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神戸物産 Research Memo(5):業務スーパーの出店拡大と既存店舗の伸びにより、増収増益基調が続く見通し

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2019年10月期の業績見通し
神戸物産<3038>の2019年10月期の連結業績は、売上高が前期比5.5%増の281,900百万円、営業利益が同4.9%増の16,500百万円、経常利益が同3.0%増の16,300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同4.2%増の10,800百万円と増収増益が続く見通し。主力の業務スーパー事業が新規出店増並びに既存店の売上伸長により増収増益となり、引き続き業績のけん引役となる。為替の前提レートは前期末と同水準となる113円/ドルとしており、為替レートが円高に振れるようであれば、仕入原価の低減に寄与する一方で、営業外収支で為替差損が発生する可能性がある。全体的に業績計画は保守的な印象であり、前期同様に若干の上振れ余地があると弊社では見ている。事業セグメント別の見通しは以下の通り。

(1)業務スーパー事業
主力の業務スーパー事業の新規出店に関しては首都圏エリアや九州エリアなどで出店を拡大していく予定で、前期末比25店舗増の838店舗を計画している。12月末現在で前期末比で既に5店舗増となっており、2019年10月期も会社計画を上回る出店が期待される。特に、福岡県については出店余地がまだ多く残されていることもあり、関西や関東の主要FCオーナーの出店意欲も旺盛となっている。また、既存店舗向け商品出荷額の伸びの前提は前期比で2%台後半を想定している。引き続き自社PB商品を中心に販促キャンペーンなども実施しながら拡販を進めていく計画となっている。2018年11月の月次動向を見ると、直轄エリアにおける既存店向け出荷額は前年同月比3.3%増、全店ベースでは同6.9%増と順調な滑り出しとなっている。

収益性向上施策として、PB商品比率については基本的に引き上げていく方針だが、顧客ニーズとのバランスを見ながら拡販していく予定にしている。PB商品としては前期に引き続き酒類や鶏肉、ソーセージなどの伸長を見込んでいる。また、店舗のローコストオペレーション施策として新たに省エネタイプの冷凍ケースの導入を計画している。従来の冷凍食品の陳列ケースは、冷気の送風口が片側だけだったが、新タイプは中間部分に間仕切りを設け、両側から冷気を送り込む構造としたことで、エネルギー効率を上げ、省電力化を実現している。中間部分に間仕切りを設けることになるため、反対側の商品が見えにくくなるといったデメリットがあるが、逆に側面部分を透明なガラス張りにすることで離れた場所からも商品が見えるような工夫が施されている。まずは試験的に新型冷凍ケースを導入し、冷凍食品の売上が伸びることが確認されれば、FCオーナーに導入を積極提案していくことになる。

製造子会社については人材不足が続くなかで、機械化投資による生産性向上で能力を増強し、全体のコスト圧縮につなげていく考えだ。

(2)神戸クック事業
神戸クック事業は、売上高で前期比20%以上の増収、営業利益は増収効果に加えて在庫評価損が一巡することもあり、黒字転換する見通しとなっている。「神戸クック・ワールドビュッフェ」については通期で前期末比4店舗増の23店舗を計画している。2018年11月には「カルマーレ宇都宮店」(栃木県)、「パリオシティ福井店」(福井県)を出店し、順調な立ち上がりを見せている。FCオーナーからの出店要望は旺盛だが、立上げ人材の育成を進めながら全国各地に出店を進めていく計画となっている。一方、惣菜事業については「Green's K」から「馳走菜」への業態変更を進めていくほか、業務スーパー店舗内での出店を拡大していく予定となっており、今後の収益貢献が期待される。

(3)クックイノベンチャー事業
クックイノベンチャー事業に関しては、ジー・テイストが発表している中期経営計画の目標値を反映させている。ジー・テイストでは焼肉業態等の好調な業態への転換を図ると同時に、2018年6月以降、M&Aによりファーストフードやイタリアン、フードコート、海鮮居酒屋等を運営する企業4社を子会社化しており、これら業態に経営資源を集中することで、2021年3月期に売上高26,048百万円、営業利益730百万円を目指して行く。なお、2019年10月期の業績計画のなかでは、新たにM&Aで取得した子会社の影響※を含んでおらず、売上高に関しては大幅増収となる可能性がある。

※子会社化した4社の直近年度の売上実績は合計で8,027百万円、営業損失で60百万円となっている。のれんは2018年10月期末で783百万円を計上。


(4)エコ再生エネルギー事業
エコ再生エネルギー事業は、増収増益となる見込み。前第4四半期から本格稼働を開始したバイオマス発電による売電収入が通年で寄与するほか、2019年10月期第2四半期には新たに和歌山県で1.6MW、北海道で2.4MWの発電所が稼働する予定で、合わせて10億円程度の増収要因となる。減価償却費が増加するため利益率は低下するものの、増益は維持できる見通しだ。

太陽光発電事業では大型案件として、西白河プロジェクト(福島県、17MW)、東松山プロジェクト(宮城県、30MW)の建設が今後予定されている。西白河プロジェクトは2021年、東松山プロジェクトは2022〜23年の稼働開始を目指している。当初の計画では設備投資額として合計130〜140億円、売電収入額として年間15億円程度を見込んでいたが、設備投資額に関しては太陽光パネルの価格が下落していることもあり、当初よりも下回る可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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