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ハウスコム Research Memo(3):都市集中化やIT化の流れにいち早く対応。業界トップクラスの成長性

注目トピックス 日本株
■市場環境・ベンチマーク

賃貸仲介市場は、世帯数の推移に影響を受ける。全国の世帯数は、2023年をピークにその後急速に減少に転じる。しかし、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)及び愛知県においては、2025年まで世帯数が増加し、それ以降の減少も他の地域よりも緩やかなペースになると予測されている(国立社会保障・人口問題研究所)。ハウスコム<3275>は2018年10月末時点で173の直営店舗を持つが、首都圏に112店舗(構成比64.7%)、愛知県で27店舗(構成比15.6%)であり、市場の成長を追い風にする戦略を実行する。顧客が40代を中心に“持家志向”から“賃貸志向”に変化していることも賃貸市場の成長を後押ししている。

また、顧客に関しては、インターネットやスマートフォンの普及により、不動産を選ぶ顧客の行動様式は大きく変わった。特に情報検索の仕方、意思決定の仕方は様変わりし、その変化に追従できない不動産業者は機会を失うことになる。同社では、「リアル店舗」を持つ強みを生かして地域情報を収集し、様々な「ITツール活用」を通じて顧客の検討を助け、その両方の相乗効果で成約を獲得する戦略である。

競合環境も変化をしている。マクロでは宅建業者の数は個人営業が減り、法人事業者は増える傾向にある(国土交通省)。特に賃貸仲介ではチェーン化した企業グループが業界内のポジションを高めている。2018年は大手不動産企業(及び金融機関)のコンプライアンスに関わる不祥事が相次いだ。シェアハウス経営やアパート経営へのずさんな融資などはその代表例である。同社では、新卒を中心に営業人員を確保し、直営店ならではの充実した社員教育を行うことで他社との差別化を図る戦略である。

同社は、週刊全国賃貸住宅新聞が発表した賃貸仲介件数ランキング(直営店のみ、2016年10月−2017年9月)において、大東建託(1位)、(株)ミニミニ(2位)、に次ぐポジションに位置している※。今回の調査では前回2位であった(株)エイブルが回答していないため、実質的に4位のポジションと位置付けられる。競合他社には、仲介手数料を半額にするなど価格面の競争を指向する不動産業者もあるが、同社はサービス内容の充実を図ることで顧客満足度を高め、価格競争を回避している。賃貸仲介事業を行う上場企業において、営業収益及び営業利益の成長性を比較すると、同社の成長性の高さが浮き彫りになる。具体的には、2014年3月期から2018年3月期までの4年間に、同社は営業収益で年平均7.0%、営業利益で33.9%の成長を遂げている。増収率でトップクラス、増益率では抜きん出た業績である。積極的な新規出店とともに、ITツールを活用して店舗の競争力及び生産性を向上させてきたことが結果に表れている。

※2016年10月−2017年9月は大東建託グループとして集計されているが、同社単体の賃貸仲介件数はランキングにおいて実質4位である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田 秀夫)



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