やしたため、育成期間の人件費負担が重かったが、戦力となって繁忙期を迎えるため下期は業績貢献が期待できる。
3. 成長戦略
同社は2019年3月期を初年度、3年後の2021年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定している。3年後の2021年3月期に営業収益で12,420百万円、営業利益1,180百万円、期末店舗数195店舗を目標としている。過去4回の中期経営計画はいずれも前倒しに達成しており、今回も保守的な計画値と見た方がよい。あくまで弊社試算ではあるが、店舗数の増加(31店舗増)ペースで成長すると、売上高で13,100百万円前後まで到達すると推計できる。
リフォーム事業は、4年目を迎え、本格的な成長期に入った。2019年3月期第2四半期の営業収益は410百万円(前年同期は195百万円)と倍増の勢いだ。2018年6月には7営業所目になる太田店(群馬県)を新設した。元々「大家さんへのお役立ち」を主目的として開始されたサービスではあるが、案件をこなすなかでメニューも増え、運営も効率化され、既に黒字化している。今後は、現在主体となっている“空室を埋めるための軽微なリフォーム”に加え、“資産価値を大幅に高めるための本格リフォーム”を増やしていく方針である。
4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。企業価値を継続的に拡大し株主への利益還元を行うことを重要な経営課題と位置付けており、配当性向「30%」の継続を基本方針とする。2018年3月期の1株当たり配当金は年間33.5円(中間15.5円、期末18.0円)※、配当性向30.2%と5年連続増配を達成した。株式分割後も配当性向30%の基本方針は継続され、2019年3月期は、増益予想を背景に、年間35.0円(中間17.0円、期末18.0円)、配当性向30.7%と6年連続の増配を予想する。株主優待も拡充されており、株式1単元(100株)以上保有する株主に対し、9月末と3月末の年2回、いずれもQUOカード1,000円分が贈呈される。2018年4月に1株を2株にする株式分割が行われたことにより流動性が高まった。
※株式分割を行う前の配当金は、年間67円(中間31円、期末36円)であった。
■Key Points
・都市集中化やIT化の流れにいち早く対応。業界トップクラスの成長性
・強みは「不動産テック」と「豊かな地域情報」による店舗競争力
・中期経営計画はやや保守的。新店計画と好調なリフォーム事業を加味するとさらに大きな成長が期待できる
・配当性向30%維持方針。過去5年連続増配の実績。株主優待も拡充
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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ハウスコム<3275>は、賃貸住宅の仲介及び周辺サービスを行う大東建託<1878>グループの成長企業である。住宅需要の高い首都圏と東海圏を中心に直営173店舗(2018年10月末)を展開し、賃貸住宅の仲介件数では業界4位規模である。2011年6月、大証JASDAQ市場(現東証JASDAQ市場)に上場した。近い将来には東証本則市場への市場変更を視野に入れていることも公表している。
2014年3月に代表取締役社長に就任した田村穂(たむらけい)氏は、4年にわたりリーダーシップを発揮し、収益構造を改善・維持しながら、事業規模の拡大を行ってきた。営業収益は、8,244百万円(2014年3月期)から10,822百万円(2018年3月期)に31.3%増加し、当期純利益は、402百万円(2014年3月期)から856百万円(同)に112.7%増加し、5年連続の増収増益に導いた。この4年間に、積極的かつ立地を吟味した店舗網の拡大(純増30店舗)、WebやAIなどのITツールの積極活用、リフォーム事業への進出・拡大などを成功させている。
1. 市場環境・強み
全国の世帯数は、2023年をピークにその後急速に減少に転じるが、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)及び愛知県においては、2025年まで世帯数が増加し、それ以降の減少も他の地域よりも緩やかなペースになると予測されている。同社は2019年1月21日現在178の直営店舗を持つが、首都圏や愛知県などの都市部に集中し、市場の成長を追い風にする戦略を実行する。また、顧客に関しては、インターネットやスマートフォンの普及により、不動産を選ぶ顧客の行動様式は大きく変わった。特に情報検索の仕方、意思決定の仕方は様変わりし、その変化に追従できない不動産業者は機会を失うことになる。同社では、「リアル店舗」を持つ強みを生かして地域情報を収集し、様々な「ITツール活用」を通じて顧客の検討を助け、その両方の相乗効果で成約を獲得する戦略である。賃貸仲介事業を行う上場企業において、営業収益及び営業利益の成長性を比較すると、同社の成長性はいずれもトップクラスであり、市場環境への高い対応力が数字でも確認できる。
