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学研HD Research Memo(3):教育関連書籍を中心とした出版事業と、各種サービスを提供する事業で構成

注目トピックス 日本株
■会社概要

3. 教育コンテンツ事業
学研ホールディングス<9470>の教育コンテンツ事業は売上高の28%、営業利益の15%を占めている。このセグメントは基本的には従来の出版事業を引き継いだものとなっている。しかし紙からデジタルへという流れのなか、収益強化のためにはサービスやソリューションを提供していく必要があり、現在では、1)出版、2)出版以外、の2つのサブセグメントで事業を展開している。

出版については、収益性改善に向けた事業構造改革や、同社の事業ドメインを教育と医療福祉の2分野にするという経営の選択と集中のなかで、教育関連の比率が大きくなり、一般の雑誌やムック類の構成比は低下してきた状況にある。出版については(株)学研プラスと(株)文理が主要事業会社となっており、教育関連では学習参考書、辞書、児童書、大人の学びなどを発行している。教育以外では実用書、一般・専門書、雑誌など幅広いジャンルの書籍を発行している。出版事業全体としては黒字となっているが、個々の雑誌や書籍では不採算事業がまだ残っており、これらの整理は今後も継続する見通しだ。

出版以外の事業は“学研”ブランドや過去から蓄積してきたコンテンツを活用して出版の枠を超えたデジタル、受託サービス、通販、Web広告、イベント、プロパティライセンスなどを展開するサブセグメントだ。主要なサービスとして電子書籍の販売、高校生向け映像授業「学研プライムゼミ」の学校・家庭への販売や、多世代向け英語事業の展開などがある。また、文具・玩具類の企画販売も行っている。

教育コンテンツ事業は2018年−2019年の現在、大きな変革期にある。出版以外の分野で事業の柱と期待された学研プライムゼミと学研ゼミが、収益化には至らず、学研ゼミについては2019年3月でのサービス終了を発表した。一方で、同社が力を入れている英語教育の分野では、出版事業で英検対策の参考書シリーズを発刊。また、出版以外では東京都の「英語村」構想で事業者に選定され、TGGをオープンさせたほか、オンライン英会話の販売強化に取り組んでいる状況にある。


幼稚園・保育園向けの物販・幼児教室運営と、小中学校向け教科書の発行が事業の柱

4. 教育ソリューション事業
教育ソリューション事業は売上高の18%、営業利益の18%を占めている。このセグメントは従来の園・学校事業セグメントを引き継いだものだ。事業の内容は向け先別に、1)幼稚園・保育園向け(幼児教育)と、2)小中高向け(学校教育)の2つに分けられている。

幼稚園・保育園向けの事業は、出版物(絵本など)や保育用品、備品、園服などのいわゆる物販事業、園舎設計等と、幼児教室事業の2つに大別される。幼児教室事業は、同社が幼稚園内において知育や科学、英語などのお稽古教室の運営を行うもので、言わば学校内塾の幼児版と言え、少子化の現状でも成長分野の事業となっている。

小中高向けの事業では、教科書、教科書指導書、特別支援教材や小論文や模擬試験などの制作・販売を手掛けているが、中心は教科書の発行事業だ。同社は小・中学校向けの「道徳」と、小学校向け「保健」・中学校向け「保健体育」の教科書を手掛けている。道徳は従来は教科ではなく、道徳の副読本の出版にとどまっていたが、指導要領が改定されて道徳が正式に教科となった。これによって、道徳の教科書はもちろん、指導書や補助教材など商機が拡大した状況にある。

教科書の市場シェアは、中学校・保健体育及び小学校・保健ともに約40%のトップシェア(トップタイも含む)を有している。一方、道徳については小学校が約15%、中学校が約6%にとどまっており、今後の拡大余地が大きい状況にある。


サービス付き高齢者向け住宅と保育園・学童施設の運営、医療従事者向け出版事業を展開。グループホーム運営にも新たに着手

5. 医療福祉サービス事業
医療福祉サービス事業は売上高の23%、営業利益の28%を占めている。前述のように、現在では、1)介護(高齢者支援)、2)保育(子育て支援)、3)医療(医学看護出版)の3つのサブセグメントで事業を展開している。

介護事業では、同社は2004年に介護事業に進出して以来、「ココファン」ブランドでサービス付き高齢者向け住宅(以下、「サ高住」と省略)を全国に展開してきた。他に老人ホーム、デイサービス事業所も運営している。主力のサ高住については、2018年9月時点で全国で126ヶ所(総戸数5,884戸)を運営している。地域的には首都圏(東京・埼玉・神奈川・千葉)に加えて中部、西日本(静岡・愛知・石川・京都・大阪・岡山・愛媛・熊本)にも展開している。

サ高住については、主にサブリース型のスキームを活用することで同社自身は土地建物を保有せず、ほぼ施設の運営に特化している。この事業モデルの採用で、バランスシートのスリム化と出店スピードの加速の両立を実現してきた。

介護事業では2018年9月に大きな進捗があった。同社は、認知症ケアの施設型介護であるグループホームの運営で国内トップクラスのMCSを、(株)日本政策投資銀行(以下、DBJ)と共同で子会社化した。出資比率は同社が61.8%、DBJが38.2%である。MCSの業容はココファンの事業と肩を並べる規模のため、同社の介護事業は一気に倍増する形となる。業態の重なりが少なく、ノウハウ共有のメリットもあることからシナジーが期待されている。

保育事業は保育園や学童施設の運営事業だ。運営会社は(株)学研ココファン・ナーサリーで、地域的には現時点では首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)のみでの展開となっている。

事業モデルは保育園についてはサ高住同様、サブリース方式を活用した展開が基本となっている。一方学童保育については、公設民営型の運営受託が基本となっている。

医療は医学書と看護書の出版事業から派生した事業展開となっている。現状では、看護師養成向け書籍・e-ラーニング教材で強みを発揮している。また介護分野の書籍・e-ラーニング教材の開発・販売の強化にも取り組んでいる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)



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