2. 業績動向
2019年3月期第2四半期の業績は、営業収益で前期比7.3%増の5,268百万円、営業利益で同18.7%減の264百万円と、ほぼ計画どおりの増収減益となった。上期において増収をけん引したのはリフォーム事業である。本格参入から4年目を迎え、既存店売上が増加したことに加え、2018年6月には太田(群馬県)に営業所を開設し全国7営業所体制とエリアも拡大した。新規出店に伴う人件費増加などにより減益となったが、上期の営業利益計画より87百万円超過しており、また出店(2018年10月までに9店舗)及び増員(前年同期比49名増)も予定の範囲であり、先行投資が順調に進んでいると評価したい。
2019年3月期通期の業績は、営業収益で前期比4.9%増の11,355百万円、営業利益は同1.9%増で1,096百万円と期初の予想を据え置く。営業収益に関しては、新規出店及び店舗競争力の強化、収益源の多様化の推進により着実な成長を狙う。営業収益計画に対する第2四半期進捗率は46.4%(前年同期は45.4%)と前期を超える。リフォーム事業を中心に収益構造の多様化も進んでいる。営業利益の計画に対する第2四半期進捗率は24.2%(同30.3%)ではあるが、繁忙期が2月−3月となる業界特性から、例年どおり下期偏重の業績を見込む。今期は4月の新卒採用を75名(前期は49名)と増やしたため、育成期間の人件費負担が重かったが、戦力となって繁忙期を迎えるため下期は業績貢献が期待できる。
3. 成長戦略
同社は2019年3月期を初年度、3年後の2021年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定している。3年後の2021年3月期に営業収益で12,420百万円、営業利益1,180百万円、期末店舗数195店舗を目標としている。過去4回の中期経営計画はいずれも前倒しに達成しており、今回も保守的な計画値と見た方がよい。あくまで弊社試算ではあるが、店舗数の増加(31店舗増)ペースで成長すると、売上高で13,100百万円前後まで到達すると推計できる。
リフォーム事業は、4年目を迎え、本格的な成長期に入った。2019年3月期第2四半期の営業収益は410百万円(前年同期は195百万円)と倍増の勢いだ。2018年6月には7営業所目になる太田店(群馬県)を新設した。元々「大家さんへのお役立ち」を主目的として開始されたサービスではあるが、案件をこなすなかでメニューも増え、運営も効率化され、既に黒字化している。今後は、現在主体となっている“空室を埋めるための軽微なリフォーム”に加え、“資産価値を大幅に高めるための本格リフォーム”を増やしていく方針である。
4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。企業価値を継続的に拡大し株主への利益還元を行うことを重要な経営課題と位置付けており、配当性向「30%」の継続を基本方針とする。2018年3月期の1株当たり配当金は年間33.5円(中間15.5円、期末18.0円)※、配当性向30.2%と5年連続増配を達成した。株式分割後も配当性向30%の基本方針は継続され、2019年3月期は、増益予想を背景に、年間35.0円(中間17.0円、期末18.0円)、配当性向30.7%と6年連続の増配を予想する。株主優待も拡充されており、株式1単元(100株)以上保有する株主に対し、9月末と3月末の年2回、いずれもQUOカード1,000円分が贈呈される。2018年4月に1株を2株にする株式分割が行われたことにより流動性が高まった。
※株式分割を行う前の配当金は、年間67円(中間31円、期末36円)であった。
■Key Points
・都市集中化やIT化の流れにいち早く対応。業界トップクラスの成長性
・強みは「不動産テック」と「豊かな地域情報」による店舗競争力
・中期経営計画はやや保守的。新店計画と好調なリフォーム事業を加味するとさらに大きな成長が期待できる
・配当性向30%維持方針。過去5年連続増配の実績。株主優待も拡充
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)
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